勝てるデザイン養成GIPS中間報告~あれから1年~
こんにちは!きゅうです。
1年前、「勝てるデザイン」という書籍についている「勝てるワーク」を完遂して、養成GIPSの参加権利を手に入れました。
まだその半ばではありますが、GIPSの中間報告としてnoteを書きました。
勝てるデザイン養成GIPSとは、デザイナーの前田高志さんが立ち上げた、「伸び悩んでいるデザイナー」を対象にデザインのスキルアップを図るプログラムです。そして養成GIPSでは「1冊の本を作る」ことが課題になります。
自分でコンセプトを決めて、作りきる。
これが当初思っていたよりもずっと大変でした。
私は今まで美術系の学校に通わず、業務のみでデザインをしていました。クライアントありきの制作しか経験していなかったので、自分でコンセプトを立てて作る本、をどうやって作っていいのか分かりませんでした。
わくわくと不安を同時に感じながら、GIPSはスタートしました。
これまでのGIPS
1:本の前提条件を決める
まず最初に、本を作る目的を決めました。
「なんのために作るのか?」「誰に?」「どうやって届けるのか?」「最終的なゴールは?」「目標は?」など、製作する本の前提条件を決めます。
最初に決定した私の作る本の前提条件はこうでした。
・何のために作るのか?
読んでくれた人が、その人にとっての好きなものを見つける、もしくは再発見するため。自分の世界観を見つけるため。
・誰に?
普段SNSを利用している人たち
・どうやって届けるか?
SNS、イベント
・最終的なゴールは?
読んでくれた人が、自分の好きだったものをさらに好きになったり、興味のないものにハマること。そして、その人たちとコミュニケーションをとって、刺激をもらったり、ゆくゆく一緒に何かを作るような繋がりを作ること。
・目標
読んでくれた人が何かを発見できる本(自分の好きなもの、嫌いなもの、など)を作ること。自分の世界観を知って、それを自在に扱えるようになる。また、人に説明できるようになる。
2:コンセプト出し
本の前提が決定したら、100個以上コンセプトを出してみる、という課題に移りました。前田さんが紹介してくださった「コンセプトの作り方」という書籍を参考に、ひぃひぃ言いながらもなんとか出し切れました。(余談ですが、「コンセプトの作り方」のやり方が個人的にすごくやりやすくて業務でもたまに使っています)
出てきたコンセプトを見ると似たようなものもちらほら…。似た傾向のものを集めて前提条件と照らしてみると、「自分の作りたいもの」「本を作ってやりたいこと」の輪郭がなんとなく見えてきました。
3:中間プレゼン&コンセプト決定
ここまでおよそ3か月…。いよいよ本のコンセプトを決定するために
自分がどんな本を作るのか、前田さんとほかの参加者の方に向けてプレゼンを行います。
コンセプトに沿った簡単な本の完成イメージ資料を作成して、いざプレゼンへ。
…勇んでいったプレゼンでしたが、ここで初めてGIPS参加者の方の現状を知り、自分の番が来るまで冷汗がだらだら…。チャットでのやり取りでなんとなく進行具合は把握していたのですが、実際に資料で形になっているところを見ると焦ります。
自分の番では、普段人前で話すことがない+緊張でかなりたどたどしいプレゼンになってしまいました。
そういう意味で自分のプレゼン自体はある意味で失敗だったのですが、これからやるべきことが見えたり、ほかの参加者のプレゼン資料の作り方に感銘を受けて、これ以降のプレゼンや業務でとても参考になったりと、すごく実のあるプレゼンでした。
また、プレゼン後に前田さんからフィードバックをいただきました。
コンセプトではなく、本の前提条件部分を突っ込まれます。
曰く、「目的の自分の世界観を知りたいのはなぜ?」。
これは私がGIPSに参加しようと思った部分の質問でもありました。
この質問に対する答えは、「自分のデザイン力をアップして、今でも楽しいデザインをさらに楽しくしたいから。」そして、自分が伸び悩んでいるのはマンネリ化したデザイン、どこかで見たことのあるデザインしかできない、という部分でした。
ここを打破するために、「自分の世界観を知って、それを意図的に自分のデザインに落とし込めるようになること」をGIPSの最終目的に掲げていました。
しかし、私の返答に前田さんは「自分らしさはデザインで出すものではない。デザインは100%クライアントワークだから。らしさというのは極限まで消そうとしても美意識や価値観で出てきてしまう」と言われました。
さらに続けて、「でもフェチを磨くというのもあり。自己分析は最大の自己紹介だから。ただし意味付けでディティールの質が変わってくるから、その辺を詰めた方がいい」というアドバイスもいただきました。
その指摘で、今までの本を作る目的が広すぎて、自分でもどうしたいのか見えていない状態だったのでは…?と思い至りました。
そこで、再度前提条件を練り直します。
本の前提条件(決定版)
・何のために作るのか?
