マガジンのカバー画像

追憶のポエミー【詩集】

8
運営しているクリエイター

#空虚

to You

雨音の響くバス停で 窮屈に握る折り畳み はみ出た肩が濡れながら 袖が湿って重くなる 小さなブーケをぶら下げて わたしはひとりで立っていた “Happy Birthday to You” 頭の中で歌ったけれど この声はそこへ届くでしょうか 思い返すのは笑顔のあなた あなたと一緒に微笑むわたし 会えないあなたは笑えてますか 選んだ暮らしは楽しいですか まあるくほころぶ赤い薔薇 名前も知らない青い花 外では変わらず雨の音 茎が斜めに揺れている 水道の水を溜めた瓶 一粒の泡が浮

道徳的な学習の時間

薄っぺらい教科書が一冊 一週間で最高につまらない授業の始まりです 個性を見つけよう! 自分探しノートを書こう! 自分だけの何かが欲しい 誰かにとっての特別になりたい みんなに認めてもらいたい それがもしキラキラと輝いて 問答無用に素敵な自分を映してくれるのなら お金払ってでもダウンロードしたい かもね 普通は嫌だと我儘な心が叫ぶ 普通が一番と臆病な心が囁く 天の邪鬼にぐるぐる回って きっとそれが私だけの個性 なんてね 個性を見つけよう! 自分の性格を発表しよう!