超天篇の個人的なまとめ

はじめに

みなさんこんにちは、もるたーくです。
来週には十王篇第一弾の発売によって本格的に十王篇が始まるといったところですが、今のうちに個人的な超天篇のまとめのようなものを書いておこうと思います。
まずは超天篇の環境変遷について自分なりにざっとまとめました。どうしても私見が入ってしまうのはご了承ください。
まず結論から言うと、「マナドライブ6サイクルや自壊GRを筆頭として、超GRギミックをあまりにも強くしすぎてしまい、デュエルマスターズというゲームが大きく変わった一年間」と考えています。
その結果、「4体のクリーチャーを並べてそれらをコストに《ミッツァイル》を召喚する」「とにかくGR召喚の試行回数を稼ぐ」がゲームの勝利条件になったと言っても過言ではありません。
とりあえず最初に超天篇環境の変遷をざっと説明していこうと思います。


超天篇初期

超天篇は2種類のスタートデッキ、そしてその2週間後に発売されたDMRP-09から始まりました。当時のGRクリーチャーにはバトルゾーンに出たときに効果を発動させるものが《ツタンメカーネン》程度しか存在せず、離れたときに効果を発動させるものや何も効果を持たないもの、即効性のないものが主流でした。また、《KAMASE-BURN!》や《アストラ・ゼーレ》、《無修羅デジルムカデ》といったカードの存在から、GRのパワーラインが重要視されていたように思えます。今思えば《ギラミリオン・ギラクシー》を見て「《KAMASE-BURN!》で4000火力が確実に飛ばせる!強い!」って言ってたのが遠い昔のようですね。
そのなかでも、《KAMASE-BURN!》《♪銀河の裁きに勝てるもの無し》《音奏プーンギ》といったGR召喚を行う優秀なカードを獲得した《赤白轟轟轟ブランド》は最もGR召喚の恩恵を得たデッキであり、GP8thの特に2ブロックはベスト8のうち半数を占めるという戦績を残しました。
その他にも、《デジルムカデ》を組み込んだ《ドロマーハンデス》や《アストラ・ゼーレ》を採用した《チェンジザドンジャングル》、《音奏ハイオリーダ》による大量展開ギミックを獲得し、GP8th殿堂構築で準優勝を修めた《絶十サッヴァーク》、同大会で優勝を果たした《メタリカミッツァイル》はGRというギミックのポテンシャルの高さを示しました。当時のGRクリーチャー達は大量展開による打点形成や強力なオレガオーラのために用いられていた印象を受けます。また、高速コンボとして猛威を振るった《ウォズレックバジュラズテラ》はGRクリーチャーを《ヒラメキ・プログラム》のコストにするというかなり珍しい使い方をしていました。
また、超天篇を語る上では欠かせないカードである《BAKUOOON・ミッツァイル》も当時はGP8th終了後に流行した《赤白轟轟轟ミッツァイル》における《メメント守神宮》に対抗するためのカードとしての運用が主でした。


