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サエボーグ&津田道子展覧会

 サエボーグと津田道子という中堅アーティストたち。その2人の「Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展」が2024年7月7日(日)まで東京都現代美術館(東京都江東区三好4ー1-1)企画展示室3Fで開かれている。
 展覧会名はそれぞれの個展として「サエボーグ『I WAS MADE FOR LOVING YOU』/津田道子『Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる』」
というタイトルを冠した。
 ふたつの展覧会は制作に対する関心もアプローチも大きく異なり、それぞれが独立したものでありながら、展示室内での鑑賞者のふるまいが作品の一部になるという共通点を持っている。
 鑑賞を通じて自分と向き合うことで、動物を含む他者と関係性や、社会的に期待された役割などに目を向けることになるだろう。

〇サエボーグ「I WAS MADE FOR LOVING YOU」:主な表現手段であるラテックスのボディスーツによるパフォーマンスは、回を重ねるごとに内容をさまざまに変容させて、新たなキャラクターを生み出し続けてきた。これまでのパフォーマンスを土台にした本展では、作品の軸となって来た人間と動物との関係性というテーマの中で、「ケア」の視点に立った作品を発表。展示室の中では鑑賞者がパフォーマンスの一部になることで、観る側が時として観られる側に回るような、美術館の展覧会の構造を利用した仕掛けを試みている。

サエボーグ(撮影:ZIGEN)
 サエボーグ「Ultra Unreal」展示風景(シドニー現代美術館、2022)撮影:アレックス・デイヴィス
 サエボーグ「Dark Mofo 2019『Pigpen』」公演風景(Avalon Theatre、ホバート、オーストラリア)撮影:DarkMofo 2019
サエボーグ「Cycle of L」公演風景(高知県立美術館、2020)撮影:釣井奏輔



〇津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」:近年強く関心を寄せている「身体性」について追及する中で、自身の幼少期に、ビデオカメラが家に来て最初に撮影されたホームビデオに収まられた家族の出来事から着想した新作を中心に、映像装置が組み込まれたインスタレーションを発表。撮影者の視点がレンズ越しに収められたどこにでもありそうな出来事の再演は、家族という最小単位の社会による、きわめて個人的な記録を起点としながらも、集団の中での人々の立ち位置やシステムへと、その領域を広げていく。

津田道子(撮影:奥祐司)
 津田道子《東京仕草》2021 「Back Tokyo Forth」展示風景(東京国際クルーズターミナル、2021)撮影:Akira Arai(Nacasa&Partners Inc.)
  津田道子《So far, not far》よりスチル画像 2023
津田道子《あなたは、翌日私に会いにそこに戻って来るでしょう。》2016「オープン・スペース2016 メディア・コンシャス」展示風景(NTT インターコミュニケーション・センター [ICC]、東京)撮影:山本糾


 
 開館時間は午前10時から午後6時。休館日は月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月30日、5月7日。入場料無料。
 ウェブサイトは www.tokyocontemporaryartaward.jp/


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