見出し画像

自作絵本「妖精ハーブ」

こんにちは!

初めての投稿ですが、今年の夏にクラウドファンディングでお金を集めて自費出版する予定の絵本のシナリオを先にお見せしようと思います。

この絵本は僕が大学生の間何度も参加したボランティアで出会ったフィリピンの子供たちに将来のきっかけを与えたいと思って書きました!

楽しんで読んでください!

※実際に絵本にするときはふりがなもしくはすべてひらがなにし、英文も添える予定です。



▼本編

森には不気味なようせいたちがいました。みんな同じ仮面をかぶりかおが見えないのです。



ページ1
町には大きな山がありました。おこりだすと火をふく大きな山。
それでもその山は人々にあいされ、その山をシンボルに町はさかえていきました。



ページ2
ある日、一人の少年がその山のおかをめざし、ふもとの森へと入っていきました。



ページ3
その森の中には、まぶしいえがおでほほえむお花たち。
ここちよいメロディーをうたう小鳥たち。
色とりどりの自然にかこまれたその森には、町の人々が知らないひみつがありました。
その森にはようせいたちがいたのです。



ページ4
ようせいたちのなかにいつもひとりぼっちのようせいがいました。
そのようせいはいつもかくれて森から町をながめていました。




ページ5
ある日ようせいは森を少し抜けたところで一人の少年に出会いました。
その少年は山の上から町の絵をかいていました。
「きみはだれ?」
ようせいは少年を見て、声をかけました。
「ぼくはレオ。きみの方こそだれだい?」
「ぼくは森のようせい。きみは人間だね」
「そうだよ。ようせいを見るのははじめてだな。ばあちゃんからおとぎ話を聞いたことがあったけど」
ようせいはかぶっていた仮面をはずしてかおを見せました。



ページ6
「だろうね。仮面をかぶっていたらだれもぼくらをようせいなんて思わない」
「どうして仮面をかぶっているんだい?」
「人間にみつかるとつかまってたべられるって教えられたんだ。むかしは仲がよかったはずなのに。これをかぶっていれば人間はぼくらをこわがってちかよってこないんだ」
「きみのなまえはなんて言うんだい?」
「なまえか……ようせいはようせいだからなまえなんてないんだ」
「ないのかい?だったらつけてあげるよ!」
「ほんと!?いいの?」




ページ7
レオはすぐそばにあった葉っぱを手に取り、ようせいに見せました。
「これからきみのなまえはハーブ!よろしくね、ハーブ!」
「ハーブかぁ!!」
ハーブはキラキラのえがおをみせました。




ページ8
「ハーブは人間に会ったことはあるのかい?」
「あるよ、すこし前に女の子にあったんだ。ひみつだけどね」
「どうしてひみつなんだい?」
「ほかのようせいたちは人間がきらいなんだ」
「ハーブは好きなのかい?」
「うん!むかしはぼくもこわかったんだけどね」
「好きならすきと言えばいいじゃないか」
「そんなかんたんじゃないよ。ただでさえ仲間はずれにされてるんだ」
「どうして?」
「前会った女の子のはなしをしたら、もうおまえとはしゃべらないって」




ページ9
レオは家にかえるとすぐにおばあちゃんにたずねました。
「ばあちゃん、むかし聞かせてくれたおとぎ話はようせいのはなしだったよね?」
「あぁ、むかしはようせいさまと仲よくくらしとったんじゃよ」
「どうしてけんかしちゃったの?」
「そりゃぁ、人間が森の木をきずつけるからじゃよ。そのせいでようせいさまはおこってわしらを嫌うようになったんじゃ」
「それだよ、ばあちゃん!ぼく今日ようせいにあったんだ!」
「おやおや、ま~だようせいさまはわしらを見ていてくださったかぁ。ようせいさまはどうじゃった?」
「ちょっとぼくとにてたんだ!ぼくあしたも会ってくる!」



ページ10
次の日、レオはたくさんの絵をもってハーブに会いにきました。
「きょうはぼくの好きなものを教えてあげる」
そういってレオは世界のいろいろな絵を見せてくれました。



ページ11
(見開き一面絵だけにしようかなと)
富士山・ピラミッド・グランドキャニオン・とかそういう世界の文化や有名な景色の絵




ページ12
「すごい!見たことないものばかりだ」
「いっ~ぱいあるんだ!ぼくは絵をかくことが好きなんだ」
それからレオは毎日、毎日山をのぼりハーブに会いにきました。
ときにはともだちをつれてくることもありました。
そして絵を見せながらたくさんの世界のおはなしをハーブに聞かせました。
くびのながい人々のはなし。少し背がひくい人々もいれば、はんたいにとても背がたかい人もいる。
世界にはおもしろい人がたくさんいて、みんなちがうからおもしろいんだ。




