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関東のおいなりさんに捧ぐパヴァーヌ

小学2年で、関東に越してきました。
それまでは大阪で育ち、子どもながらに文化の違いカルチャーギャップも感じたりしたことも。

食についてもいろいろあった中で、めずらしく母が「ケチくさ」と出されたものに悪し様な感想を言った記憶があるのが、おいなりさん。
東京のそれは具なしで、酢飯ですらなかったから。
三つ子の魂ってやつなのか、おかげで今も私は「東京のおいなりさんはケチくさい」と思ってしまうフシがあります。

逆に、こちらみたいな具だくさんは名こそ違えど”おいなりさん”認定。
おいなりさんってのは、ほおばっていろいろな味がしてうれしいんもの。
個人的には、だから行事ごとだったりにも重宝されたんじゃないかと思っていたりでパンパンなほど美味しそうに見えるってもの。
助六寿司なんかのひょろっと並んでるのなんて、しょっぱそうなだけで箸ものびる気がしません。
色味もそうで、茶色すぎるっていうか。

この「いただき」みたいに、どちらかっていうと白っぽいのがいいんです。
誰かの言葉か、本で読んだのか。
おいなりさんというのは、曰く「お吸いものでくるまれた五目寿司を食べる醍醐味」みたいな比喩が記憶に残っていて、まさしく理想のおいなりさんはしょうゆ味じゃない、もっと淡い味付けなんですよね。

妻は関東の濃い味の舌なので、白菜の漬物にしょうゆのひと。
なので、私の作るおいなりさんでは少しパンチが足りないんだとか。
好みってやつは、なかなかバランスが難しい。
なんて作れば作ったで、ひょいひょい食べてくれるんですが。

味の違いと言えば、昨日のこと。
ところてんを麺つゆと梅干で食べたら美味しかった、とか。
甘いものじゃなかったっけ?
いやいや、ところてんが甘いのは関西だけなんだそう。

妻が好きなので何度も買っていたのに、自分では食べないから黒蜜が付いていると信じて疑いもしておらず..違ったんすね。
はじめて三杯酢で食べてみて、まあ案の定むせたよね。
カラシにいたっては、もうマッチする要素が見つけられませんでした。
きざみのり?
関東のところてんは想像を絶するチャレンジメニューです。

そうは言っても関東に移り住んで40年になるのに。
味覚って幼少期には仕上がっちゃうのかもね。