トークライブ “Let’s Talk About RACISM vol.2” をふりかえって[Seiji Horiguchi]
2020年、夏。長い梅雨が明け、ようやくうだるような暑さが関西にも到来している。コロナの感染者が再び急増している(と報道されている)関係で、再び町の活気が失われかけている大阪の一角でこの記事を書いている。セミだけが例年と変わらないけたたましさをキープしている。
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さて、7月26日に我々「草ノ根」が主催する黒人差別についてのトークライブ「Let's Talk About RACISM」の第二弾を開催した。第一回目に開催した頃(6月13日に開催)は、ジョージ・フロイドさんが白人警官に殺害されてから間も無く、SNSを中心に "Black Lives Matter"というワードが爆発的に広まった時期だった。しかし「言葉が先行しすぎて思考や行動が伴っていないのではないか、あるいは一過性のムーブメントに終わってしまうのではないか」と危ぶみ、きちんとこの言葉の本質を考える機会を(何より自分自身に)設ける為にトークライブを開催するに至った。
第一回目の開催からおよそ1ヶ月。私の周りの人の印象でいうと、SNSでの言及は減ったものの、ふとした時の会話の中に人種あるいは人権の話が出てきたりするようになったところを見ると意識の変化がわずかながら、確かにあるのではないかと思う(もちろん個人差はある)。1週間ほど残していたアーカイブを視聴し、後日感想を送ってくれた方が何名かいた事もとても励みになった。
また私自身の変化でいうと、日常会話においても「外人」あるいは「ハーフ」という言葉に違和感を感じ、できる限りその言い方を避けたり、言い直す癖がついた。(外人→外国人、ハーフ→ミックスなど) つまり「自分の中に差別の意識が一切ないとしても、その言葉によって傷つく人がいる可能性がある」という点を今まで以上に考え、言動を省みるようになったように思う。
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さて第二回目である今回は、参考文献である上杉忍 著『アメリカ黒人の歴史 奴隷貿易からオバマ大統領まで』(中公新書、2013年)の第一章[黒人奴隷制共和国アメリカ]を紹介するというのが主なトーク内容だった。
いかにして、アフリカから黒人が運ばれ、奴隷になったか。そして植民地だったアメリカが独立し一つの国として自立する中での奴隷の立場や環境の変化。アメリカが独立した後も奴隷制度は存在し、酷く激しい差別が続いた。ショッキングな内容が続いたが、直視せねばならない。(それは何故か。トークライブ第一回目のハイライト、「後ろめたさ」の話に戻ろう) →https://note.com/kusanone_net/n/n27260c86cacd
また黒人の間でも肌の色の濃さによって差別が発生する事に対して「それは知らなかった」というコメントも。より複雑な問題だということを再確認した。
トークライブ中盤では前回に引き続き知人や恩師からいただいたステイトメントを発表させていただくコーナーを。北海道は斜里のダンサーMETHさん、私の大学の同級生のミキさん、そしてアカネさんの友人サノリオさんの計3名のコメントを代読させていただいた。いずれも目の覚めるような視点で、真摯なメッセージを寄せてくださった。この場を借りてもう一度感謝申し上げる。
予定の時間より大幅にオーバーしてしまったものの、リアルタイムで20名以上の方が最後まで視聴していただいた。今回もアカネさんのご家族や友人が積極的にチャットに参加してくださったりと、多くの方とトークを共有できたことがとても良かった。様々な地域、年代、職業の方に視聴していただいたり、ステイトメントを紹介することによって、なるべく我々2人の視点に偏らないようにするのが狙いでもある。私の家族も視聴してくれたようで、リアルタイムのチャットには参加しなかったものの、配信後に感想を送ってくれたりもした。
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先日発刊されたMUSIC MAGAZINE8月号も、BLMについて取り扱っており、立命館大学のウェルズ恵子教授(何を隠そうアカネさんが在学中お世話になった教授だ!)も執筆されていたりと、アカデミックな知見に基づく記事が充実していて非常に勉強になった。今回の我々のトークライブの内容と重なる部分もかなりあったので、気になる方は購入をおすすめする。
トークライブの最後にも言ったのだが、歴史を学ぶのと同時に「実際に黒人はどう感じ、どう考えているのか」を知る事も重要だと考える。ダンサーのブルックリン・テリーさんがNYに住むダンサーに声をかけて、大規模なZOOMでのトークを開催されているので、そちらも今後開催されるようであれば是非チェックしたい。その他にもワシントン在住の押野素子さんや、LA在住の塚田桂子さんなど、日本人ライターのTwitterも現地のリアルな状況を知るのに役立っている。
https://twitter.com/moraculous?s=20
https://twitter.com/kokosoultrane?s=20
差別、偏見、そしてステレオタイプによって間接的に生み出されている人権問題は山積している。マイノリティの人々の人権がないがしろにされる事が多すぎる(この事に僕が気づけたこと自体、僕にとっては進歩なのかもしれないが)。「All Lives Matter」を主張される方の気持ちも重々理解できる。それら全てに対しての想像力を養う為にも、まずはこの「Black Lives Matter」についてのトークライブが必要であり、定期的に開催する事が重要だと考えている。コロナが終息し、ある程度の人数でのトークが可能になればゲストを招聘して開催したい。
Seiji Horiguchi
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