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萩野翔、どう生きる。

萩野翔(Sho Hagino)さん

1994年、栃木県小山市生まれ
2人兄妹の長男として育つ

栃木県立栃木高等学校を卒業のち、
早稲田大学創造理工学部環境資源工学科へ入学
同大学の大学院に進学し、在学中

「今からVRやりませんか!」

屈託のない笑顔で話しかける。
その笑顔に誰もが心を開く。彼のズルい魅力のひとつだ。

「(空き家の間取りを見せながら)ここからみた景色が、360°見えるんです!」

来春に就職を控えた彼は、今年の8月から新潟県佐渡島(さどがしま)にある空き家を借りている。

「佐渡島との最初の出会いは、大学一年生の夏ですね。
大学の友人のスケジュール帳に、 “佐渡”って書いてあって…、気になって。サークルで行くって言うから、連れて行ってもらったんです。」

「その後もサークルで何度も佐渡島に行って、どんどん好きになって。

でも、3年前に泊まった空き家が恐怖だったんです…!
誰が住んでいたままの状態で何年も放置されていて、座布団返せば虫の卵が張り付き…。

“こんな家が日本中にあるのか”と思うと空き家の課題が見えてきました。」

真っ直ぐな彼の瞳には、大好きな場所が抱える課題が見えていた。

「佐渡島が好きすぎて、卒業したら移住しようかなって…。でも、決断できなかった。
ここで一人で仕事が見つけられるのか?自分の幸せだけ考えていいのか?

大学院に進学したからには、お世話になった親や親戚を安心させたくて、大企業に入ることを決めました。」

佐渡島への想いは就職とともに消えてしまうのか?
海外勤務も多い大企業への就職に、彼を知る誰もが不安を覚えたはずだ。

「10年くらいして、一人前になったら佐渡島に住みたいなって思ってるんです。

海外勤務になったら異世界だし、先輩からも大変だって聞いてて。でも僕はそんな仕事に魅力を感じて打ち込んでしまうと思うから。

この佐渡島への気持ち、忘れちゃうなって思って家を借りたんです。」

佐渡島はなぜこんなにも彼を惹きつけるのか…

「んー…、人生で”佐渡島”と”サッカー”だけはどっぷりハマったんですよね。
うん、何で好きなのかわからない。笑」

佐渡島とサッカー…?
幼少期から始めたサッカーのストーリーを遡ることで、彼の生き方が分かるのだろうか。

「幼稚園の友達と仲良くなりたくてサッカーを始めました。みるみる上達したし、当時はサッカー選手になろうとも思いました!」

「でも…、高校3年の最後のインターハイは不完全燃焼で終わりました。」

「国公立の優秀な大学を目指して浪人する生徒も多い、栃木県有数の進学校でした。

でも僕はサッカーへの想いが不完全燃焼のままだったから、受験勉強への切り替えも上手くできなくて…。
指定校推薦で今の大学に決めました。」

「大学進学後も強いサッカーチームを希望して、最終選考まで進みました。

でもまた、最終選考のタイミングで怪我をしたんです。

あー…、僕にはサッカーはちがうんだ。って思いました。」

好きなことに理由なんてない。

熱い競争心、そして自身と向き合う誠実さが、多くの信頼を集めるのだろう。

そして、ようやくわかった気がした。

サッカーへの想いが途絶えた彼に、入れ代わるように入ってきた佐渡島への想いは確固たるものだ。

「進学後も少しサッカーをやってたので、新歓期にサークルに入り損ねてしまって。

だから佐渡島に初めて行った時、”ミーティング”っていうものを大学生がしているのを初めて見たんです!」

「そのミーティングの細かいことは覚えないですけど…。

とにかく皆すごい!!って思ったし、自分からこんな言葉がでるんだ!!ってびっくりした。」

「リーダって面白そうだな!とか、ファシリテーターってすごいな!とか。

そう思ったら早く皆に追いつきたくて、多くを吸収するためにはどうしたらいいかって…、
それで環境活動のNPOに入ったんです。

ストイックな僕にとっては、そこは塾のような良い場所でした。」

「佐渡島で空き家を借りましたが、僕のやりたいことをやるには、他の人の力も必要。

だから周りの友人が、
”これ手伝えるよ!”とか
”こういうことしてみたい!”とか
そう言ってくれて、
皆で楽しく一緒になってやって…、

一人でできないことはそうやって皆でできたらいいんです。」

「そう思うようになったのは、大学生団体の環境活動のコンテストで学生審査員をした時から。

どの団体も人手不足を課題に思っていた。
理由は”人数がいないと今の活動が継続できないから”。

でも僕は、組織に属する人は足し算や掛け算のような簡単なものではないと思います。
時にマイナスにもなる。」

「ずっと、ゴールを明確にしてプロセスを決めることで成果がでると思ってました。

でも、”ゴールは明確だけどプロセスを決めず、ジグザグに進むことで成果をだす人もいる”って記事を読んで腑に落ちました。安心した。」

「これから就職して、どうなるかわからないけど…。

僕は自分の進みたい方向にジグザグに進もうと思います。」

「社会に出て仕事をして一人前になって、佐渡島に戻ってきたい。」

萩野翔、どう生きる。

インタビュー日…2018.8.23

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