超天篇中期 

第二弾であるDMRP-10、100円パック、デュエキングパックという2つの特殊パックや新たなスターターの発売と殿堂発表によって環境は大きく動きます。この時期は強化されたGRクリーチャーを用いたデッキとGRクリーチャーを用いないデッキが入り乱れていた印象を受けます。
まずは強化されたGRを用いたデッキから紹介していきましょう。
すぐに思い浮かぶのは《ジョー星ミッツァイル》でしょうか。GR召喚によって展開したジョーカーズ達をコストに《夢のジョー星》を唱えてリソースを伸ばして《BAKUOOON・ミッツァイル》につなげ、《ミッツァイル》でタップされたジョーカーズをGRクリーチャーに変換、最終的に《単騎連射マグナム》+《ジョジョジョ・マキシマム》を揃えて安全にフィニッシュするというデッキです。4t目に勝負が付くことも珍しくなく、《陰陽の舞》が絡めば最速3tで勝負を決めることすら不可能ではないという圧倒的な速度を誇り、環境で活躍しました。
他にも有名なものとしては《轟轟轟ブランド》の穴を《MANGANO-CASTLE》や《S級原始サンマックス》といったカードで補ったビートダウンや、《ヴォルグサンダー》を失った穴を《WAVE ウェイブ》や《知識と流転と時空の決断》といったGRギミックでカバーした《ハンデス》等が挙げられます。
また2020年3月現在では存在を忘れている人も多いかもしれませんが、《Wave All ウェイボール》を採用した《赤青覇道》や《ミッツァイル》といったデッキも登場しました。
一方GRを用いないデッキとしては、5t目にエクストラウィンが可能という速度と《サイバー・K・ウォズレック/ウォズレックの審問》による妨害性能を武器とした《ロマノフワンショット》や、デュエキングパックで大幅な強化を受け、久しぶりに環境に舞い戻ってきた《モルトNEXT》が活躍しました。

それらのデッキが入り乱れるなか、事件は起こります。アルティメットクロニクルデッキの発売によって《アナダムド》が誕生しました。《虹速ザ・ヴェルデ》と《SSS級天災 デッドダムド》による圧倒的な盤面処理能力と《禁断機関VV-8》による安全なフィニッシュを武器に《ジョー星ミッツァイル》や《モルトNEXT》を蹴落としいきなり環境トップに君臨しました。また、《アナダムド》に勝てるデッキとして《青魔道具》や《ロマノフワンショット》が活躍した……かと思いきや《アナダムド》は《超奇天烈 ギャブル》や《お清めシャラップ》といったカードを搭載したため、環境トップとして君臨し続けました。《青白スコーラー》が新たなアーキタイプとして登場しましたが、それでも《アナダムド》の天下を揺るがすものではありませんでした。
各地で《アナダムド》の入賞が相次ぎ、10月のGP9thでもそのまま《アナダムド》が上位に君臨すると考えていたプレイヤーもいたことでしょう。

