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『転スラ』リムルが放った「神之怒」の威力を探る!

 神之怒メギドはコワイ! あれは本当にオソロシイ魔法ですぞ……!
 異世界転生ドラマのなかでも、『転スラ』には独特の心地よさ(注1)がある。ファンタジーの世界で最弱のスライムに転生してしまった主人公は、暴風竜ヴェルドラと出会って友達になり、「リムル=テンペスト」の名をもらう。そして、ヴェルドラの能力を取り込んで旅に出ると、出会った魔物たちとコミュニティを築き、街を作り、やがて魔物の国「ジュラ・テンペスト連邦国」を建国する。それらの過程では戦いも起こるが、リムルは相手の事情も思いやり、戦って相手を殺すのではなく、彼らを仲間にして、それぞれの能力を活かそうとする。紅丸ベニマル蒼影ソウエイ紫苑シオンも、そうやってリムルの部下になった。リムルは魔物たちをとても大切にしているし、彼らもリムルを心から敬愛し、絶対の信頼を置いている。いいなあ。ワタクシたちも、リムルと仲間たちのような関係を築ければ、もっと快適な社会になるのでは……。
 などとリムルに憧れのまなざしを送っていたところ、アニメ第2期の34話で放たれたのが神之怒であった。もう本当にビックリした。
「誰一人生かさない」と言うや、リムルは空中に多数の水玉を出現させる。そして「死ね、神の怒りに焼き貫かれて。神之怒!」。すると、水玉からレーザーのような光が無数に放たれ、地上にいる兵士たちが次々に撃ち抜かれる。リムルのユニークスキル『大賢者』が冷静に告げるのは、それによる死者数だ。「告。死者、1788、1903、1999、2434、2806、3250」と激増していく。続く35話になっても報告は続いており、「告。死者4214、4803、5575……」。むえ~、オソロシか~。
 戦った相手を次々に仲間にしてきたリムルとは思えない大量虐殺である。彼がこれほどの魔法を使ったのは、自分の留守中に、ファルムス王国の襲撃を受けて、多くの仲間が惨殺されたから。そして、「1万人分の魂」を集めて自分が魔王になれば、仲間たちを生き返らせる可能性があると知ったからだ。とはいえ、その成功確率は3.14%でしかない。悲しみと怒りをたぎらせながら、わずかな可能性に賭けて、冷静に神之怒を発するリムル……。
 本稿では、この神之怒について考えてみよう。その威力はどれほどだったのか?

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