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さなコン3:コンペイトウモドキ星人

2023年4月28日から開催されていた「第3回日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト(さなコン3)」に、2作を応募して参加しました。楽しかったです。

「さなコン3」は、書き出し文が指定されていたコンテストでした。

「チャンスは残り三回です」どこか楽しげに声は告げた。

「さなコン3」の共通書き出し

このnoteは、私が「さなコン3」に応募した「コンペイトウモドキ星人」に関するいろいろです。
ラストまでの展開やオチを前提に書きます。裏設定的なことも書きます。もしかしたら今後に書くかもしれないことのネタバレにもなるかもしれないことも書いているかもしれないです。

「コンペイトウモドキ星人」をお読みいただいた方で、作品の周辺情報や裏話はいらない方や、「これは知りたくなさそうな気配がする」と思ったら、このページを閉じて知らんぷりしてください。


「コンペイトウモドキ星人」

一次選考を通過できてフィードバックコメントをいただきました。とてもありがたいです。言葉のぜんぶが嬉しいです。ありがとうございました。
「コンペイトウモドキ星人」へのフィードバックコメントは、下のリンクにある一次選考通過作品のPDFファイルの10ページ目にあります。


それでは、ここから、「コンペイトウモドキ星人」についてのいろいろを書きます。

人力発電の世界

「コンペイトウモドキ星人」の世界での電力は人力発電です。

発電ハンドルというものが各住居などにあって、それをくるくると回すのが人類の仕事です。発電量のノルマはありますが、毎日5時間程度の仕事時間でクリアできるようになっています。ハンドルをくるくる回しさえすれば、電気がつくられ、その電気によって、ロボットがすべての労働をしてくれます。
主人公(「コンペイトウモドキ星人」というタイトルですが、アルを主人公としておきます)の家には、手で回すハンドルが壁に付いていましたが、自転車型で足で漕ぐタイプなど、バリエーションもあると思います。回す以外の方法もあるかもしれません。

生活に必要なものはすべて配給され、嗜好品などの非必需品のサービスも存在しています。すべては遠隔・配送・訪問で満たされます。そのため主人公はひきこもっていますが、外に出ることが禁止されているわけではありません。発電以外の仕事をしている人も少ないけどいます。

このような世界、個人的にはありでは!と思ったのですが、どうでしょう。
全世界の全員でなくても六割くらいの人が発電ハンドルを回す仕事をしたら、いけるのでは?しかも未来的な技術ならいけるのでは?という希望が捨てられなくて書きました。

フィードバックコメントでは、「暗澹とした様子」の世界と表現されていました。あまり歓迎されなさそうな世界のようです。
「ぇっ」
「ぇっ」

文章面では、この世界の仕組みをどうあきらかにしていくかについて、試行錯誤しました。改善できるところはたくさんありそうなのですが、特に、発電の話の登場のさせ方が唐突すぎたのではと思っています。

人間が造っているからといって確実にうまいというわけでもないが、発電以外の仕事をしている人間がいると思うと、嬉しくなる。俺は発電しかしていない。

「コンペイトウモドキ星人」より

敢えて唐突に出すという書き方はあると思うのですが、これは敢えてではなくこうなってしまいました。
これのベストはどこか違うところにありそうです。

「蓄電コイン」の書き方も悩みました。
ノルマを超えて発電した分は、「蓄電コイン」という電池みたいなものにすることができて、貨幣のように使えます。
「蓄電コイン」に関係なく、生活必需品は配給されます。けれど、頑張ったら頑張った分だけ「蓄電コイン」をつくれて、好きなサービスや欲しい物の購入に使えるようになります。なお、ノルマ分は、電線で集電先に送られます。
人間は「蓄電コイン」を支払いに使います。ロボットは「蓄電コイン」の電力を自身のエネルギーに使って消化します。
ロボットがおこなう商売はたくさんあって、人間から「蓄電コイン」をもらいたいので業者間での競争が発生しています。「蓄電コイン」を受け取ってはいけない場合のルールがありますが、それを破る賄賂取引は横行しています。
賄賂取引のことは少し書きましたが、もうちょっといろいろ書きたかったです。エピソードを作中で書いたり消したり書いたり消したりして消したままになりました。わかる、わからない、わかる、わからない、わか……うーん文字数の制限内にまとまらない、となって削りました。

コンペイトウモドキ星人の生活環

物語のラストで、コンペイトウモドキ星人は熱とハンドルの回転によりワタアメモドキ星人になるのですが、この変態は、菌類とかシダ植物とかの生活環をイメージしました。

コンペイトウモドキ星人として寄生した先で熱を得てくるくる回るとワタアメモドキ星人になって空へ昇っていき、雲のように漂い、~(略)~、あられを降らす(産む)。アラレモドキ星人の誕生です。そして、アラレモドキ星人は、~(略)~、コンペイトウモドキ星人に変態し、~(略)~、という構想です。
でも、そんなことどうでもよくて、「なんで星人の種類が変わっちゃうの笑」と突っ込みを入れながら読んでもらえたらとても嬉しい部分です。

主人公は、コンペイトウモドキ星人の生活環に一時的に参加した、という物語になりました。

この物語からのメッセージ

それで結局この物語はなにを言いたかったのかといいますと、


「お酒はほどほどにねぇっ」



ありがとうございました。