日本人の食生活について思う

かつて、日本人(本土の人)は短命であり、沖縄人は長命であった。同じ日本人なのにどうしてこれほどまで差があるのか。アメリカの学者は調査した。日本人は肉を宗教上の問題で肉を食べない(貧乏だから食べないのか)。これに対して沖縄人は肉を好む。これらのことが、日本人と沖縄人の差になったと報告した。しかし、近年、沖縄人と本土の人との間に差がなくなってきた。本土の人の平均寿命は延び、沖縄人のそれは短くなり、差がなくなってきたのである。これは食生活の変化によることに間違いない。
かつて日本人は肉を食べなかった。明治維新でやっと肉が食えるようになると、日本人はすき焼きを好んで食べた。すきやきこそ明治維新の象徴であった。今でもすき焼きは今でも日本人の食性活の基本である。そしてうな丼も大好きである。しかし、これらの食事には大きな問題がある。それは高いことである。すき焼きやうな丼を毎日食べられる金持ちは居ないだろう。もしいたとしても毎日食べればやがて飽きるだろう。すき焼きやうな丼は食べても年に数回であろう。
基本的に日本人は日本食が健康に良く、洋食は健康に悪いと思っている人がいる。これこそ迷信である。
私の知人に親子で同居している人がいる。私はその人がどんな病気を持っているのか知らないが、高血圧があるのは事実なようだ。彼の食事は朝晩が娘さんが作り、昼はスーパーでお稲荷さんと巻きずしを食べている。知人は自慢そうに言う。「お稲荷さんや巻きずしは健康に良い」
私はポテトチップスが大好きである。私は150円のポテトチップスではなく100円のポテトチップスを買う。小腹がすいたときに量の少ないポテトチップスはちょうどよい。100円のポテトチップスは量が少ない。袋があくまでポテトチップスを食べる。だから100円のポテトチップスを買うのである。知人は私がポテトチィップスを買うのを見ると自慢気に言う。
「このお稲荷さんや巻きずしは最高だ。ポテトチップスのような不健康な食事をしてはいけない」と言いたげである。
これに対して娘さんはマグドナルドが大好きである。かつてこの娘さんは太っていた。それがどんどん痩せていく。「どうして痩せたの」と私が聞くと娘さんは答えた。「マックで痩せた」。私は解らなかった。すると娘さんは答えた。「マックのビッグマックが最高」 ますますわからない。すると娘さんは答えた。「ビックマックで上下のパンを一つ捨てるの」
今でいう炭水化物制限である。40年前、炭水化物制限の言う概念が出来たばかりであった。学者の中で論議が分かれた。カロリー制限がいいのか炭水化物制限がよいのか。カロリー制限は大変である。食事を列記させ、栄養士にカロリーを計算させる。かつて私の医院でも、栄養士を雇いカロリー制限をさせたことがある。しかし、うまくいかなかった。それもあり炭水化物制限をしたのである。結果的には炭水化物制限に流れは向かったと思う。これは学問書ではなく、経験で私が思ったのである。
私はかつて日本食である寿司が健康に良いと思ったことがある。しかし、経験で寿司はメタボに関しては良くないと思っている。寿司一人前で10巻としよう。これだけのコメを食べれば健康に悪いに決まっている。寿司というのはコメを食べているようなものだ。更に寿司のコメは砂糖や酢が入ってカロリーが高い。更に悪いことにスーバーのすしは一人で食べることが多い。回転ずしではゆっくりと時間をかけて食べる。スーパーのすしは一人であっという間に食べれる。ゆっくりと時間をかけて食べることも重要である。
私のひいきにしているホステスは、昼はインスタントラーメンである。しかし、夜は友人のホステスと一緒に出前で多くの食事を注文する。いろいろな食事をめいめい一品ずつ食べる。5人で食事をすると5品目が並ぶ。私はマーボトーフが大好きである。「あなたもマーボトーフを頼んだら」という言葉に私は首を横に振った。知らない人と一緒に食事をつっつきあうという習慣が私にはないのである。そして彼女たちはみな痩せている。若いから当然ではあるが、皆健康でスタイルが良いのである。
私は思った。「人間は食べることが、唯一の楽しみである。しかし一日3食をすべて健康のために食べるのは良くないであると思う。インスタントラーメンが好きな人はインスタントラーメンを食べればよい、私のようにポテトチップスが好きな人はポテトチップスを食べればよい。そして稲荷ずしが好きな人は稲荷ずしを食べればいい。私が言いたいのは、どうしてポテトチップスがいけなくて、どうしてインスタントラーメンがいけないのか。しかし、無知な人はインスタントラーメンはいけない。ポトトチップは良くない。稲荷ずしは良いという。
江戸時代の日本人は朝夕はきちんとした食事をとっていた(これは商人という裕福な階層だけの江戸の商人であったと思う。)そしてこの時代日本人は一日2食であった。寿司とは今でも立ち食い寿司という名が示すように究極のファーストフードであった。朝夕はきちんとした食事をする。しかし、腹がへると屋台の立ち食い寿司に駆け込んで寿司を食べた。寿司こそ究極のファーストフードであった。今でも日本食が良くて西洋食が悪いと妄信している人がいる。
食事は人により異なる。かつての日本人はコレステロールが低くて脳梗塞が頻発した。信長が人生50年と言ったことは当然かもしれない。古代の柿本人麻呂はウナギが大好きであったという。家康も長生きした。歴史に名を残した偉人は長命が多い。しかし、一般の庶民は短命であった。どうして平均寿命が長くなったのであろう。それこそ日本人の栄養状態が良くなったからである。しかし今、状況が江戸時代、明治時代と全く食生活が違う。かつてはお稲荷さんや巻きずしが健康に良いと言われた時代がある。しかし今、時代が違う。今は飽食の時代である。

私が勧めるのは牛乳である。健康オタクは牛乳はコレステロールが高いからスキムミルクがよいという人もいる。牛乳のコレステロールが気になるなら、スキムミルクが良いともいう。しかし、スキムミルクが不味いのである。そこで現れるのが健康食品である。私は個人的に健康食品は大嫌いである。牛乳で充分である。コレステロールが気になるほど大量の牛乳が飲めるはずはない。そして豆乳となる。確かに豆乳は健康に良いだろう。残念ながら豆乳は名前を聞いただけで私は飲む気にはなれない。

そして次にあげられるのはキノコである。かつてソルジェニーツィンの「癌病棟」でサルノコシカケが良いとブームになったこともあった。腹がいっぱいになるほどキノコが食べられるのか。
次に良いのは海藻である。確かに海藻は健康に良い。かつて四国に健康村と長寿村があったという。ある学者がどうして同じ村で隣り合わせて短命村と長寿村が隣り合わせに存在するのかを調査した。そして驚くべき結果を発表した。短命村では魚ばかり食べていた。これに対して長命村は平家の落人であった。長命村は平家の落人であり、源氏に追われて各地をさまよっていた。もし、平家の落人を匿うと鎌倉幕府から厳しい処罰を受けねばならない。かわいそうに思った四国の漁民は平家の落人を密かに匿った。そして匿う条件として自分たちの食べる魚は食べてはならないという規則を作った。平家の落人は浜辺に打ち上げられた海藻を食べるしかなかった。魚ばかり食べている漁民の村は短命村となり、海藻ばかり食べるしかなかった平家村は長命村となったのである。

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