DMRP-11の発売と環境の変化

……しかし、環境を大きく揺るがす大事件が起こります。非常に強力なカードが数多く収録されたDMRP-11、超天篇第三弾の発売です。2020年3月現在でも猛威を振るっている《マリゴルドⅢ》や《天啓 CX-20》といったマナドライブ6サイクルや《続召の意志 マーチス》、《オコ・ラッタ》といったマナドライブ5のGRクリーチャー、《“魔神轟怒”ブランド》といった強力なGRクリーチャー、見るからに悪いことをしそうなパワーカードである《生命と大地と轟破の決断》、その他にもGR召喚を行う優秀なカードである《解罪 ジェ霊ニー》、《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》、《DROROOON・バックラスター》、《ジョリー・ザ・ジョルネード》といったカードも登場しました。これによってGRギミックを組み込んだ様々なデッキが大幅に強化させました。
《アナダムド》はミラーマッチにおける《解体人形ジェニー》の弱点を見事に克服した《解罪 ジェ霊ニー》や《マリゴルドⅢ》《天啓 CX-20》といった強力なGRクリーチャーを、《アナダムド》に有利が付くため立ち位置が向上していた《赤単速攻》は《“魔神轟怒”ブランド》による高い爆発力を獲得し、《ジョラゴンジョーカーズ》は《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》と《ジョリー・ザ・ジョルネード》による強力なGRギミックを搭載して環境復帰を果たし……といった形です。
その一方、新カードの登場によって新たなアーキタイプも誕生しました。超天篇を語る上では欠かせないデッキである《シータミッツァイル》です。《BAKUOOON・ミッツァイル》によって強力なマナドライブ6サイクルに事実上のフォースアゲインを打つことで爆発的なアドバンテージを叩きだし、最終的には単騎ラフルルによる安全なフィニッシュを行うというアーキタイプです。《WAVE ウェイブ》から《知識と流転と時空の決断》を唱えることで一気に4体のクリーチャーを展開、それらをコストにして《BAKUOOON・ミッツァイル》を召喚……といったようにまさに盤面が空っぽの状態からでも勝負をつけることが可能という高い展開力を誇る上、《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》や《DROROOON・バックラスター》の存在によってビートダウンにもある程度の耐性があり、単騎ラフルルが可能であるため受けデッキも否定することすら可能という全てにおいてハイスペックなアーキタイプでした。
GP9th直前に判明したこのアーキタイプによって《赤白サンマックス》といった中速のビートダウンや《青白スコーラー》といった受けデッキは存在を否定されることになり、強化を受けたはずの《アナダムド》すら環境トップからついに陥落することになりました。
そして《シータミッツァイル》の登場という大事件を迎えた2週間後にGP9thが開催され、《シータミッツァイル》はトップ128のうち最多の38人が使用しました。また、強化を受けた《ジョラゴンジョーカーズ》や《赤単速攻》、環境トップからは陥落したものの《アナダムド》も健闘しました。
しかし、見事に優勝を果たしたデッキタイプは恐らくほとんどのプレイヤーが意識していなかったであろう《青黒カリヤドネループ》でした。《シータミッツァイル》に対するキラーカードである《機術士ディール/「本日のラッキーナンバー!」》をフル投入出来る上に使い回しも可能、受けも決して悪くなく、初動が非常に多いために事故を起こす可能性も低いという非常に完成度の高いデッキです。
その他にも《生命と大地と轟破の決断》を利用した最速4ターンキルという速度を誇る《ネイチャーループ》や《メルゲドッカンデイヤー》といったデッキも入賞し、DMRP-11収録の新カードの性能を示しました。
《生命と大地と轟破の決断》は4ターンキルという速度を、《青黒カリヤドネループ》や《シータミッツァイル》は妨害や除去を絡ませながら5ターン目にキルまで持っていくことが可能であり、デュエルマスターズのゲームスピードはまた一段階上がっていったと考えてもいいかもしれません。

「ミッツァイル・マスターズ」開幕

GP9thが閉幕して間も無く、EX-07「必殺!! マキシマム・ ザ・マスターパック」が発売されました。このパックに収録された《回収TE-10》や《全能ゼンノー》、《“魔神轟怒”万軍投》といったカードによってまたもや環境は大きく動いていくことになります。《全能ゼンノー》の登場によって《ジョラゴンジョーカーズ》や《モルトNEXT》、《アナダムド》といった《全能ゼンノー》を乗り越えにくいデッキタイプは弱体化を余儀なくされた一方、《シータミッツァイル》は《オコ・ラッタ》の存在によって《全能ゼンノー》を自然に乗り越えることも搭載することも可能な上に《回収TE-10》や《“魔神轟怒”万軍投》を手にいれて更なる強化を受けました。
そして、このパックの発売は新たな《ミッツァイル》を誕生させました。《赤青ミッツァイル》です。
《赤青ミッツァイル》は最速で3ターン目に勝負をつけることすら可能という圧倒的な速度を誇り、環境に突如姿を現しました。そして《赤青》と《シータ》という2つの《ミッツァイル》が猛威を振るい、まさに《ミッツァイル・マスターズ》が始まりました。
《赤青》と渡り合うことが出来る《ハンデス》や《赤白サンマックス》といったアーキタイプは《シータ》に不利がついてしまい、その逆もしかり……という特性、そして《ミッツァイル》よりも遅いフィニッシャーが淘汰されるという構図から、環境における《ミッツァイル》の支配力は確固たるものとなっていきました。(これについては個人的な総括のところでもう少し詳しく説明していきます)
ここで注目を集めたのが、GR召喚に対するキラーカードである《機術士ディール/「本日のラッキーナンバー!」》とそれを使い回すことの出来る《WAVE ウェイブ》等のカードです。《ハンデス》や《アナダムド》等にそのパッケージを採用し、一定の活躍を納めたこともありました。しかし、枠とデッキパワーのある《シータ》に結局は淘汰されていくこととなりました。
GP9thベスト32の《アナダムド》は《ラッキーナンバー》と《龍装艦チェンジザ/六奇怪の四 ~土を割る逆瀧~》を採用することによって結果を残しましたが、GP終了後には殆どその姿を見せなくなったことがいい証拠です。

