妻のベルトが多すぎる

次の週末に父の十三回忌がある。サンダル履きの普段着ではさすがに問題あるだろうということで、久しぶりにスーツを引っ張り出すことにした。いつ以来だか、全く思い出せない。

たった一足だけ持っていた革靴は去年の年末に捨ててしまった。カビが生えたか何かで、もういいや!となったのだ。捨てなけりゃ良かったと後悔する日が来るかもね!と思ったものだが、案外早くその日が来たようである。

スーツは2本しかなかった。1本はユルユルで、もう1本はキツキツだ。今より太っていた時期とやせていた時期があるというのが意外だった。キツキツの方は会社員時代のものだろう。見るからにデザインが古い…と言うか野暮ったい。これは履けない。

黒い革ベルトが1本あったはずなのだけど、いくら探しても見つからなかった。そういえば何年か前に妻の方の親戚の葬式で、持って行った喪服一式の中にベルトがなくて、雪がよく積もった中、歩くとずり落ちるので難儀したのを思い出した。あの時は白いシャツも古くて汚いのしかなく、駅前で買おうと思ったら袖丈の短いのしか売ってなくて、遅刻した上につんつるてんの格好になったのだった。ほとんど黒歴史である。

そんなつんつるてんがトラウマになっているというわけではないけれど、実家との関係が良好とは言えない身では、だいたい法事というのは気が重い。体調が悪かったせいもあって、準備しながら憂鬱が足元に沈殿していくのを感じていた。

次の休日には、革靴とベルトと白いシャツを買おう。革靴は普段履きもできるようなやつがいいだろう。カビるまでほったらかさないで済むようなやつを。

結局僕のベルトは見つからなかったが、そのかわりに妻のベルトは数十本見つかった。恐るべきベルト格差だと思った。僕が犯人なら、妻のベルトの中にベルトを隠すだろう。そこにも見つからないとしたら、妻は僕のベルトを売って自分のベルトを買っているのかも知れない。

それはそれとして、井の頭倉庫の営業日だった。開店時間に出社が間に合わず、その後は謎の疲労感に負けて開店できず、なし崩し的に臨時休業となってしまった。なんでそんなに疲れてるのか。疲れるはずないんだけどなあ。