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(短編物語)赤い毛をしたきつねの話② 親友の決意
秋ももうかなり深まってきてしまいましたが……もうすぐハロウィーンですね。
ベルイは、きつねだった。それも、夕日のような、赤い色の毛をしたきつねだった。ベルイのために、ベンチを作りに来た物作り職人のロット・ブラウニーは、ベルイを見て、ストロンチウムの赤だ、といった。ベルイの毛は、焼きつくような、べったりとした紅色だった。
ベルイは、いつものように、迷彩柄のポンチョを、フードまでしっかりとかぶっ
(短編小説) カフェの四人組
こじんまりとした、けれども、空間を広々と使った、居心地のいいカフェだった。通りに面した全面は、端から端まで、すき通るようなガラス張りで、午後の穏やかな自然光に、カフェの中はほどよく明るかった。天井からは、オレンジ色の弱い光を放つ、豆のような形をしたランプが下がっていて、きらきらと、ときおりわたしの目をまぶしくした。二人席の片側に、わたしは、通りの方を向いて、一人で、座っていた。暗い茶色をしたオー
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