きみえの読書 #2

#きみえの読書

ミヒャエル・エンデ
『モモ』1973年
大島かおり 訳
岩波少年文庫 2005.6.16 発行

なぜか なぜか 読みたくなって文庫を買って読了。
子どもの頃に読んだ時とは違う気付きや感動があって、大人になってから読もうと思った自分にありがとう!

美しい表現、たとえばここ
p33 「頭のうえは星をちりばめた空の丸天井です。こうしてモモは、荘厳なしずけさにひたすら聞きいるのです。こうしてすわっていると、まるで星の世界の声を聞いている大きな耳たぶの底にいるようです。」 大きな耳たぶの底にいるよう。
耳たぶの底かぁ!
そんな風に表現できること。
エンデは毎日丁寧に過ごしていて、毎瞬の自分の感情にきちんと向き合って、ただひたすらにあらゆるものを観察して たくさんのことを考えていたのだろうな。
この世は、自分なんてもの、感情なんてものは幻想で 起きる出来事はよせてはかえす波のようなただの現象という考えもある。
物語は自分を通して語られるものだけれど、
エンデってどんな人だったのかな。

モモが時間のみなもとを見に行くところは、夢のような気持ちになった。
最近時間について考えることがよくあるのだが、
時間をあんな風に表現できること。美しくて涙。
長いので割愛。p238〜

モモはその後とんでもないことに巻き込まれてしまい、時間のみなもとを見てしまったことを後悔した。
でもこの部分。
p329 「不安と心ぼそさがはげしくなってその極にたっしたとき、その感情はとつぜんに正反対のものにかわってしまったのです。不安は消えました。勇気と自信がみなぎり、この世のどんなおそろしいものがあいてでも負けるものか、という気もちになりました。というよりはむしろ、じぶんにどんなことがふりかかろうと、そんなことはちっとも気にかからくなったのです。」
はぁ。
この本は人生そのものだな。
たくさんの後悔や不安に苛まれることもあるけれど、精神を病むことなんてない。そうならない方法がここにこう書いてあるじゃないか。
落ち込む時は落ち込め!
ある感情をとことん味わい尽くせばある時クルッと変わるんだ。

モモと一緒に時間をとりもどす旅ができたことがしあわせだ!

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