小説に逃げずに、たまには近況を

びっくりした。

今日、仕事の休憩中、ロッカーを開けたままスマートフォンを開くと、画面上部の通知バーに「ご応募ありがとうございました」の文字が。

ん?と思い、数十秒間は見つめていたと思う。

メールを開くと、宛先の会社名でピンときた。去年、某アプリの契約作家に思い切って募集した時のレスポンスだ!ものすごく期間が空いたので、てっきり書類選考的なステージで落とされたのかばかり思った。

おうおうおうおう…と気持ちを悟られないよう、この後すぐに仕事に戻り、帰宅後、添付された資料を見ようと、すぐにPCに電源を入れた。

やっぱり新鋭アプリで人気急上昇(らしい)だから、思った以上に応募が来たのだろうか?なるほどぉ、マジの書類選考というわけですか。

選考内容は、『ざっくりしたプロットを送ってください』とのことだった。

ここで私は気づいた。私は、0から物事を進めることに対する『免疫』がないことを。

そりゃそうだ。文章を書く際は、おおまかなアウトラインが大切だ。起承転結・序破急、物事には順番があり、それが道理であり、法則であり。

長年漬けていたピクルスを、繰り返し取り出しながら説かれるような「目指す」という素晴らしさ、うつくしさを刷り込まれてきた。

いやまぁそーなんですけどね。才能なんてないから、ちみちみ努力してPlan・Do・Seeサイクルを回して、何度でもチャレンジして。確かに、すんばらしいことですよ、ええ、20代も板に張り付いてきましたから。分かってはいます。

…とか考えてみて、それでも0からある一定の数値まで、順当に努力をしていくことが、私は他の人よりもへたっぴだ。

努力って何だろう。なんかせっかく頑張って入った会社なのに、急に大学で学んだことや就職活動での教訓はさて置いて、0から頑張ってください!みたいな。社会人経験は初だが、学生時代だって、それなりに社会を見てきたつもり。それを、ある日突然に最初から無かったことにして、0からスタート!と声を張り上げる。なんじゃそりゃ。

とまあ、こんな風にちみちみと捻くれた性格に育ってしまい、未だに「目指す」ということに対して、むず痒くなってしまう。

物語だってそうだ。なんでよ、なんでクライマックスから書かせてくんないの。ラストから考えたっていいじゃんか。なんなら書きたいシーンとか、言わせてみたい台詞とか温めているんだから。物語の流れなんて、その時に決めればいいじゃんか。好きなところから書かせてくれよ。どうせどんな順番で書いたって、完成したらちゃんと起承転結になるんだから。

でも、仕事をしてお金をもらって東京で暮らしていると、世の中、その人の経験やスキルだけでは評価されないし、些細なミスや連絡事項も、気が遠くなるほどのステップを通過しないといけない、まるでトリックのような世界を受け入れたほうが、安心するんだな、と思うようになった。

固い針金を複雑に編んで出来た座椅子に座らされた気分。

と、正直、メールを見た時に「めんどくさい」とは思ってしまったが、ここは一発、戒め&追い込みとして頑張ります。



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