どうにか

私はただ、模試の結果が悪かっただけでこんなになってるんじゃない。
人より段違いにできない事があると、その度全部思い出してしまう。勉強ができなかったこと、提出物が出せなかったこと、運動ができなかったこと、友達が作れなかったこと、お年玉が少なかったこと、服を買ってもらえなかったこと、お父さんがいないこと、学校に行けなかったこと、可愛くなかったこと、私を見下すような視線、笑い声、ヒソヒソ話。
何度生まれてしまったことを憎んだか。何度自殺に失敗したか。死ぬことすら諦めるほど苦しい思いは十分したのに、また普通になれなかった。
生まれ直したい。そしたら、友達と公園で缶蹴りをして、中学生になったら吹奏楽部に入る。高校生では体育祭と文化祭で可愛くおめかしして、放課後にプリクラを撮って、大学に行きたいな。
大金持ちになりたいとか、絶世の美女になりたいとか、裕福な家に生まれたいとか、そんなの望んでるんじゃなくて、私はただ普通になりたいだけなんです。タバコを吸わなきゃ自我を保てないような人生じゃなくて、少しの失敗で全部フラッシュバックして動けなくなる私じゃなくて、ただぼーっと涙を流す時間じゃなくて、みんなみたいに、20歳として平均的に健全に、生きたいだけなんです。
私の住む街はいつも天気が悪くて、今もどんよりとした重たい雲が、大空を包み込んでいる。この空を飛んだら、東京にも、海外にも、宇宙にだって、どこへだって行けるのに、そんなの嘘だよ、君の妄想だよ、とでも言うみたいな、閉塞的な大空が、私をこの椅子に閉じ込めた。
私の人生、どうなっちゃうんだろう。流れ星に3回、どうにかしてくださいって言いたいんだけど、私は人生で一度も流れ星なんて見たことない。私がいつかちゃんと死ねたら、流れ星になって、私みたいなあなたを、どうにかしてあげるからね。

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