『西遊記』で、悟空はお釈迦様の手のひらから出られなかった。どんな手だ!?
この『西遊記』の有名なエピソードを、筆者は幼い頃、近所のお寺のお坊さん(注1)から聞いた。とても印象的だったので、いまでもよ~く覚えている。
中国の花果山で石から生まれた孫悟空は、仙人に筋斗雲をはじめ72の術を習い、如意棒を手に入れ、天界にまで出かけて大暴れする。見かねたお釈迦様が、悟空に言った。
「私の手のひらから出られれば、天界の主にしてやろう。できなければ修行をやり直しなさい」。
喜んだ悟空が筋斗雲で飛んでいくと、行く手に5本の柱が見えた。悟空は「ここが世界の果てに違いない」と考えて、柱に、勝手に名乗っていた「斉天大聖」と書き、ついでにオシッコも引っかけて帰ってきた。
ところがお釈迦様は「お前は、私の手のひらから出ていない」と言って、自分の指を見せる。そこには、「斉天大聖」の文字とオシッコの跡が! お釈迦様は、自分の指を五連山に変えて悟空を押さえつけ、悟空は三蔵法師が来るまでの500年、動くこともできなかった……。
お坊さんは「どんなに強くても、お釈迦様の前では無力」という教えを伝えたかったのだろう。しかし筆者は「お釈迦様の手は、どんだけデカいんだ!?」と驚き、もうそればかりが気になって仕方がなかった。だからこそ、話の詳細まで覚えているわけです。
実際、お釈迦様の手のひらはどんな面積だったのか? いろいろな仮定を設けながら、ここで具体的に検証してみたい。
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