見出し画像

棟方志功記念館にて

 棟方志功記念館(青森市松原2-1-2:℡017-777-4567)にて2023年9月18日(月・祝)まで開催中の「生誕120年記念特別展 友情と信頼の障屏画」を7月13日(木)に訪ねた。
 棟方志功は故郷青森の芸術家仲間、文学者、民藝運動に関わる人々、実業家など、多方面の人と親交を結んだ。そんな友人や支援者と育んだ友情を示すもののひとつに障屏画がある。
 障屏画とは屏風絵や襖絵など日本の伝統的な室内装飾画の総称で、棟方は折々で依頼を受けて制作をした。
 障屏画は、依頼主のもとへ赴き、そこで直接筆を下ろして描くものであるため、プライベートな場である個人宅の場合は特に、棟方と依頼主との間に強い結びつきがあることを物語っている。
 特に深い信頼関係を築いていた倉敷の実業家・大原總一郎の邸宅をはじめ、各地の個人宅や寺社に多くの優れた障屏画を残した。制作時の棟方の集中力は凄まじく、大画面にもかかわらずわずかな時間で一気に描き上げることもあったという。
 この展覧会では、障屏画を主とした作品を通して、棟方の多彩な芸術に影響を及ぼした友人や支援者との親交について紹介している。

 

 倉敷の大原邸に描いた《御詳鯉図》や京都の山口繁太郎邸に描いた肉筆画は青森県では初の公開(前者は8月1日よりの展示、後者は7月30日までの展示となる)。

《襖絵 乾坤無妙(けんこんむみょう)》倭画 1965年 京都の山口邸に描いたもの 
《炫火頌(かぎろいしょう)》版画 1950-65年 保田與十郎が折々で詠んだ短歌を版画にしたもの 
《鷲栖図》 倭画 1971年 青森県立美術館蔵 友人が埼玉県久喜市に建てた新居の壁面に描いた作品
《御三尊像図(おんさんぞんぞうず》 倭画 1950年 青森県立美術館蔵
《火の願ひ板画柵》 版画 1947年 疎開中、大きな版木が入手困難だったため、ふぞろいの小さな版木を活かして制作した版画を冊子としてまとめる「板画本」制作に熱中した 


 開館時間は午前9時から午後5時まで。休館日は7月31日(月)、9月4日(月)、9月11日(月)。無料開館は棟方志功の命日である9月13日(水)に行われる。前期(7月30日まで)と後期(8月1日から9月18日まで)で一部作品を入れ替える。
 なお、同記念館は2024年3月31日をもって閉館する予定。所蔵作品は青森県立美術館に移管されるというが、閉鎖への反対意見も根強く署名運動が起きている。

棟方志功記念館の庭

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?