自分の世界観を知って、それをデザインに意図的に活かせるようになる本。
・誰に?
自分に向けて
→本を作る作業過程で考えたことや気付いたことを意識したい。
→完成した本は、自分で世界観に迷った時に読み返す。
・どうやって届けるか?
自分に届ける…ということがメインなので製本。しかし、完成品より作業過程が大切だと思うので、作るときに考えたことや知ったことなどをきちんとメモしてそれも読み返せるようにしておく。
・最終的なゴールは?
自分の世界観を取り入れたデザインを制作し、自分だけにしか作れないデザインを生み出せるデザイナーになる。
・目標
自分の世界観を知って、それを自在に扱えるようになる。
自分だけにしか作れないデザインで、世界をちょっとより良くする。
最初の条件では「読んでくれた人に影響を与える本」「自分の世界観を知れる本」という2つの軸を意識した本でしたが、こちらでは当初のGIPSの目的である「自分の世界観を知って、それを意図的に自分のデザインに落とし込めるようになること」をより意識した方向に振り切りました。
そして、この前提条件とコンセプトを再度照らし合わせて、本のコンセプトが「ヤミナベみたいなドキドキを味わえる本」に決定しました。
4:台割の作成
台割とは、作る本のページの構成の割り振りで、GIPSでは一目で台割がどんな内容になっているか、ビジュアルでぱっとわかるところまで作成します。
早速ビジュアルを作っていくのですが、「自分の世界観を表現する」ヤミナベみたいな本とは…?と考え込み何も出てきません。ここで、まず自分の引き出しの少なさ、それから自分のフェチについてよくわかっていないことを痛感しました。
そこで、「勝てるワーク」のデザイン例を集め自分のベスト、ワーストを分類するワークを思い出します。いったんPinterestや過去にスクラップしていたデザインを見て、イメージを練っていきます。
自分のフェチを探る、という点では自分の原体験を探るワークも参考になりました。昔好きだったもの、今でも好きなもの、成長して好きになったもの…などフェチについて細かく探求していきます。
そうして、台割を探っていったのですが…。
途中から、コンセプトと本を作る目的が私の中で一緒になってしまいました。
「ヤミナベのようにめくるたびにドキドキする本ってどんなのだろう…」と、奇をてらった本の仕様ばかりに目を向け始めたのでした。
袋とじの本、切り抜く本、トレーシングペーパーを使った本…など、「ヤミナベ」をどう表現するかに躍起になって肝心の内容が詰め切れず。ここを指摘されるまでにかなりの時間を使ってしまいました…。
5:本サイズ台割~本制作
いったん台割が形になったタイミングで、とにかく実際の本サイズで制作を始めることに。しかし、詰め切れていない台割では何度もやり直しをしてしまい、なかなか進まず…今に至ります(現段階で本制作の5割ほど)。
じゃあ、どうする?
このGIPSでは自分の直したいな、嫌だな、という部分と向き合うことになりました。
最後までやりきるのが苦手なところ、苦手なことを後回しにしてしまうところ。
製作中に言い訳もいっぱいしてしまったし、うだうだ言って机に向かえない時もありました。
あんなに参加できることに喜んでいたのに、結局動けなくなって自己嫌悪…。
でも同時に、まだ終わっていないのにあきらめることこそが今までと一緒の結果だよな、と思います。ここを乗り切れるかどうか。それでこれからが変わってくるような気がします。
このnoteを書くにあたって、過去のGIPS内のやり取りや、勝てるデザインに取り組んだ時のnoteを見直しました。
そのときの熱量や、こんな本を作りたい、という気持ちを思い出し成し遂げたいという気持ちが湧いてきます。
クライアントもなく、一から本を作ることの意義は、今の私にとってやり切れるかどうかだと感じています。当たり前のところだとは思うのですが、そもそもそこが自分に足りていないポイントなのだと、嫌というほど自分に向き合って思い知りました。
中途半端にやめない、やりきる。
それを目標に5月末の締め切り目指して本づくりを完成させていきます。
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