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短いなにか


砂浜

けれど、書いても書いても波が消していきます。僕は、何も残せないガラスの破片を握ると、雨のように砂浜に落ちました。

美しいと思いました。戻れないと思いました。伝言を残そうと思いました。
(2024年4月20日頃)

闇の音

闇の音を聞いてみた
闇の音を知っていた
心臓の音が鳴っていた
(2024年7月30日)

明るい闇

明るい闇っていうのはね
くっきりはっきり真っ黒い
その中にいたら怖くない
何よりも黒い闇だから
守ってくれる闇だから
何も混ざっていないから
すべてが混ざっているのかな
わたしが混ざっていいみたい
混ざらなくてもいいみたい
いつでも闇はそばにいる
いつでも闇は待っている
(2024年7月30日)

青は透明の色で
青は螺旋の色で
どこにでも隠れて
どこにでもある
(2024年7月30日)

キラキラの石

キラキラの石を
ギラギラに磨いて
眩しすぎるから
川に沈めた

ギラギラの石は
苔むして
キラキラ鱗の
赤ちゃん育てた
(2024年7月21日)

花火

闇が花火に驚いて川面にきみを誘い出す。
きみはパシャンと跳ねてみて花火の形に波紋を作る。
(2024年7月6日)

夜空の星をつなげたら、なんだって描けた。花も、魚も、鳥も。だけどそれは、星だった。あれは花、あれは魚、あれは鳥、違うんだ。あれは星だった。なんにでも見える。卵が見える。爆弾が見える。星が見える。僕は瞬きをした。星も瞬きをした。
(2024年6月18日)

アメダマモドキ

傘を差すあなたの足元の水溜りに、ぱちぱち弾ける波紋があったら、それはきっとアメダマモドキ。雨粒といっしょに鬼ごっこ。遊びに夢中で雨がやんでも気付かずに、水溜りに波紋を作っていたら、「雨はやんだよ」と教えてあげて。きっと彼らは急いで葉裏に帰るでしょう。
(2024年5月28日)

月と太陽

夕暮れ前の空にぼんやり浮かぶ白い月と、深夜に輝く金色の月は、どっちが好き? と、真っ昼間の太陽の下で聞くきみが好きだと思った僕の耳は赤くなった? だからやっぱり赤く見えるのは太陽が照りつけているせいだよと言える場所で聞いてくれたきみが好きです。
(2024年5月27日)

草原

見上げれば青空。数えきれない紫花のシャンデリア。漂う香りは藤の花。風が草原を染める。赤から黄色へ黄色から緑へ。腰まで埋まる草の中を、あの子は進む。迷子の綿毛がやってきた。あの子は笑って手を伸ばす。笑顔につられて綿毛は踊る。どこへ行こう。雲の隠れ家はどうかな。目印の柳を探そうね。
(2024年5月26日)

あなたが花を愛でるなら

あなたが花を愛でるなら、私は土に願いましょう。
あなたが木陰を望むなら、私は雨を呼びましょう。
あなたが未来へ行くのなら、私は種になりましょう。
(2024年4月6日)

このページのヘッダー画像はこの短文をChatGPT 4oに読んでもらってDALL·E 3の機能で生成してもらった画像です。(2024年5月19日)

風媒花

まっすぐ育った。大きく育った。きっとみんなが喜ぶはずだった。足りないのかもしれない。仲間を増やそう。もっともっと。ふるさとの空を黄色く染めて旅に出る。行先はわからない。誰にも頼れない。ただ風に乗る。私が辿り着けなくても。アスファルトの上が最期でも。きっと仲間が叶える。私は風媒花。
(2024年3月23日)

どこから来たの
南から来たの
どうやって来たの
風に乗って来たの
どこへ行くの
土の中へ行くの
何しに行くの
おはようって言うの
(2024年3月2日)