本郷ウエスタンカーニバル
1958年に始まる日劇ウエスタンカーニバルというショーがあった。当時としては異例の観客数を動員してロカビリーブームに火をつけた。
2024年11月3日(日・祝)、「本郷ウエスタンカーニバル」が文京シビックセンター(東京都文京区春日1-16-21)で開かれた。
メインアクトのロカビリー歌手ビリー諸川さんの仲間たちそして奥さんへの感謝と愛情が感じられる心温まる素敵なコンサートだった。
これもひとえにビリーさんの人柄のなせる技だろう。いいものを見せてもらい聞かせてもらった文化の日の午後だった。
司会のビリーさんの話の後、第一部のトップバッターは東大教授の奥田洋司(おくだひろし)さんと事務方のトップ小池泉さんのユニット「レモン・イエロー」だった。奥田さんがエレキギター、小池さんはキーボード。
一曲目は「ラストダンスは私に(Save the last dance for me)」。続けてイーグルスの楽曲「ならずもの(Desperade)」。
奥田さんは「前座ですが、ビリー諸川のバンドを食いにやってきました」と話すと会場が沸いた。
ビリーさんは同じ文京区の東京メトロ東大前近くで「Cafe LOVE ME TENDER」を経営している。エルビス・プレスリーに特化した店で、エルビスにちなんだメニューが飲食出来て、グッズもそろっている。
そこに奥田さんが足しげく通い詰めたことがきっかけとなって、今回のコンサートに出演することにつながったのだという。
東大で何をしているのか?「コンピューターを使って難しいことをしています」と奥田さん。集まった観客を見て、奥田さんは「大学で講義しても学生さんがこんなにたくさん来ることなんてないもんですから」と話した。
レモン・イエローは音楽に戻り、荒井由実の「ルージュの伝言」とチャビー・チェッカーの「レッツ・ツイスト・アゲイン」をメドレーで披露した。
予定調和の「アンコール」ではオリジナル「行け行けビリー」を歌った。
二番手はウクレレ隊「ラヴ・テン・ファミリー」がステージに上がった。文京区の地元民が10人に浜松から応援に駆け付けたメンバーも加わって大人数での演奏となった。
「アメイジング・グレイス」と坂本九の「上を向いて歩こう」を続けた。「上を向いて歩こう」は「Sukiyaki 」とのタイトルで米ビルボード誌のヒットチャートで日本語曲にもかかわらず1位を獲得した。
前座の最後はSleeping George on the Sofa。ファミリーバンドだ。
メンバーはギターのうえはらまさみつさん、ドラムスのWeicoさん、ギターのGeorgeそしてベースの水上レイさん、ボーカルの水上芳榮(よしえ)さんの5人。
まずは五輪真弓の「恋人よ」。続けてコニー・フランシスの「ボーイハント」を芳榮さんが見事に歌った。
ここでGeorgeが満を持して登場した。両親が青春時代に聞いていただろう曲だと紹介して「七つの水仙」を演奏した。
続けてエルビスの有名曲「好きにならずにいられない(Can't help falling in love)」そして「All of you」。
ここで第1部が終了した。
第2部はビリーさんによる「一人芝居」。ビリーさんは亡くなった人の世界にいるジャッキー寺山という人を演じた。途中「ゴーゴージャッキー」と「お月さま アイラブユー」の2曲を歌った。
そしていよいよ最後の第3部となった。ビリー諸川とブルー・ムーン・ボーイズの演奏だ。いきなりエルビスの「Baby, Let's play house」だ。
エルビスを歌わせたら日本でも一二を争うとまでいわれるビリーさんの歌声は力強く素晴らしい。さすがだ。
2曲目はジーン・ヴィンセントの「Race with the Devil」。続けて、エルビスの代名詞的楽曲「Heartbreak Hotel」。
その後はオリジナルの「ブギウギママ」と「寝ても覚めても」を歌った。
「踊りたい人たちがいるようですね」とビリーさん。そして映画「アメリカングラフィティ」などでも分かるように靴を脱いで踊るようにと話した。演奏したのはポール・アンカの「ダイアナ」。
畳み掛けるようにジーン・ピットニーの「ルイジアナママ」。この曲は日本では飯田久彦らカバーしてヒットした。
続けてロカビリーの「教科書」ともいえるカール・パーキンスの「ブルー・スウェッド・シューズ」。これはダンスをするが俺のこのキマッテているこの青いスエードの靴を踏まないでと歌っている。
ビリーさんが37年前にレコードを初めて作ってそれを湯川れい子さんが聞いたことがきっかけでソロデビューすることになった時のオリジナル曲「トラックドライバー」を歌った。
「4つのコードしかない曲だけど、それを素晴らしい演奏してくれたのはギターのトム古川さんです。エルビスのバックでギター弾いていたジェームス・バートンは古川さんのギターを絶賛しました」とビリーさん。
ちなみにトム古川さん以外のメンバーはドラムスがジョージ榎戸さん、ウッド・ベースがヒデ松元さんだ。
ビリーさんは「人生の時間は限られるけれど、本当に嫁さんを心から愛しています」と話してオリジナル曲「ラブレター」を歌った。途中、感極まって声を詰まらせる場面もあった。
ビリーさんは間もなく67歳になる。
最後は出演者が全員ステージに集結して「ジョニーBグッド」で大団円を迎えたのであった。
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