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うつろい

ふたりで会ったことも、お互いの名前すら知らない、不思議なつながり。
それでも、わたしと彼は、恋に落ちてしまった。

わたしはバカなんだろうか?毎日、目が覚めると思う。
目覚まし時計がけたたましく鳴り、まだ寝ていたいのを我慢して手を伸ばして叩き落して、次に浮かんだのが、彼の顔。
多分、バカなんだろうな。それでもいいや。
いつものように香ばしく焼いた食パンを咥えながらパソコンの前に座る。
パソコンの電源は年中ONなのでキーボードをたたけばすぐに彼に会える。
でも、今日はまだ寝ているようだった。
エアコンの音とパソコンの音、そして彼の寝言が聞こえてくる。パソコンのすぐ隣にあるキッチンでコーヒーを淹れながら、昨日のことを思い出した。
そうだ、昨日は深夜遅く、いや早朝まで話し込んでいたんだった。それは眠いよね、とついクスッとしながらまたパソコンの前に座る。



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