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五感の性能

私の幼少期リビングには大きめのオーディオセットが鎮座していた。レコードプレーヤー、チューナー、アンプ、カセットデッキ。高さ1メートルくらいの大きめのスピーカー。子供は触れてはいけない父親の宝ものだった。友達の家に遊びに行っても高確率でリビングにオーディオセットがあった。

今はmp3を中心とした圧縮コーデックで聴くことが中心で、自宅のスピーカーもBluetoothスピーカーで聴いている人が多いのではないか。もちろん、趣味でオーディオにお金をかけている人はいると思うが、前述のように多くの一般人がオーディオセットを保有していることはなくなった。

MP3は人間が聞き取りづらい音域のデータを省略した圧縮コーデック。ストリーミング再生の中心的フォーマットである。幼少期聴のレコードから大きなスピーカーで聴く音と、MP3音源をBluetoothスピーカーに飛ばして聴く音とどちらが高音質かと言うと、幼少期の方が高音質である。一方で、今自分が聴いてる音楽が楽しめていないかというと、そんなことはない。MP3であっても楽しく音楽を聴けている。

高性能の機器、例えば100万円のスピーカーや8Kテレビなど、高価で高品質なものであっても、中年サラリーマンの五感の性能ではそこまでデリケートな差を感じられない。老眼著しい自分にとって、8Kテレビは完全に宝の持ち腐れ。

高ければ高いほど良いという概念は、自分には合っていない。自身の五感の性能によって選択した機器やコンテンツを楽しむことが、自分の価値基準である「良質で適切」に楽しめるということなのだろう。

オンキョー破産のニュースを聞いて、時代の変化を強く感じた週末でした。

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