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ニューヨーク紀行④

【4日目】
朝方までクライマックスシリーズを観てしまい、のそのそと起床。ホテルのカフェの使い方が何となくわかってきたので、この日はザ・欧米の朝食!ではなくフレンチトーストを頼んでみる。外は快晴。木曜に降った雨の影響か、すっかり肌寒くなっていて、秋の訪れを感じた。

ニューヨークに来るにあたって、事前に目星を付けていたのはヤンキースタジアムくらいで、ほかの観光地はリサーチしていなかった(それくらい外国の街にいる自分をまったく想像できなかった)。そんな自分でもさすがに自由の女神は知っている。調べてみると、スタテン島行きの無料フェリーから、自由の女神があるエリス島が見えるらしい。地下鉄でホワイトホールストリートに向かい(この日は乗り間違えずに一発で辿り着けた)、自由の女神がよく見える席を取るために押し合いへし合いする人々と共にフェリーに乗船。こういうとき、若い頃ライブハウスで精神を鍛えておいてよかったと思う。

運よく早めに船に乗ることができたので、自由の女神が見える右側の甲板に出て外を眺める。乗客の8割はわたしと同じような観光客で、残りの2割はスタテン島に帰る人々のようだった。乗船時間は25分ほどで、5〜10分ほどすると自由の女神が近くに見えてくる。進行方向にはニュージャージー州の工場地帯が広がっていて、今年の夏に船で周った羽田〜川崎あたりの景色を思い出す。マンハッタンのほうを振り返ると、高層ビル群が青い空によく映えていて、個人的には海に浮かぶ自由の女神よりもこの景色のほうが美しいなと思った。

帰りの船も右側の席に座って、今度はエリス島と反対側のブルックリン側の海を眺める。スタテン島とブルックリンを結ぶ大きな橋を見て、やはりまた羽田〜川崎あたりの景色を思い出す。昼過ぎ、潮と風でベトベトになりながらマンハッタンに帰港した。

もう一箇所行きたかった場所を思い出して、マンハッタンの南端から地下鉄に乗り、クイーンズを目指す。クイーンズに着くまでずっと地中を走ったままだったら憂鬱だなと思っていたけど、それは杞憂で、ロングアイランドシティのあたりで外に出た。日本の地下鉄と一緒で、例えば用賀までは地下を走るけど、二子玉川あたりから外を走るんだな。

マンハッタンの摩天楼とはまた違った雰囲気の高層ビルが立ち並ぶロングアイランドシティは、日本で言うところの密度の高い豊洲か。いや違うか。一面ガラス張りのビル、太陽の光を反射してキレイだけど、もしバリバリに割れたらどうするんだろう、なんて思いながら、無機質なヒョロヒョロのビル群を抜けていく。ここも、ニューヨークの旅の中で記憶に残っている景色の一つかもしれない。

クイーンズの街並みはとにかく穏やかで、どれくらい落ち着くかというと、湘南新宿ラインの浦和〜赤羽間くらい。マンハッタンを出発して50分ほどでメッツの本拠地・シティフィールドに到着。首都圏からの距離的に横浜スタジアムみたいな感じだろうか。違うか。レギュラーシーズンが終わっていることもあって、球場の最寄りのメッツウィレンツポイントの駅を降りたのはわたしと数人ほどで、駅前にも球場の周辺にも誰もいない。ただ大きな球場がそこにあるだけ。シティフィールドの反対側にある大きなユニスフィアがとても気になったが、夜に仕事が控えているので一度ホテルに戻ることにする。帰りの電車でヤンキースのユニフォームを着てウキウキしている人たちに出会う。うらやましい。

夜、仕事の合間に空き時間ができたので、ディビジョンシリーズの雰囲気を味わいにヤンキースタジアムに行ってみる。この日やっていたのはヤンキースとツインズの試合で、球場の周りには私と同じようにチケットを持っていない人たちが集まってオーロラビジョンで試合を観ていた。仲間にまぜてもらってしばしの間試合を観る。最初は押されていたが、10-4でヤンキースが勝利。マー君こと田中将大さんが先発する前日のことだった。