映画熱再び

アップリンクの年会費の更新日だった。前回見に行ったのが去年の6月2日の「NO SMOKING」だから、気がつけばもう1年以上映画館から足が遠のいている。それでも更新を解除する気にならなかったのは、いずれまた観に行く日までアップリンクにつぶれてほしくないからだ。職場から歩いていける範囲に新作以外の映画館がある価値は計り知れない。もちろん年会費だけで経営の支えになれると思うほどおめでたくはないものの、更新しないでますます行きづらくなるよりは良い、多分。

映画熱は戻ってきている。Netflixなんかで人気の海外ドラマじゃなくて映画が観たい。そしてどちらかと言えば新作よりも古い映画に惹かれる。そう言うと懐古主義で保守的なような気もしてきて何となく恥ずかしくもあるのだけれど、新しいものと古いものがまったく同じハードルで見られる時代だ。気になってるものから見れば良いのだと思う。古いものをいくつか見て気が済んだら今度は新しいものを見たくなるだろうし。

ベルトルッチのラストエンペラーがまた見たくなって配信サービスを調べたら、U-Nextで見られるようだ。そういえばずいぶん前にNetflixを退会した理由は「古い映画が少なすぎる」ことだった。ヴェンダースもあるようだしU-Nextを試してみようか。

そう思いつつもちょっと躊躇してしまうのは、自宅や職場で映画を見るのと映画館で見るのとを比べると、感動の大きさに結構な差があることを経験上知ってしまっているからかも知れない。実際これまでにアップリンクで見た映画はどれもそれなりに憶えているけれど、それより少し前にNetflixで見た多くの映画のことはかなり忘れてしまっている。画面の小ささとか音の迫力とかこちらの集中力とか要因はいろいろだけど、もうそういう「薄い」体験には時間を使いたくないような、そんな気もする。

だったら医療用のマスクでもなんでも用意して万全の態勢で映画館へ行くのが一番良いということになるだろうか。アップリンクで「都会のアリス」や「シェルタリングスカイ」や「ゴッドファーザー」や「ハンナとその姉妹」がやっていたら悩むまでもないのだけれど、なかなかそんな都合良くはいかない世の中だ。