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木の家に住むということ

こんにちは。木のいえ設計室くわくわの巻京子です。

昨日、無事オーナーさんにお引き渡しが終わりました。毎日のように通っていた現場が、これからはオーナーさんのお宅になる。この感覚はいつも不思議なのです。

通常の合板の床にはない柔らかさのある杉の板を張り、蜜蝋ワックスを塗りました。匂いもなく、一番安心して使用できる素材です。

杉はやわらかいため、大工さんも気をつかいます。しっかり養生をしていてもうっかり硬いものを落とすと、ペコ!と凹んでしまいます。でも、濡れティッシュをのせておくと、じわーっと盛り上がってくれるので、あまり気にすることはないと思います。というか、それよりも、気持ちの良さや空気質の良さのメリットが大きい、と思っていただける方でないと使用することはできませんが。そもそもそういう家に住む経験がない方が多いので、戸惑われると思うのですが。暮らし始めるとわかる感覚です。

我が家は杉板を張って丸9年。汚れのひどかった玄関の床は、お酢を湿らせた布で拭いたら、あら不思議!きれいになりました。

クエン酸ではなく、お酢、というところがミソ。傷がつきません。

杉の木を構造にした家づくりのこと。

板倉の家。聞いたことはあるでしょうか? 正倉院は、この板倉造りのものです。長い時を超えて、いまだ健在(もちろん、補修、建て替えはあるものの)の構法です。日本にある木材を有効に利用し、耐久性のある構法として住宅にも取り入れられてきました。

里山建築研究所主宰の安藤邦廣さんは、板倉で作る意義を唱え続けている設計者の一人です。高度経済成長の時期、海外の森を伐採し、建材として輸入、家づくりで日本の木の需要がない時代でした。戦後、植林された杉、檜の森が育ち、十分に利用できるにもかかわらず、相変わらず輸入建材に頼っていた家づくりに一石を投じることだったのだと思います。

熊本に来る前、セミナーに参加していたこともあって、いつか板倉の家づくりができれば、と思っていましたが、なかなかご縁がありませんでした。

熊本に来て、お知り合いになった松下修さんも板倉構法を勧めている方でした。事務所に使用されている板倉の家は、柱の間に30ミリの板材を落とし込み、壁として下地として作られていました。4年前の熊本地震の際、この家は、揺れることはあったものの、損壊もなく、外部の左官壁にも亀裂が入っていませんでした。改めて、板倉構法の粘りつよさの特性をみた思いでした。

これから家づくりを考えている方へ向けて、松下生活研究所松下さんのセミナーが開催されます。一つの選択肢としていかがでしょう?

12月20日 午前10時~11時30分 ZOOMセミナー

ご興味のある方は松下生活研究所 tsg@indigo,plala.or.jp までお問い合わせください。参加は10名までです。


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