明日には大人になる私へ

強くなっちゃったよ。
意地悪で無慈悲な人間ばかりの世の中が心から救えないものに思えて、自分の部屋で、首に紐をかけたよね。でもさ、20年も生きたら、私もそうなっていくみたいでさ、そうなるしかないように思えてさ、態度に出して、口に出して、攻撃することで自分を守るようになっちゃったよ。
鳥籠は満足に羽も広げられないほど狭くて、でも籠の外に飛び立ってしまえばどこに行けば良いか分からなくて、それが苦しいと私は言ってたね。今じゃそんな例え話思いつかない程、毎日がめまぐるしくて、それを言い訳に言葉にすることを放棄して、もう、全部羽が落ちてしまったみたいでさ。3ミリだけ浮いてるけど、歩く方が合うようになっちゃった。
私はさ、優しかったよね。それで、すごく不器用だったよね。苛立ちの矛先の正しい向け方が分からなくて、自分を傷つけたりしてさ。自分のことで精一杯だったはずなのに、テレビのニュースにすら一つ一つに心を痛めて、そんな辛い世界に押しつぶされそうなまま、なんとか生きていたよね。
明日には大人になる私は、そんな脆くて、弱くて、すっごく優しかった私を、抱きしめてあげたいと心から思うよ。
今年はね、優しくなることが目標なんだ。優しい人は、正しい人は、損をする世の中だって気付いてしまったけど。意地悪で、ずる賢い生き方をして、イージーモードで逃げ切ってやろうって思って生きてみたけどさ、ベタだけど、心が黒く染まっていくイメージが、それだけが、はっきりと鏡に写って、私がどんどん醜く見えてきて、あの時思った、救えないって気持ちが浮かんだ。このまま残り何十年生きるのは嫌だと思ったの。損してでも良いから、綺麗に生きたいと思ったよ。金品目的の窃盗犯が一行だって盗めやしない詩を、また書けるようになりたいから。
今までありがとう。私は、大人になります。私のこと、黒歴史だなんて言っちゃったけど、全部抱きしめて生きていくよ。お疲れ様。