初夏の恋の物語其の四とか。

5月1日に代々木公園で彼女とデートをした。

5月2日の朝も彼女とのLINEはいつも通りだった。


でもそのあと4月半ばのあの日以来でAちゃんから、「今日誕生日!」というLINE。

5月なのは聞いていたけどまだAちゃんの事が消えてなかった俺は動揺した。

俺にそんなLINEを送らないといけないほどだったのかと。

でも彼女に出会った俺は「誕生日おめでとう」だけをちゃんと返せた。


夜には彼女とLINEのやりとりをしていて、

彼女から「一人暮らしだったら、うちで飲もうって誘っちゃう」ときた。

そういう流れだろうなと思ったので、ホテルのデイユースで部屋借りて

酒飲もうと提案したら承諾してくれた。


まだこの時点では、ホテルへ行っても、

本当にお酒を飲むことだけを考えていた。


5月3日。

毎日何かしら予定のあった俺は連休といえど多少疲れていたものの、

ホテルの予約を行い彼女に連絡した。

緊急事態宣言がはじまって都内のホテルは軒並みどこも安かったので、

5月9日に大久保の広めの高層階をとった。彼女も喜んでくれた。


そして、5月4日

彼女はいつも仕事帰りにLINEをしてくる。

「一緒に星を眺める?」と聞かれたので、

彼女とのいつものやりとりだと思いベランダから空を見上げた事を伝える。

でもいつもと違う様子の彼女から続けてきたLINEは

「一人でいたくない気分」

新宿までの時間を聞くと結構近い。

でも察したのか「気持ちだけもらう」と。

明日会いに行くというと「来てほしい」と。


でも彼女から直後にきたLINEは新宿のホテルのURLで。

2名で入ってる、来なくても大丈夫と。

俺はこの時Aちゃんの時に感じたマッチングアプリ特有の

危うさがフラッシュバックしたんだと思う。

「他の人とってこと?誰でも良かった?」って勘違いして

通話するも彼女は出ない。

彼女からの返信は

「通話気付かなかったごめん」

「そんなわけないでしょ

あしたばくん来てくれると思ったから」

俺の焦りと伝わってきた彼女の寂しさと

俺で良かったんだという色々な感情が絡まって

「今行く」

「待ってな」

「すぐ行く」

と返信した。

準備して駅まで行って電車に飛び乗った。

何か必要?と聞くと「愛情」と。

コロナの自粛で我慢出来ないというニュースを引用してきて

「私も限界だから、あしたばくんにわがまま言ってる」と。



新宿には23時頃ついた。

ここ数か月かは新宿に来ること多かったけど、

夜中に1人で降りるのははじめてで。

自分は黒い服で夜中に新宿歩いてそうなタイプなので

内心びびりながらも道行く人が少し避けてくのが分かる。

普段を知らないけど昼間とは違い人はまばら。

駅の売店でとりあえず自分のお酒を買っていく。

呼ばれたホテルは歌舞伎町を見下ろせる部屋で。


部屋に着くと彼女は扉を開けてくれた。

ドアの陰から顔を覗かせた彼女は下着姿で、どうぞと招き入れてくれる。

シャツを脱ぐと彼女がハンガーにかけてくれ、

俺もソファーに座り売店で買ってきたお酒を飲む。

部屋は広めのツインルームで彼女は明るくベッドでお酒を飲んで

テレビドラマを見ていて、寂しさは感じさせない。

ルームサービス頼んでもいいと言われたが、

そこそこな値段がしたので遠慮しておく。


彼女が窓際に立っていたので、後ろから抱きしめた。

「そこまで寂しいとは気付かなかった」


彼女はまたテレビに気を取られ観たい番組が途切れると

彼女は俺にもたれかかってきて、キスをした。

その続きはもちろん男女のソレで。


ただ、お酒が入っていた俺は不覚にもたたなかった。


でも一通りの抱擁を終えて2人で1つのベッドで寝てると、

彼女はよほど嬉しかったのか、職業柄か子供をあやすように

俺の頬と頭をなで続け、明け方にはリンパマッサージだよと言い、

鎖骨のあたりをずっと撫でていた。



少し眠って目が覚めた二人は朝もテレビを一緒に見て、

一緒にチェックアウトした。


ホテルを出た二人はいつもの大人な二人で。

コーヒーでも飲もうかという話になったけど、

どこも今はやってないから帰ろうかと。


別れたあとにきた彼女からのLINEは

「あしたばくんのこと束縛しまくるわ笑」と。

俺は「ついていきます、E様に」という冗談のやりとり。


この時はそんな空気が心地よかった。

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