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2023年全国大会③

全国大会1回戦。
ほぼ定刻通りに始まったと思う。

先攻、トップバッターはキャプテン紗央里。
相手のエラーで早速出塁してくれた。

2番詩音、わかりきった作戦ではあるが先ずはバントをお願いしてみる。
ボールが強く転がり2塁アウト。
このグランドとボール、相手のサードをみれば送りバントも難しいことが分かった。

3番ななみん、4番あゆみんには打ってもらうしかない。
粘るもヒットには繋がらなかったものの、「バットにかすりもしない投手かもしれない」という不安はひとまず払拭され、少しホッとした。

1回裏、マウンドには永易投手
とにかく2回を全力で投げて、あとはバッティングに集中してくださいとお願い。
このくそ暑い中、投手は最初から分業を考えていた。
そして、先発はこの人だと決めていた。

トップバッターを四球で出し、2番には送りバントを決められた。
サード詩音、やけに安全パイ行くやん。ま、ワンアウト。
うちと同じパターンで始まった攻撃を、うまく決められた。

続く3番バッターのファーストゴロの間にランナーは3塁へ。
ツーアウトランナー3塁のピンチ。

ここで相手の4番にレフト前へ運ばれ、あっさりと先制点を取られてしまった。
四死球とエラーのランナーほど怖いものはない。

5番、ライト前に転がされる。よし、ライトゴロチェンジになったなと思ったら、1塁審判さんがライトと1塁ベースのライン上に・・・
慌てて避けてはくれましたがもう投げても間に合わない。
するとランナーが3塁を狙って走る。
ライトゆみちゃん、切り替えて3塁へ送球、見事タッチアウトとしてくれた。
あれはほんと見ていて焦った。ゆみちゃんナイス!

2回表、声出しを綾乃に頼む。
「先制点取るぞー!」って言うもんだから、今さっき取られたよって突っ込む。
この回チャンス作れず三者凡退に終わる。

2回裏、
ワンアウトから内野安打でランナーを出すも、後続を2三振に抑える好投で抑えてくれた。

3回表、
ワンアウトから9番なっちゃんが粘りに粘って出塁。
1番に返って紗央里もヒットで出塁し、ワンアウトランナー1.2塁。
後続続かず、なかなか3塁が遠くこの回も無得点。

3回裏、
ここからマウンドは真鍋投手に任せる。
もちろん先発できる力はあるが、分業を考えた時に安心して抑えを任せられるピッチャーだ。 

対戦するバッターは1番。
一番警戒していたバッターに2ベースヒットを打たれた。
しかしランナーがいるわけでもないので全然OK。

あとは三振、ライトフライ、ピッチャーライナーと3人で終わらせてくれた。

4回表、そろそろ点が欲しい。
この回トップの4番あゆみん、センター前ヒットで出塁。
いい流れを作ってくれた。さすが!

5番あやてぃん、まず1球様子を見る。
ワンボール。
送りバントが難しいならエンドランだろうとサインを出した。
ところが珍しくサインミス、あゆみん単独盗塁となり2塁で刺されアウト。
切り替えるしかない。取り返すようにセンター前に打ち返す。

ワンアウトランナー1塁。
バッター6番もえぴ。
昨年もいっぱいこの子のバットに助けてもらった。
ライト前に転がしてランナー1.2塁とチャンスを広げる。期待に応えるもえぴです。

7番ゆみちゃん、粘る粘る。
10球目をライトへ運び、コントロールに苦しみ始めた相手投手を追い詰める。
これでワンアウト満塁。
出来れば今チャンスで2点は欲しいところ。

ツーアウトとして9番なっちゃん。
2球でツーストライクに追い込まれてからが強かった。
際どい球をカットしながら四球押し出し、貴重な貴重な同点のホームをもえぴが踏んだ。
この回はこの1点。
ひとまずゲームが白紙に戻る。

4回裏、チャンスの後にはピンチあり。
この回を0点に抑えるか否かが、今後のゲーム展開に大きく影響してくる。
ここをピシッと抑えるゆみちゃん。
ヒット1本許すも、フルカウントで粘るバッターを三振に抑えるあたりが本当に頼もしい。
この回4人でチェンジ。

5回表、
ワンアウトから頼れる3番ななみんのバットが長打を生む。
ワンアウトランナー3塁、喉から手が出るほど欲しい追加点のチャンス。
県予選の重苦しい場面の時も、この子が打ってから攻撃が爆発した記憶が蘇る。
なんか持ってるな、この子は。

その後ツーアウトとなり、相手のエラーでななみんホームイン、1得点。
転がせば何かが起きるのは、全国大会でも同じ。あやてぃんは転がしのプロやね。

続くもえぴ、またまたヒット!