そして、相手の《ミッツァイル》によるGR召喚を止める《ラッキーナンバー》はあろうことか《シータ》や《赤青》にミッツァイルミラーに勝利するためのカードとして組み込まれることとなってしまいました。
特に《シータ》は《ラッキーナンバー》を採用しつつGRゾーンをコスト4のクリーチャーで固めることによって、相手が《ラッキーナンバー》の宣言を行う際に難解な2択を迫ることが可能です。
生き残ったフィニッシャーは速度で優位を持つ《龍星装者 “B-我”ライザ》、《“罰怒”ブランド》といったもの、あるいは速度は《シータミッツァイル》とほぼ互角なものの《ラッキーナンバー》が刺さりにくい上に《ラッキーナンバー》を非常にうまく使いこなすことが出来る《魔導管理室 カリヤドネ》程度でした。
《シータミッツァイル》と速度が同じくらいの《ジョラゴンジョーカーズ》や《モルトNEXT》、《アナダムド》といった《全能ゼンノー》を乗り越えにくい上に《シータミッツァイル》程のデッキパワーを持っておらず、失墜を余儀なくされました。
《シータミッツァイル》は速度がなければ厳しいという環境における門番のような役割を果たしていたわけです。

また《シータ》もその構築を変化させていき、《グレープ・ダール》+《エモG》のパッケージを搭載した型も登場しました。この《エモG》型は無限改造デッキ発売によって《無限合体 ダンダルダBB》と《ジョラゴン・オーバーロード》を得て強化され、その数を増やしていきました。

「ミッツァイル・マスターズ」の終焉、しかし……

エリア戦や各地のCSでも《ミッツァイル》は猛威を振るい続け、各地で《ミッツァイル》と《ラッキーナンバー》に対するヘイトが集まり続けたように思えます。そして《ミッツァイル》と《ラッキーナンバー》は殿堂入りを果たし、「ミッツァイル・マスターズ」は2019年と共に終焉を迎えました。

ここで少し話題を変えます。皆さんは《シータミッツァイル》や《赤青ミッツァイル》に採用されていた《ミッツァイル》のどこが一番ダメだったと思っていますか?

私は先述の通り、強力なマナドライブ持ちのGRクリーチャーに事実上のフォースアゲインを打つことで爆発的なアドバンテージを叩きだす点であると考えています。そして《ミッツァイル》の殿堂によって事実上のフォースアゲインを打つことが困難になる………はずでした。
しかし年末に発売された超天篇最終弾であるDMRP-12に収録された自壊マナドライブ持ちのGRクリーチャーによって事態は一変します。
彼らはGRを空っぽにして更にGR召喚のストックを作ることさえ出来れば勝手にフォースアゲインをし始めるのです。それに加えて、《マリゴルドⅢ》や《天啓 CX-20》といった非常に強力なマナドライブ6サイクルや《ダンダルダBB》《全能ゼンノー》といったオーバースペックなGRクリーチャーは健在です。更に抑止力として機能していた《ラッキーナンバー》の殿堂も追い風になった結果、《ミッツァイル》の後継とでも言うべきアーキタイプである《バーンメアジョーカーズ》や《4cドッカンデイヤー》が年明けと共に各地で猛威を振るうこととなりました。挙げ句の果てには自壊GRクリーチャーの代表格とも言える《ヨミジ 丁-二式》を使ってループを行い、相手をLOさせるデッキまで考案され、環境で暴れまわります。そして2020年3月現在に至ります。

