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ハワード・ジョーンズ

 1980年代にエレクトロ・ポップ/テクノ・ポップの新星としてシーンに飛び出してヒット曲を連発したハワード・ジョーンズ。メロディーメーカーでもあるハワードが4年ぶりの日本公演のために戻って来た!
 2023ジャパン・ツアーの皮切りである9月8日(金)にビルボードライブ東京で行われたファースト・ステージに行ってきた。
 2020年代に入って1980年代的なサウンドが流行している。その時代にシンセサイザーによる独創的なスタイルを確立した創始者のひとりと位置付けられるハワード・ジョーンズもそうした現象を認識している。
 「きっとみんなこういうのを全く新しいものとして接したんだなと思うと確信が持てた」(ディスク・ジョッキーの矢口清治さんの文章より)。
 今回の日本ツアーには元カジャグーグーのベーシストのニック・ベッグスとベテラン・ギタリストのロビン・ボウルトが参加している。

(左から)ニック・ベッグス、ハワード・ジョーンズ、ロビン・ボウルト


 ライブは定刻に始まった。3人がステージに登場し、ハワードの「東京に戻ってこれてとてもうれしい」の一言でスタート。彼の奏でるキーボードのイントロから「Assault And Battery」が一曲目となった。これはアルバム『Dream Into Action』に収められていたナンバー。
 二曲目は「だいたい、愛ってなんなんだ?」と歌われる人気ナンバーの「What Is Love?」。全英2位、全米33位を記録した作品だ。
 三曲目は「Specialty」。人はそれぞれ個性があり互いに尊重されるべき存在だという人間賛歌的な歌詞を持つ作品。
 続く四曲目は「At The Speed Of Love」。アルバム『Transition』から。
 続いてはベースにニック・ベッグスを迎えていることから、カジャグーグーの大ヒット曲「Too Shy(君はTOO SHY)」がハワードのボーカルで披露され、大盛り上がりの会場からは歌声が沸き上がった。
 六曲目は「No One Is To Blame(悲しき願い)」。オリジナルはフィル・コリンズとの共演だったナンバーだ。二人が愛し合っているということを誰も責めることは出来ないのさ、と歌われる。全英16位、全米4位を記録。
 七曲目の「Tomorrow Is Now」は「大切なのは明日ではない。最も重要なのは今この瞬間なのだ」というハワードの哲学を歌った作品。八番目は「You know That I Love You…Don't You」(全英43位、全米17位)。次は「Don’t Always Look At The Rain」。
 そして「1985年にライブエイドでやった曲だ」との説明で始まった「Hide and Seek(かくれんぼ)」(全英12位)。十一曲目と十二曲目は「Life In One Day」、「Like to Get To Know You Well」だった。
 本編の最後はハワードの記念すべきデビュー曲「New Song」。一回3人はステージを後にしたが、拍手とともに戻って来た。アンコールに入ると、ハワードはスマホの通訳機能で自分の挨拶を日本語にして観客に聞かせた。曲は「Things can only get better(オンリー・ゲット・ベター)」だった。全英6位、全米5位のハワードの代表曲の一つ。

 デビュー40年と来日を祝して、約3年半ぶりの最新アルバムがリリースされたばかりだ。タイトルは『ダイアログ』。通算12枚目のオリジナルアルバムで、<エレクトリック4部作>の第3弾。明快に割り切ったシンセ・ダンス・ポップ・アルバムになっている。


 シンセサイザーを駆使しながらも「人間らしさ」「温かさ」にこだわり、歌詞には、人としての正しい生き方や人類がどう歩んでいくべきかといった普遍的で世代を超えるメッセージが詰まっている。
 矢口さんのライナーノーツによると、この作品のメッセージは「「互いに語り合うことの大切さ」、これらを主題にしているという。沈黙が破壊的な行為でありいかに人々をバラバラにしてしまうか、考え方が違っていても共通点を見出すために対話し、それを大切にして互いがいかに影響を及ぼし合っているかを理解し、誰もが重要であり誰もが貢献できること」。
 今回の日本盤(SICP31384-5:税込み3300円)は、1984年9月の初来日公演(NHKホール)音源を追加した2枚組スペシャル・エディションとして登場。84年9月23日のライブで全15曲。
 80年代洋楽アイドルの側面が強く伺える観客の反応ややりとり、ヒット曲「君を知りたくて」、そしてライブならではの「ヘイ・ジュード」(ビートルズ)のカバーなど興味深いステージの記録となっている。
 同時にハワード・ジョーンズの『ジャパニーズ・シングル・コレクション ーグレイテスト・ヒッツー』(SICX30185-6:税込み3300円)も発売中。DISC1には日本でリリースされた全シングル曲、DISC2のDVDには、これまでのキャリアで発表したミュージック・ビデオ全22曲を収録。

 また、(株)阪神コンテンツリンクでは、オリジナルグッズ(Tシャツ、トートバッグ、缶バッジ)をオンラインショップ「Shop Merchan.jp」にて販売している。特設ページはhttps://shop.merchan.jp/collections/howardjones

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