1塁から3塁を狙ったあやてぃん残念ながらタッチアウト。
この回1得点。2対1とリードしたが全然気は休まらない。
なにせ相手バッターのスイングが恐怖を感じる。スイングの強さというか上手さというか。
打ちそうな雰囲気みたいなものがある。

5回裏、
2本のヒット盗塁でランナー1.3塁とされた。
いきなりピンチ。でも不思議と失点も怖くない。このチームになってから、先制されても勝てる試合を経験してきたことが、どこか気持ちに余裕を与えてくれる。
なんなら私は、「1番バッターをシングルヒットに抑えた」という解釈だった。

2番バッターのショートゴロの間に1点が入り、あっさり同点にされたかと思うと、3番にガッツリタイムリー2ベースを打たれて、2対3と一瞬で逆転された。

しかしズルズルいかないのが真鍋-小嶋バッテリー。
4番、5番をライトフライに抑えて、1点差でこの回を終えた意味は大きい。

6回表、
ゆみちゃん、竹ぴ、なっちゃんの3連続安打と相手のミスも重なり、あっという間に同点に追い付く。
竹ぴ、良く打った!ベンチのみんなもびっくりだけど、本人もびっくりしてたね。

ノーアウトランナー1.3塁。
1番紗央里の打った打球はライトへ上がる。
タッチアップには充分よ、竹ぴ、足がちぎれてでも1秒でも速く走れ!!
心の中で言ったか口に出したか記憶にないが、竹ぴはホームへ返ってきた。
よくやった!
打った紗央里を褒めることを忘れ、竹ぴが打って走ったことに喜びが集中してしまった。

この回2得点。
4対3とリードし返した。
もはやゲームの流れなんぞ荒れ狂っていてどう転ぶかわからない。
目の前の1球に集中して結果を待つのみ。

6回裏、
ワンアウトからランナーが出る。
その後ゆみちゃんには珍しい死球でワンアウトランナー1.2塁。
セフティを狙った9番バッターを綾乃が1塁アウトとし、ツーアウトながらランナー2.3塁。

一番嫌な1番バッターを迎えた。
故意四球を申告しようと思ったが、ここはバッテリーに任せてみることにした。
どうやら考えていることは同じ。
ストライクを投げなかった。

次の2番バッターを三振で抑えて無失点で終えた時、勝利が半分見えてきた。
しかし油断は禁物。

7回表、
この回トップの4番あゆみんがまたもヒットで出塁すると、あやてぃんの進塁打、チャンスに強いもえぴのタイムリーツーベースで、ピッチャーを助ける追加点。
これで5対3とし、なおもワイルドピッチでワンアウトランナー3塁のチャンス。

7番ゆみちゃんのファーストライナーから、1塁手の3塁送球が乱れる。
これで2点目、6対3。
ラッキーだと思う反面、やっぱりキャッチボールの大切さを痛感。
この試合何度もオーバーランのランナーを狙い続けたななみんの送球は乱れない。

8番竹ぴ、乗りに乗ってまたもやセンターへクリーンヒット!
髪の毛が乱れるくらいヨシヨシさせていただいた。
この回はこれで終わり。
先攻なので、この試合の攻撃はこれで終わり。
もう取り戻せない。
3点差も気持ちに余裕は持てない打線を相手に、回を重ねるごとにやせ細ってしまっていくように見えたゆみちゃんが最後のマウンドへ向かう。

本当に本当に暑かった。
倒れてしまいやしないだろうか。
あまりの疲労した姿を見て、最後あゆみんにお願いする?と聞くも、「行きます!」と心強い返事。
あゆみん暑くてもピンピンしてるから、次の試合を託すことにして、この試合の締めくくりはゆみちゃんに頼んだ。

