見た映画レビュー

 寒い日が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか。
 冬の土日は家にこもってDVDを見るに限ります。というわけで最近見た三作をレビュー。

ヘル・フロント ~地獄の最前線~

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第一次世界大戦の極限の4日間を描いた戦争アクション。1918年3月、イギリス軍は最前線の塹壕にこもり、至近距離でドイツ軍と睨み合っていた。第一線を死守してきたスタンホープ大尉は、故郷に残してきた恋人の兄・ラーリー中尉と再会する。
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 第一次大戦の戦争映画です。
 たった50メートル先にドイツ軍の陣地があり、塹壕の切れ目から狙撃されることはしょっちゅうというイギリス軍側の地獄みたいな日常が描かれます。
 そんな中、ドイツ軍が総攻撃を始めるという情報が入ります。圧倒的物量で攻めに来るドイツに対し、イギリス側の陣地は上層部からほとんど見捨てられたも同然で、どうせ負けるからと物資を全部味方に持ち去られてしまう始末。
 その絶望感漂う現場に、ラーリーという士官学校を卒業したばかりの若い将校がやってきます。

 物語全体を通して緊張感がみなぎっていて面白かったです。
 特にキャラクターがみんな魅力的。

 オズボーン中尉……「おじさん」の通称で親しまれている面倒見のいい人。敵陣に突入して捕虜をさらってくるという任務では最前列に立つ。

 スタンホープ大尉……ストレスでアル中になっている人。有能だが癇癪持ちで上層部からは厄介者扱いされている。オズボーンにだけは心を許している。

 ラーリー少尉……派遣されてきたばかりの若者。姉がスタンホープと付き合っている。初陣だが兵士たちの前では立派な上官であろうとする。顔がカワイイ。

 この三人の将校が中心人物です。
 総攻撃が始まるまでの数日間、刻一刻と迫る絶望的抗戦を前に、彼らは悩み、怒り狂い、悲嘆に暮れます。

 特に敵陣に突っ込んでドイツ軍の捕虜をさらってくるという特攻めいた任務で指名された兵士たちの絶望顔が切なかったです。
 ただそんな中でも出撃する兵士たちは「こんなの楽勝ですよ!」って軽口飛ばしてのけたり、オズボーンは毎朝兵士たちひとりひとりに声をかけたり、兵士たちが若いラーリーを囲んでごはん食べたりと、人間関係はそこらの現代社会日本の会社なんかよりよっぽど良好なのが面白かったです。
 地獄を共にする男たちのとっても固い絆があるんです。

 特にオズボーンの優しいおじさんっぷりが心に染みました。アル中のスタンホープの話を聞いてやり、初陣でビビりまくるラーリーを励ます姿がとってもステキ。

 面白いんですけどすごく暗い映画ですので、そういうのが嫌いな人はやめといたほうがいいです。終わり方も悲惨です。
 地獄みたいな状況で輝く男たちの絆とか人間関係とか、そういうのが好きな人ならぜひどうぞ。オススメです!

オススメ度(☆五つMAX)
物語 ☆☆☆
人物 ☆☆☆☆☆
総合 ☆☆☆☆☆


チェリー2000

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壊れたセックスアンドロイドのパーツを求めて野蛮地帯へ向う男は女傭兵の助けを借りて悪の巣窟へ挑む!
マッドマックス的作品の中でも群を抜くスーパーメカニックが登場するSFアクション! !
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 説明書きにある通りマッドマックスみたいな荒廃した世界の話です。といっても主人公はスーツ着て都会でいい暮らししてるんですけど。

 昔の低予算SF映画ってとこです。しょぼい銃撃戦とアクション、ダサいファッションと、まあやっすい作りです

 キャラクターも掘り下げがなく、主人公がセックスアンドロイドのチェリーちゃん(やたらカワイイ)からヒロインに乗り換える理由も特にこれといってはっきりせず、終わり方も「ええ……それでいいの?」って思わせるような展開でした。

 ただそこまで退屈する作りでもなく、お酒飲みながらツッコミ入れつつ見るぶんには楽しめます。特に人造人間のチェリーちゃんが妙にかわいいのでまあこれが数少ない見どころじゃないでしょうか。


オススメ度(☆五つMAX)
物語 ☆☆
人物 ☆☆
総合 ☆☆


ホステイル

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爆発的な伝染病が地球を襲い、わずか2~3千人の人類だけが生き残った。ジュリエットは世界の終末を生き延びた若き女性。過去の人生から、諦めずに闘うことを学んできた。彼女は自分が属する生存者グループの中で最もタフで肝の据わった存在として、広大な荒野や廃墟と化した街の周辺へ車を走らせては物資や食料を探している。ところがある日、ベースキャンプに戻る途中でハンドルを取られ、車は制御不能に陥ってしまう…。
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 これをゾンビ映画だと思って借りると肩透かしを食います。
 ネタバレですがゾンビが一匹しか出て来ない上、舞台は終始車の中、しかも主人公の回想シーンがやたら多いです。

 この物語は人類対ゾンビの戦いとかギリギリの生存とか、生存者同士の内輪もめとかでなく、あくまでも主人公の女性の人生を中心に描かれるのです。落ちぶれた女性が、色々あって芸術家でお金持ちの男性と出会って、それから人生が変わって……というシンデレラストーリー的な。

 確かにゾンビ映画を見たい人からすればこれは低評価でしょう。実際評判の良くない映画ですけど私は好きです(他人にはあんまりオススメできませんが……)。
 人類がどうたら組織がどうたらっていうそういうのがテーマの物語は私は一切好きになれなくて、あくまでもこういう個人の事情で頑張る人の物語が好きです。

 ゾンビ映画を見たい人でなく、一人の人間のドラマを見たい人ならオススメ。


オススメ度(☆五つMAX)
物語 ☆☆☆
人物 ☆☆☆☆
総合 ☆☆


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