愛猫

私は、お家で飼ってる白黒ハチワレの猫が、唯一の生きる意味なんです。
あの日、ケージの中から必死に手を伸ばしてくれたこの子に、勝手に運命を感じてしまっているんです。
マイペースで、ご飯の好き嫌いが多くて、抱っこは嫌いで、それなのに私が泣いてたら、落ち込んでたら、私のそばに来て、慰めるように撫でさせてくれるんです。そんなこの子なりの、過不足のない優しさがすごくうれしくて、毎日大好きになる。
それだけじゃないんです。この子は昔から片目が少し悪いようで、たまにウインクしてるみたいになるのですが、そういう時はだいたい私も片目が悪くなって、お腹を壊す時もそうなんです。「一緒だね」って言いながらトイレに駆け込んで、それになんの返答もしてくれないんですけど、なんとなく、私が死んだらこの子も死んでしまうような気がして。
私は本当は、ずっと、死にたくて死にたくてたまらないんですけど、私が死んだら心から嬉しいんですけど、この子が死ぬのだけは、本当に考えられないほど辛くて許せなくて。それは、私が死にたくてたまらないまま生きる方がよっぽどマシだと思えるほどで、だからこの子に生かされてるんです。生きる意味なんです。
本当は、私も猫になって、当たり前に学校にも仕事にも行かず、この子とこの古い家でずーっと寝て、ご飯を奪い合い、遊んでいたいんですけど、この子は猫が嫌いだから、きっと私は人で良かったんです。なんで人間なんかに生まれちゃったんだろうってずっと思ってましたけど、この子のためだったのかもしれないです。

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