最終回、7回裏、最後の守りに選手たちを送り出す。
3番から始まる上位打線。
先ずはトップをピッチャーゴロで凌いだ。
その後はヒットにエラーが絡んで、エラーの連鎖で1失点。

落ち着け!
まだ2点差ある、バッターランナーだけを見ろ!
大きな大会でエラーが出るとチーム全体が浮足立つ。

最後はショートもえぴがエラーを引きずらない守りで、最後は詩音がサードファウルフライを掴んでなんとか逃げ切った。

結果は6対4だけど、本当になんとか逃げ切った。
相手のエラーにも助けられたし、反省することは山ほどあれど、全国大会は結果が全て。

どっと疲れた初戦となった。
90分ゲームが2時間にもそれ以上にも感じられた。
長かった。
ゲーム終了の整列。
試合開始前よりも、選手のみんなの背中が逞しく見えるから不思議。
整列に遅れ気味のばーば、早く走って!ってきつく言ってごめんね。

この暑さ、足腰弱ってるし並びに行くだけでも大仕事よね。
あとから反省した。

ここでようやく応援席を振り返る。
親御さんたちが、監督おめでとうと声を掛けてくれた。
勝つことはやはり嬉しい。
こんなにたくさん来てくれた応援団の前で勝利をプレゼントできたことが何よりだった。

急いでベンチを空ける。
荷物を出して、畳んだ椅子を元に戻す。
土居ばーばが一脚ずつ丁寧にタオルで土埃を拭き取る。
こういうところが本当に大事だし、ありがたいし、助かるところ。

2回戦までは1試合空く。
空いてよかったと思えるほど暑さがやばかった。あまりの暑さに飲料と氷が不足するも、親御さんたちが買い出しに行って下さり、これが本当にありがたかった。

お昼ご飯を食べてのんびり過ごしていると、綾乃が佐賀土産を手にトイレから戻ってきた。
佐賀と言えば杵島クラブさん!
わざわざ佐賀から来てくれていた。
後に私も会うことができて数分お話しさせていただいた。
私服で来る人たちじゃないですよ、ほんと。

杵島クラブさんは全国制覇を2度もされているチーム。
とにかくチームとして強い、素敵な人たちの集まり。まさにレディースチームの鏡。
我々の目標だった。

今ではほとんど活動できていないそうで、とても残念だ。
現況を語り合う中で、やはりチームが存続できているありがたさを感じる。
どんなに強いチームも、勝ち続ける難しさよりも継続していく難しさにぶち当たる。
レディースは各カテゴリーの中で一番難しいといつも思う。

就職、進学、転勤、結婚、出産、子育て、
ありとあらゆる人生のイベントが押し寄せる。
そのイベントの合間で巡り合うべくして集まったのが今のチームだ。
そして試合に来れるメンバーもいつも全員揃うとは限らない。
「その日試合に来たメンバーがベストメンバー」と思ってやるしかない。

この大会、コロナで1チーム棄権があった。
愛媛でも過去最高くらいに感染が広がり、出発する日まで気が気でなかった。
大会前最後の練習は体調不良の子もいて5人と寂しかったが、無理せず遠征にみんなが揃う方がいい。

うちも今回、美咲が直前に罹患し、仕事のシフト変更でこの日に一緒にグランドに立つことが叶わなかった。
もともと全員集まるのが難しい上にコロナのせいで!
誰にぶつければよいのかわからない怒りが湧いたが、どうすることもできない無力感。
美咲がどんな気持ちで今頃仕事をしているのだろうか。
今日勝ち残ることを信じて、荷造りをして、仕事終わりに出発する準備万端だろう。


ひとまず一つ目の山は越えたよと勝利報告。
使用後の得点表を撮影し送る。
「とべスワローズ」と書かれていることに気づきもしなかったけど、あとで綾乃が「ズ」を塗りつぶしていたようだ。

次の試合に向けてのアップは、各々が自由に体を動かす程度にした。
何時になっても暑いものは暑い。
今まで経験してきた中で、過去最高に暑い全国大会だ。

次もまた元実業団の方が多く所属するチームとの対戦が待っている。
初戦に続きしんどい戦いが予想されるも、強いチームと戦えることは幸せだ。

初戦と全く同じオーダーを握りしめたキャプテンが呼ばれる。

いよいよ2回戦が始まる。