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TakamineギターのLTDモデル、カスタムモデルの足跡を辿る(後編)

タカミネのLTDモデルを辿ってきたこの記事ですが、やっとこれを書きたかったという内容にたどり着けそうです。そんな2012年のLTDモデルの話題から。

LTD2012 - MICHI -

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この2012年は高峰楽器さんの50周年にあたる記念すべき年で、

この2012年は高峰楽器さんの50周年にあたる記念すべき年で、50年にわたる時の流れというテーマをもとに、季節で移ろいゆく紅葉の色の変化とその枝を縫うように流れる水紋を指板やピックガードのインレイワークで表現したリミテッドモデル「LTD2012 - MICHI -」がリリースされました。

これは格好良かった。許されるなら店頭に何本でも置きたい!と思わせるルックス、完璧でした。だけど限定モデルですから生産本数や発注可能な本数には限りがあります。1、2本導入したもののすぐに完売となってしまいました。すぐ補充したい…おかわり…ほしい。

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…実にいい。おかわり...欲しい。

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と紋々とする中で、単純な事に気が付きました。

そうか、「LTD2012-MICHI-」のルックスを持ったカスタムをオーダーすればいいんだ!と。その場で高峰楽器様に連絡を取り、カスタムを打診したものの、まさかの

「NG」

なにー!リミテッドをベースしたカスタムオーダーは出来ませんだと!

「なにー」

考えてみれば50周年を記念した渾身の作品ですから無理もありません。簡単に量産できるものでもなかった訳です。何か説得できる材料がないか、G-CLUB SHIBUYA(当時在籍)の5Fにはお客様そっちのけで「みち、、、ミチ、、、道?ミチ、、、」とつぶやきながらうろつく副店長(当時)がいたとかいなかったとか。(いた)

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でも欲しい...作りたい。

例えば代表機種DMP551WR(ワインレッド)カラーとかさ、紅葉感あって素敵だし、華やかでいいよなー。華かー、いや花?...ブツブツ...

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アコギの王道的なカラー、ナチュラルフィニッシュも欲しい所だし、今、なんつった俺?

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ナチュラルは王道、華(花)は花道?

Custom 王道 ナチュラルフィニッシュ、王道のスプルーストップ、ローズウッドの組み合わせ。

Custom花道 ワインレッドフィニッシュ

オーダーは無理です、と言われているのにも関わらず、アイデアだけは先行し(ばかばかしくも)オリジナルオーダー品の機種名だけは思ういついちゃったのでした。

再度、私は早速高峰楽器さんに連絡、概要を伝えます。

岡崎:リミテッドをベースに色違いを作りたいんですが。
高峰さん:ですから無理ですよう。
岡崎:そうですよね。存じ上げております。しかしモデル名考えたんで一応聞いてください。そしてうけたらやってもらえますか?
高峰さん:何でしょう?
岡崎:高峰楽器さんでブラックフィニッシュと双璧で人気の高いワインレッドカラーに変更したものを作りたいんです。ずばりモデル名は「花道」、そしてアコギのスタンダードな色と材を備えたナチュラルフィニッシュの「王道」! どうだ!
高峰さん:...っ!!!! 面白いですねっ!
つかみに成功した私はその後、細かい仕様も伝え、とんとん拍子に製作が決定!


これが2012年の出来事です。


そして出来上がったのが下の画像の「Custom 王道」

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トップがアディロンダックなのがポイントでオーダーの際は高峰楽器に赴き、材料の選定も行ってきたので音もグレードアップしています。

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こちらは「花道」べた塗りせずに木地着塗装を行い、杢目の美しさを引き立たせたかったのでベアクロウのびっしり入ったスプルース材を選定していました。

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乗りに乗ってオーダーが実現したために黒バージョンの700サイズも作ろうという事になり開発したのがこの「夜道」

もはや道と名がつけば何でもあり感がでてきていました。ちなみにサンバーストカラーで「あぜ道」という案もでましたがこれが没としました。このシリーズ、2012年以来やっていなかったのですが、後に今の在籍店舗である名古屋店に赴任してから復活させました。

最大の理由は...工場が近いから!

材選定に行くのが格段に楽になりましたので2018年以降、不定期で名古屋店限定カスタムとしてオーダーしています。2020年の3月にも「道」シリーズに使用する木材の選定のために、岐阜県中津川にある(株)高峰楽器に訪問してきました。何度も訪問させていただいている高峰楽器様ですが、やっぱ近い!前は東京から来てましたからね。おかげでじっくり時間をかけていい木材を選定できます。

第一次審査は杢目の美しさ!という事でまずは見た目だけで数十枚を選びます。何度もうかがっている高峰様ですから、1人勝手に休憩も挟み(羽根を伸ばし)ながら厳選していきます。

その後は1枚1枚タッピングテストを行い、金属的でカキンと響く木材を選定。こういう木材を使いますと完成したギターの音色は高音域の煌びやかさが増してくれてやはり鳴りが違います!この時は5本分の木材を選定をしてきました。本来はこれで任務完了、完成を待つだけだったんですが…。

格好いいものを見つけてしまった件

選定完了後、展示している過去のリミテッド品を拝見させてもらっていましたら、格好いいデザインを発見してしまいました。高峰工場に入ってすぐのショーケースの中に指板にFeatherインレイが入った限定モデルが展示されていたのであります!

「なにー!」

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付き添ってくれていた担当者そっちのけで「フェザー、羽根、羽かー」とつぶやきながらうろつく名古屋店の店長がいたとかいなかったとか。

(いた)

MartinのD-76とかGibsonのDoveとか、鳥インレイもの好きの私としてはとりあえず放っておくことも出来ず、急遽採用!ちょっぴり羽目を外して予定を急遽変更!選定した材を用いてナチュラル、ワインレッド、ブラックの3本でFeatherをあしらったものをオーダーしてきました!!
そして2020年7月末に完成したのが、名古屋店限定カスタム

「Custom Feather」

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その楽器、「羽化登仙」

*残念な事にこられのモデルは次回の発注する場合大幅な価格改定が入り値上がりが予想されます。

2021年2月現在、まだ在庫しているカラーもありますのでご案内も可能ですよ。「Featherインレイの美しさ」や、「なぜ羽の枚数はこの枚数でないとならなかったのか」、を知りたい方は熱弁する店長あてに、断る!落ち着いて音が聞きたいよ、という方は他のスタッフまでお問い合わせくださいませ。


お問い合わせはこちらにどうぞクロサワ楽器名古屋店
住所:愛知県名古屋市中区栄2-3-1 名古屋広小路ビルヂング地下1階
電話:052-201-2010
mail:nagoya@kurosawagakki.com










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