個人的な総括

長くなりましたが2019年度、超天篇のデュエルマスターズが超GRの年であったことに異論を唱えるプレイヤーは殆どいないでしょう。
思い返せば、つい最近まで活躍していたカード達が2020年3月現在では環境で殆ど使われなくなっていることからもいかにこの1年間のカードパワーのインフレがすさまじいものだったかが伺えますね。
双極篇を代表するパワーカードであった《ドンジャングルS7》や《龍装艦チェンジザ/六奇怪の四 ~土を割る逆瀧~》が代表例でしょうか。《チェンジザ》は2019年内こそ、《本日のラッキーナンバー》を連打する目的でたまに使われていましたが、2020年3月現在では殆ど見かけなくなりました。また、《奇石ミクセル/ジャミング・チャフ》すらも《WAVE ウェイブ》と《ファイナル・ストップ》の台頭もあって《赤白GR》以外では採用されなくなりました。その他にも、《デモンズ・ライト》や《解体人形ジェニー》といった汎用カードも新規カードにとって変わられ、そこまで使われなくなっていきました。
この記事の執筆中に「クリエイターズレターvol34」公開され、開発も超GRに対して反省点を抱いていることが表明され、それにともなって超天篇に対して不満をのべる声が上がったように感じます。
私のなかでは先述の通り、マナドライブ6サイクルや自壊GRを筆頭として、超GRギミックをあまりにも強くしすぎてしまった1年間のように思えています。
新たなパックが発売される度に強力なGRクリーチャーやGR召喚を行うカードをリリースされ続け、それらを止める手段はもともと少なかった上に超天篇のなかでGRギミックへの対策として機能する新規カードを収録せずに《ヴォルグ・サンダー》や《ラッキーナンバー》といった数少ない抑止力すら規制することで意図的に最強にしたような節すら時々感じることがあります。
その結果、「4体のクリーチャーを並べてそれらをコストに《ミッツァイル》を召喚する」「とにかくGR召喚の試行回数を稼ぐ」がゲームの勝利条件になったと言っても過言ではありません。《クリスマⅢ》や《サザン・エー》といった序盤から堅実にアドバンテージを稼ぐことの出来るGRクリーチャーまで登場したことでこの傾向はいっそう顕著になっていきました。
そして後半になるにつれて超GRのギミックを効率よく利用するためにデッキが組まれるようになっていき、超GRを組み込めないデッキや効率よく利用することの出来ないアーキタイプは淘汰されていったように思えます。

この流れを例えるならば、

「強力な武器や防具が発明され、それらを装備した兵士たちが戦争をするようになった」

「強力な武器や防具が発明され続け、挙げ句の果てにサイボーグと化した兵士達がドンパチする世紀末が訪れた」
といった感じでしょうか。(わかりやすくないですね笑)

また、超天篇を経たデュエルマスターズは《妨害込みの5ターンキル》を目指すゲームとしての側面が強くなってきたように思えます。
何故このような側面が強くなってきたのかというと、単純に「ゲームに勝つのに必要なマナの数が減ったから」だと思っています。これについてもう少し詳しく説明していきましょう。

まず《ターボゼニス》を例にとってみましょう。各種ゼニスをバトルゾーンに召喚するためには10マナ程度必要であり、そこに到達されるまでに勝負をつけることが望ましかったわけです。
それに対して《シータミッツァイル》や《4cドッカンデイヤー》は重量級マナドライブが解禁される6~7マナ程度までマナを伸ばせば十分です。そしてそれらを中心として環境は回っていきます。
6~7マナが到達点という都合上、タイムリミットはどうしても短くなってしまいます。《シータミッツァイル》や《4cドッカンデイヤー》に勝つためには
・それらのデッキタイプに刺さる妨害を搭載すること
・妨害で稼いだターンで勝負をつけることが出来る速度
の2つが求められます。
妨害がなくても速度があればある程度は戦えますが、速度は必須と言えるでしょうね。メタを搭載するだけでは間違いなく勝てないでしょう。

