総評:バディミッション BOND 全てが惜しい習作(ネタバレなし)

Nintendo Switchプラットフォームのアドベンチャーゲーム、バディミッションBONDの評価です。
発売前はアイシールドやワンパンマンでお馴染みの村田雄介さんがキャラデザを担当する新作ADVという事で、ニンダイでも話題に上がっていた印象ですが、発売後の話題が無く、どんなゲームなのか気になり一気にプレイしました。

コミックタッチで描かれる主人公視点の物語

このゲームの一番の魅力は某週刊少年誌のようなコミックタッチで物語が進行していく点に尽きます。
良くも悪くも王道、デコボコな主人公と相棒のやり取り、コメディとシリアスの丁度良いバランスは目を見張るものがありました。
元々は女性向けのADVをイメージしてSwitchに新規参入を狙った作品とのことなので、プレイアブルなキャラクターは皆男性なのですが、キャラクター6人の掛け合いがそれぞれ個別に有り、探索時の組み合わせによって全く台詞や展開が異なるのが細かいなと思いました。

プレイする漫画だと思ったら、飛び出す絵本だった

気になったのは、プレイヤー自由度の低さです。
推理ADVといえば、実践パートに向けて操作するイメージがあったのですが、このゲームはどちらかというと次のページに答えが書いてある問題集をひたすら解いているようなイメージで話が進行します。
このゲームの特徴として、情報収集パートと、敵の本拠地に潜入するような、エージェントさながらのアクションパートがあるのですが、これギミックだけ自由度が低いならまだしも、侵入ルートを二つ選ばせて片方のルートはもう一周しないと見れないようなシステムなんですよね。
ギミック自体は攻略方法が決まっていますし、事前に情報を集めていないとそもそも話が進まないので、解答方法が分かりやすく決まっています。現地でしか分からないようなギミックはほぼ無いです。全部予習してから向かいます。
ここが相まって飛び出す絵本のイメージになってしまっています。
漫画ではやりづらい分岐表現を、あえてゲーム内で動きを持たせて表現したといった感じですね。

QTE、いる?

ADVであんまりアクション難易度高くしちゃうといけないという鋼の意思を感じましたが、このゲームにはところどころQTEがあります。

クイックタイムイベント は、コンピュータゲームの用語。画面上に指示が出た直後にプレイヤーがアクションを起こし、その成否で展開が変化する方法。頭文字をとって「QTE」とも表記される。
クイックタイムイベント - Wikipedia

要は反射神経でキー入力をしないと失敗して、評価が下がりますよ~というシステムなんですけど、これがあるおかげでADVなのにスキップが出来ません。
僕はADVをプレイしなおす事ってあまり無くて、一度しかやらない腹積もりだったんですけど、このゲームにはシナリオごとにヒーローゲージというプレイ評価があります。
更に、この評価が高くないとサブストーリー(各人物の前日譚やその人物視点の話など。これ読まないとストーリーの理解度が落ちるぐらい重要)が解放されません。
すなわちどういうことかというと、初見で全てのシナリオにS評価を得るのは極めて難しいので、ADVなのに周回要素があるという事です。
よって、スキップしてガンガン進めたいのですが、QTEやアクションパートの存在がそれを邪魔する、といった何とも言い難いジレンマを抱えています。
どうですかね。QTEいる?
なんなら、評価システムいる?

色々問題点はあるが、新規タイトルでは良作

ストーリーは間違いなく良いものです。
それ現実的に考えたらおかしくね!?みたいな事はあるのですが、少年誌の漫画ってそのぐらいの熱量で進みますし。
個人的には楽しませていただきました。
コーエーテクモと任天堂がタッグを組んで新規タイトルを開発するのが珍しい試みという事もあり、第一弾としては悪くない作品だったのではないでしょうか。

もし次回作があれば、楽しみにしたいと思います。

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