ページ13
ある日、ハーブはなぜレオが絵をかくことが好きなのかたずねました。
「絵をかいているといやなことをわすれられるんだ。ハーブも人間が好きなら好きと言えばいい」
「ぼくのことなんか、ほかのようせいたちはあいてにしてくれないよ」
「わからないじゃないか」
「このつのあるだろ。これはりっぱなようせいのあかしなんだ。それがひとつかけてしまっているせいでぼくはようせいとしてだめだめなんだよ」



ページ14
それからレオは少しいそがしくなったのか、山にのぼってくることが少なくなりました。
「またなにかかいているの?」
ハーブはたずねました。
「うん、まぁそうなんだ」
レオはハッキリとは答えませんでした。
それでもレオはかならずひまを見つけて会いにくるとやくそくしてくれました。



ページ15
ある日、ハーブは森の中で人間の話し声が聞こえたので、かくれて聞いていました。
「聞いたか?ここおばけが出るんだってな」
「あ~あのおとぎ話か。まぬけなやつもいたもんだな」
「それにしても絵がうまかったよなぁ」
ハーブはもしかするとレオの話をしているのかとずっと聞いていました。




ページ16
「町でようせいのことをばかにして絵をかいているやつがいるそうだ」
ハーブはほかのようせいたちにかこまれてそう言われました。
「まさか人間といっしょにあそんでいたとはな」
「レオはそんなことしないよ!」
「だまれ!おまえのはなしなど聞いていない!」
「人間をともだちだなんてきもちわる~い」
「いいかげん少しはようせいらしくなれ!おまえがいるとようせいがなめられるんだ」




ページ17
レオが久しぶりに森へ入ると仮面をかぶったようせいが立っていました。
「ハーブ!久しぶりだね、きみにはなしが……」
「うるさいっ!おまえなんか知らない。ぼくは少しでもようせいらしくならなきゃいけないんだ。人間なんかとあそんじゃいけないんだ。ようせいらしく……」
そういってようせいはすぐにさっていきました。



ページ18(白黒)
ふたりが会わなくなると、森の自然がみるみるうちにあれはてていきました。
前のようなうつくしいすがたはなく、うすぐらい森になってしまいました。
うすぐらい森の中、ハーブはひとりぼっちにもどってしまいました。




ページ19
ハーブと会わなくなると、レオはずっとおうちで絵をかくようになりました。
「レオや。おまえさんもう森には行かんでええのか?」
「行かないよ。もう会いたくないって言われたんだ」
「おやおや。そうかそうか。しかしそれはこまったのぉ」
「どうしたんだい?ばあちゃん」
「これをようせいさまのところにとどけてくれるひとをさがしとったんじゃよ」
「ばあちゃん、それって……!?」



ページ20
あれはてた森はお昼でもくらくおもえました。
レオはくらい森の中でひとりぼっちのハーブをみつけました。
「どうしてひとりなんだい?」
「そっちこそどうしてここにいるの?」
「見せたいものがあるんだ」
「絵はもういいよ。たくさん見せてもらったし」
「これだよ」
そういってレオはポケットからあるものを取り出しました。




ページ21
「これぼくのつのじゃないか!どうしてきみが?」
「きみのようせいのあかし。町中さがしまわったんだ。前に女の子に会ったって話してたからもしかしたらそのときになにかあったんじゃないかと思ってさ」
「それで森に来るのが少なくなったのか」
「女の子だとおもってたっくさん女の子に聞いてみたんだけどさ。よくかんがえてみたらずっとずっとむかしのはなしだってことをわすれてたよ」
「見つかったの?」
「うん、ハーブがむかしあった女の子はぼくのばあちゃんだったんだ」




ページ22
「あの子がきみの……!?」
「おとなになるとこどものころの話はわすれちゃうからって、ずっと持ってたんだ。ハーブ、きみとのおもいでをわすれたくなかったんだよ」
「そうか、そうだったのか」
ハーブはなみだを見せながらもえがおでした。
「ぼくのようせいのあかしは、あの子とのおもいでをまもってくれていたのか」




ページ23
ハーブはすごくこれまでにないほどうれしくなりました。
そのときあれはてた森にお花や木がみのり、山全体がみどりにそまりました。
「すっごい……!ハーブこれきみがやったのかい?」
「わからない、こんなのはじめてだ」




ページ24
おどろいているレオを見てハーブは言いました。
「レオ。ぼくわかったよ。ようせいらしくなくってもぼくらしくあればいいんだね」
「これからは好きなものは好きというよ。つのがなくたってへっちゃらだ。そのかわりぼくにはきみたちとのおもいでがあるってわかったから」




ページ25
それからまたレオとハーブはみんなでいっしょにあそぶようになりました。
レオはほかのようせいたちとも仲良くなり、いっしょにあそびました。
人間もようせいもみんなちがっていてもだいじょうぶ。
だからこそおもしろいんだ。
レオとハーブをきっかけにようせいと人間は少しずつ仲なおりできるようになりました。


そうしてようせいたちはみんな仮面を外しました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?