《無双の縛り 達閃》を採用したビッグマナが環境で勝てない理由は、まさに《達閃》で稼いだターンで勝負をつけることが出来ないからですね。こちらが勝つよりも先に《シータミッツァイル》や《4cドッカンデイヤー》が《達閃》を乗り越えてしまいそのまま勝負がつきかねません。超天篇のデュエルマスターズでは速度のないデッキは勝つことが出来ないのです。

その2つを満たすことの出来ないデッキは《シータミッツァイル》や《4cドッカンデイヤー》に勝つことが出来ず、環境から淘汰されていきました。そしてその2つの条件を満たすことの出来るデッキが環境に残ったのです。《カリヤドネループ》や《赤単B我》はまさにその2つを同時に満たしたデッキタイプですね。

また、3t目には勝ちまで狙えるほどの圧倒的な速度を誇る《赤青ミッツァイル》《零龍ギャスカ》あたりもアイデンティティーはしっかり保つことができています。
しかしこの条件を同時に満たせるデッキなんて当然多くはありません。
その結果《ラッキーナンバー》や《無双の縛り 達閃》を搭載した《シータミッツァイル》で《シータミッツァイル》をメタるという環境になってしまったわけです。

また、4キル出来るほどの速度があっても妨害1枚で詰んでしまうデッキも勝ちきれません。《生命と大地と轟破の決断》を利用した《メルゲドッカンデイヤー》や《緑単ネイチャー》は間違いなく強いアーキタイプだったはずなのに《ラッキーナンバー》を乗り越えることが出来ずに勝ちきれなかったのがいい例ですね。現環境でも《奇天烈シャッフ》を始めとしたあらゆるメタに弱いという欠点があるが故に《ハイオリーダファイブスター》は大して数がいませんしね。
ちなみにファンもとても多い《モルトNEXT》を例にとっても環境の加速具合がよくわかると思います。
律儀に7マナ貯めてドラグナーをプレイするのではどうしても速度が厳しいと言わざるを得ません。ドラグナーを出せたとしてもそれだけでゲームに勝てるわけではありませんしね。そのため7マナではなく5マナで大型ドラゴンをプレイできる可能性がある《不死鳥NEXT》が主流になったわけです。

また、メタデッキの初動の枚数配分からもゲームスピードの高速化を見ることが可能です。
双極篇後半から超天篇開始直後の環境で全国大会2018のベスト8のうち2人とGP8th殿堂構築ベスト8のうち2人が使用していた《チェンジザドンジャングル》を例にとって見てみましょう。
当時の《チェンジザドンジャングル》における3コスト以下のブーストの配分は《フェアリー・ライフ》4枚に加えて《神秘の宝箱》や《黒豆だんしゃく/白米男しゃく》を3~4枚程度採用、といったものでした。当時は5ターン目の《チェンジザ》着地でも十分に戦えましたし、2コスを増やしすぎて後半の動きが弱くなりすぎるのもよくなかったと考えられていたが故にこのような配分になっていたわけです。
ここで超天篇のデッキを見てみましょう。《シータミッツァイル》も《4cドッカンデイヤー》も2コストブースト9枚が標準装備になっています。これはゲームスピードの高速化によって「どうしても2コストブーストが出来ないと出遅れる」という環境になったからですね。
高速化した環境についていくために2ターン目にしっかりブーストする動きの再現性を高めることが求められたわけです。
《カリヤドネループ》や《4cドッカンデイヤー》のように再現性が非常に高く、高確率で5ターン目にキルをしてくるデッキが環境上位にいる以上これは妥当なアプローチと言えるでしょう。
《4cドッカンデイヤー》は2コストブーストを引けなくても多色を掃きながらの3ターン目《天災デドダム》スタートでも余裕で5キルは狙えますし。

