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映画「シン・ウルトラマン」とCUD【ネタバレあり】

[注意]この記事は映画「シン・ウルトラマン」公開初日5/13に鑑賞した勢いのまま書いています。しかしながらしっかりとネタバレになってしまう内容なので、公式の情報解禁の状況をみて、6/3に公開しました。

(2022/6/18)4DX版とDolby Cinema版を観てきたので追記しました。

 いやぁ〜「シン・ウルトラマン」、超面白かったです。戦闘シーンはもちろん、ストーリーの方も人間という存在の儚さ・脆さそして強さが初代ウルトラマンへのリスペクトを感じさせながら、5本分のエピソードを2時間に盛り込んでおり、本当にお腹いっぱいになりました。

 禍威獣や外星人のデザインにも驚きました。ザラブはパッと見では元と変わらない様に見えるのに実はペラいし、メフィラスはなんかエライシュッとしちゃってるし、ゼットンに至ってはソフビフィギュアでは作れないだろうという尖ったデザイン。

 さてさてそんな中でちょっと気になったのが、ウルトラマンのデザインというか機能というか性質というか。映画パンフレットに掲載されている、樋口真嗣監督へのインタビューを引用します。

ーーカラータイマーがない代わりに、エネルギーの残量が乏しくなるとウルトラマンの体色が変化しますね。脚本では最初は青でエネルギーを使うと赤色になるとなっていましたが、映画の変化では逆ですね。
 体色が青になるというのは、他のウルトラ作品でタイプが変わると青になるというのをすでにやっているので、緑にしました。では緑から赤に変化すればいいかというと、ウルトラマンはやはり赤のイメージが強いので、最初に赤で登場するようにしたんです。

「シン・ウルトラマン」劇場パンフレット より

 本作のウルトラマンは、初代をデザインした成田亨さんのデザインを尊重してカラータイマーがありません。その代わりに、エネルギー残量が体の模様が赤から緑に変わっているのだそうです。なぜ鑑賞済なのに伝聞調の書き方なのかというと、初見では体色の変化に気付く事ができず、パンフレットを読んで具体的な体色の変化を認識したからです。

 私は赤と緑の色の見分けがつきづらい色覚多様性を持っています(昔は「色覚異常」や「色弱」といった表現が使われていました)。日常生活で困る事はほぼないのですが、時々困ってしまう事はあります。今回はその「時々」にハマってしまったのです。

 本編ではウルトラマンの初登場時の体色は全身銀色で、再登場時に模様が赤色になっています。ここまでは私も分かりました。

 問題は多分ガボラの光線を受け止め続けるあたりかザラブとの光線合戦のあたり(まだ1回しか観ていないのでうろ覚え)。禍特対の滝だったかな?が「エネルギーを消耗すると色が変わるのか」的なセリフを言った時におそらく体の模様の色が赤から緑に変わっているのでしょうが、私は「色が変わってると言ってたけど、どこか変わったかな?」と変化した箇所を探したものの、結局分かりませんでした。ちなみに一緒に鑑賞した妻に聞いてみたところ、体色の変化に気付いていました。

 程度の差はあれ私の様な色覚多様性を持つ方は、日本人男性の約20人に1人くらいいると言われてします。血液型で言えばAB型の男性の割合くらいです。それくらいの方が、ひょっとしたらこの体色の変化に気付けないかもしれないという事です。

 とはいえ、今回に関しては「カラーユニバーサルデザイン(CUD)的な配慮が欠けている」とまでは言えないかな?と私は考えています。「エネルギーを消耗すると色が変わるのか」的なセリフがあったからです。

 もしこのセリフがなかったとしたら「エネルギー消費によりウルトラマンの見た目が変わる」という事に気付く事すらできなかったわけです。しかしこのセリフがある事で、私は鑑賞中に「エネルギー消費により見た目が変わる」という設定がある事には気付く事ができました。そのため、「配慮が欠けている」とまで言ってしまうのは、いささか語気が強過ぎると思っています。

 しかしながら、他の色に変える・緑の色味を変える等といったCUD的な対応を図って頂けたならば、より多くの鑑賞者が「エネルギー消費により見た目が変わる」というギミックを視覚的に体感できるわけで、それはこの作品の魅力(作品の価値、と言ってもいいかもしれません)を更に高める事に繋がったはずです。

 色々な緑色の中から現在の緑色に辿り着くまでに色々な検討がなされたものと思いますが、その際にCUD的な観点も含めて検討頂けていたならば、この作品をもっと楽しむ事ができたのになぁ〜というのはちょっとだけ残念です。

 妻からパンフの写真で「ここの色はエネルギー消費の色」と教えてもらったので、2回目からは体色の変化に気付けるかもしれません。今から2回目の鑑賞がとても楽しみです。

追伸:
 カラーユニバーサルデザイン(CUD)についてはNPO法人 カラーユニバーサルデザイン機構のウェブサイトをご覧頂くと分かりやすいです。

2022/6/3追記:
 主題歌の米津玄師「M八七」×「シン・ウルトラマン」本編映像のコラボMVが公開されました。この映像にて色が変化したウルトラマンが公開されました。ネタバレ解禁感想キャンペーンなんてのも開始されましたので、本記事もそろそろ公開していいかな〜という事で公開しました。

 妻と一緒に観ながら「ここは赤」「ここは緑」「ここは長澤まさみ」と教えてもらい、色の違いは大体把握しました。私の場合は「銀に光が当たって反射したっぽい色」と思っていたものが緑だったパターンが多い様です。これで次回以降はちゃんと見分けられるかな?6/10から4DXやDolbyCinemaでの公開も始まるし、また観に行くぞ!

 ちなみにCUDな対処方法としては「エネルギーを消耗した際は模様のデザインを変える」という選択肢もあります。しかし成田亨さんのデザインを変更する事に繋がってしまうので、今回に関しては選べない選択肢かな?と思いました。

2022/6/18追記:
 先週は4DX版を、そして本日は福岡県のT・ジョイ博多でDolby Cinema版を観てきました。長崎市内からは高速道路で2時間なので近いもんです。
 4DX版は、まぁアトラクションですね。やはり戦闘シーンでの座席ムーブやらエアブロー打ち出しやら盛り沢山で楽しかったです。
 Dolby Cinema版は、まず音響が良い!BGや効果音が鮮やかに聞こえます。映像については、とにかく色の鮮やかさ!黒の徹底的な闇っぷりがよく話題になりますし確かにスクリーンが真っ黒になるシーンではまさに「暗黒」空間だったのですが、より印象的だったのは白。光線がとにかく明るい!まさに「光線」って感じでした。
 IMAX版は結局鑑賞し損ねてしまったんですが、どんな感じだったのか…観たかったなぁ。

 さてさて、ウルトラマンの体色の変化についてですが、まず鑑賞2回目の4DX版(映像としては通常版と同じハズ)の時点で、1回目よりも見分けがつく様になっていました。学習効果が出ていた様です。
 そして本日のDolby Cinema版では、これまでよりも更に「緑」と分かるシーンが増えた様に思います。ウルトラマンを照らす光源の強さや色相によっては見分けづらいシーンがあるのは仕方ないと思うのですが、少なくとも昼間のシーンは明らかに緑色と感じました。色の見分けには「視認する環境の明るさ」が大切、という事ですね。

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