魔法が使えないなら

pathfinder:kingmakerをクリアした。とんでもない時間を費やさないと終わらないはずのゲームがなぜ終わったのかと言えば、とんでもない時間を費やしたからだ。記録上は130時間くらいやったらしい。途中でやり直した分とか異常に遅いセーブやロードで画面をなすすべもなく見つめていた虚無とかも含めたらもっと膨大になるけれど、そのへんは考えないことにした。

この日記によると購入したのは5月15日だった。体感ではせいぜい2ヶ月くらいだったのに3ヶ月半も経っていたのか。毎日やっていたわけではないし、全然触れられなかった時期もあったけれど、ずいぶんと熱心にやったものだと感心する。古典TRPGの底力は予想以上だった。

一番の魅力が安っぽいウケ狙いに走らない落ち着いたストーリーだったことは言うまでもない。それにくわえて常に危機感が忍び寄る独特の臨場感が良かった。クセの強い仲間たちと一緒にかろうじて乗り切ったという実感がたまらない。僕のたどりついたエンディングは攻略サイトによれば「隠しエンド」のようで、まあ、気分次第で選んできた数々の選択肢がたまたまそっちを向いているということに途中で気づいてからは確信犯的に目指していたので意外ではないのだけれど、個人的にはぜんぜん「隠し」じゃなくてこれ以外にはありえない正々堂々ど真ん中の結末だろうと思っている。王国の将来にいくつか課題を残してしまった爪の甘さも含めて満足だ。ケステンが王国の治安を褒めてくれたのと、カシルがこちらの信頼にきちんと応えてくれたのと、ヴァーンホールドの将軍が戻ってきてくれたのもすごく嬉しかったな。

一方でセーブとロードの異常な遅さとたびたび発生するエラーには閉口した。だけどそういう致命的な欠点がなかったら、「もう一回やろう」とか思ってしまったかも知れないので結果的にはOKだ。もうこれ以上時間をつぎ込むわけにはいかない。ストールンランドは救われたけれど僕の人生がすっかりピンチだ。

日暮れて降り出した雨があがるのを待つ間に、日記ツールの作業を進めた。ようやく基本的な部分は完成し、noteからのデータの移行もできた。これならリリースも近い。どうもこういう夜にはやたらと仕事がはかどる傾向があるようなないような気もするのだけれど、雨男雨女と似た認知のゆがみみたいなものだろうか。もしそうだとしたら、いや、そうでなかったとしても、今後の作業に活かす道はないものか。魔法が使えないなら死にたいと大森靖子が言っていたのを唐突に思い出した。