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精神科医療の未来を語る

「イタリア北東部の港町、トリエステには精神科病院がない。」
イタリアと日本の精神科医療の違いが、今回最大の問題提起だった。

日本は精神病患者は400万人ほど。
加えて受診していない潜在患者が多く存在すると言われている。

精神科病院というより、閉鎖病棟という言葉の方がわかりやすいかもしれない。
閉鎖病棟では、治療という名前のついた、過剰な投薬治療や拘束が日々行われている。

統合失調症の患者の1人は、「ベッドに拘束され、トイレにも扉がなく、人としての生活が認められない。まるで監獄に入るような、地獄の入院だ。」と話した。

代表的な精神病の一つ、うつ病は大学の頃から時折勉強をしていた。

学部の授業では、うつ病の旦那を支える夫婦を描いた映画「ツレがうつになりまして」を観てレポートを書いた。
精神病患者のカウンセリング映像をみて、ショックを受けたりもした。

でも、日本の精神科医療の現場の実態は、想像をはるかに超えた。

■日本の精神科医療の現状

・精神科は私立の病院が増え、地域との関わりが減ってしまったこと。
昔は地域密着で、知的労働の困難な患者は農業で雇うなど、村全体で面倒を見ていた。

・200日という医学的根拠のない入院期間を設け、莫大な治療費を請求していること。
その期間、人や社会との接点を断つこととなる。その代償はあまりに大きい。

・病への理解だけでは同じ空間で過ごすことのできない、家族の悲しみ。
相手に害を与える恐れがあることが、精神病患者の治療を難しくさせる。

とにもかくにも、「最良の治療法がわからないんだ。」と話す精神科医。

精神科医療に興味のある方は是非、
大熊一夫さん(ジャーナリスト)作の「精神病院のない社会」の予告編だけでもご覧ください。

http://180matto.jp/index.php

セミナーの〆は、大熊さんによるオペラのサプライズ。
ジャーナリストとして、精神病患者の演技をして閉鎖病棟に潜り込み、本を書き、映画を作り、オペラまでも習得する多彩な方だ。

キャリアカウンセラーは、精神病の一次予防(病気発症自体を予防する)の役割を期待されているだろう。

そして世界保健機関(通称WHO)が定める健康の定義を理解し、健康な人が増える日本社会の創造を求められているのだろう。

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること。(日本WHO協会訳)

日本の精神科医療の未来が、前向きな方々の知恵と覚悟で、どうか好転するようにと想いを託す。

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