また、1年前の双極篇環境では《ゴクガサイクル》が「大した妨害もせずに最速ルートを取って且つ《ゴクガロイザー》が1ターン生き残ることで」5ターン目にキルを狙ってたことを踏まえると、いかに1年間でゲームスピードが加速していったかが伺えます。
私は1年前に《無色ジョラゴンジョーカーズ》を愛用していたのですが、今の環境ではそもそも4ターン目に《ガヨウ神》、5ターン目に《ジョット・ガン・ジョラゴン》という動きがそこまで強くないと判断していますし、仮に《ガヨウ神》を4枚使えるようになったとしても(勝つことを目標にするならば)CSに持ち込む気にはならないと思います。

本当によくも悪くも超GRゾーンに支配された1年間だったように思えます。
まぁ私個人としては楽しかったこともいっぱいありましたが。
《シータミッツァイル》や《4cドッカンデイヤー》といったデッキの構築を考えるのは大好きですし。

何はともあれここまで読んでいただきありがとうございました。
ご意見や感想等がございましたらコメント欄か筆者のTwitterアカウント(@DMYP555)までよろしくお願い致します。

おまけ 《ミッツァイル》と《ラッキーナンバー》殿堂の是非について


Q.ミッツァイルはマナドライブに◯されたの?

《4cドッカンデイヤー》や《バーンメアジョーカーズ》の活躍を受けて「ミッツァイルが強いのではなくマナドライブが強い」という認識が広まったように思えますが、個人的にはこの考えは半分は当たっていて半分は間違っていると思っています。
また、「《ミッツァイル》は無規制でいいから強力なマナドライブ持ちGRクリーチャーさえ規制すればよかった」が完全に正しかったとも思えません。
《赤単速攻》や《赤白轟轟轟ミッツァイル》といったビートダウンにおいても活躍していたことから伺えるように、マナドライブだけでなく《ミッツァイル》本体のスペックもかなりオーバースペックなものだったと私は考えています。
そもそもマナドライブや事実上のフォースアゲインによるソリティアを抜きにして考えても、「フリーズやプリン効果、メメントによるオールタップをケアしながらたった1コストで2打点追加し、全員にSAを付与するアルティメットキリモミスラッシュ」みたいな性能をしてますし。

Q.ラッキーナンバー殿堂は間違いだったの?

《ラッキーナンバー》を殿堂入りさせてしまったことで《バーンメアジョーカーズ》や《4cドッカンデイヤー》が年明けともに暴れまわったのは事実です。
もっとも年末に《ラッキーナンバー》がヘイトを集めたのも紛れもない事実で、仮に《ラッキーナンバー》に規制をかけなくてもそれはそれで弊害が生じていた可能性は否定しきれません。超天篇に入ってから《ウォズレック》《WAVE ウェイブ》《カリヤドネ》といった連打する手段も増えていましたしね。
具体的には、
・GRギミックを取り込んだデッキで再び悪用される
・《ラッキーナンバー》とそれを連打するカードを半ば入れざるを得ない環境になってしまう
といった事態になっていた可能性があります。
「《ラッキーナンバー》は必要悪だったが、GRギミックを取り込んだデッキが《ラッキーナンバー》を無理なく搭載できるのが悪かった」というのが私の見解です。もっと言うなれば《WAVE ウェイブ》が悪いと言うことも出来るのかもしれませんね。
個人的な考えとしては《WAVE ウェイブ》からGR召喚されることで《ラッキーナンバー》の連打や稼いだターンで勝つだけのリソースの確保を可能とした《天啓 CX-20》や《回収 TE-10》、墓地から《ラッキーナンバー》の再利用を可能とした《ダンダルダ》に問題があったのではないかと考えています。

本当に終わり

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