朝のコピー短歌(2019.11.08)兎さん


兎さん「ぴょん」は擬態語 ひらがなか
コピーライター 型 はまるまじ


オノマトペについて調べていたら、
少し前、小学2年生の国語のテスト問題がSNSで話題になっていたらしい。

二択問題である。
1.星が(きらきら・キラキラ)している。
2.犬が(わんわん・ワンワン)ほえた。
3.うさぎが(ぴょん・ピョン)とはねた。

正解がこちら。
1.星が(きらきら)している。
2.犬が(ワンワン)ほえた。
3.うさぎが(ぴょん)とはねた。


授業で「擬音語はカタカナで、擬態語はひらがなで」と教えたあとの問題だったのだろうか。教科書にそういう指導内容がのっているのかは調べていないけれど。
わたしの知るかぎり、20年ほどコピーライターを名乗っているけれど、そのようなことは聞いたことがない。原稿に校正の専門家から赤字を入れられたこともない。

で、この問題。コピーライターとしての正解がある。
それがこちら。
1.星が(キラキラ)している。
2.犬が(ワンワン)ほえた。
3.うさぎが(ピョン)とはねた。

星は、「きらきら」より、「キラキラ」のほうが光っている感じがするし、
犬は「わんわん」のときもあるし、「ワンワン」のときもある。
うさぎは「ぴょん」だったり「ピョン」だったりする。
声に出して読んでみると、カタカナのほうが、音がはじける。

そういうひらがなとカタカナが持っている音の響きはさておき、
なぜ、コピーライターとしては「キラキラ」「ワンワン」「ピョン」が正解なのか。

たとえば、2問目の「ワンワン」の場合、
目で読むということを考えたときに、「わんわんほえた」だと読みづらいのだ。
もしどうしてもひらがなを使いたければ、
「犬が、わんわん、ほえた。」と読点を置いたり、「犬が“わんわん”ほえた。」と強調記号をつけたりする。これはナレーション原稿の場合も同じ。
読みやすさと、読んでほしい音の感じ、このどちらも同じくらい大事。
3つの問題は、前後の文字も決まっているし、読点や括弧もつけられないということで。たぶん、たぶんだけど、コピーライターさん100人いたら、よっぽどの天の邪鬼さん以外は、同じように選ぶと思う。

これが、基本の型。でもその型を破っていくのもコピーライターという仕事の醍醐味だ。
どう破るかは、いろいろ。ローマ字にしたり、改行にしたり、フォントを変えたり、級数を変えたり・・・なんだってありなのだ。仕上がりをどうするかによって。


それはさておき、擬音語・擬態語のどちらにも属する言葉がある。

「ちょろちょろ」水の流れる状態をあらわしつつ、水の流れる音もあらわす。
「ぽつぽつ」も、雨が降り出す様子をあらわしつつ、雨粒が落ちる音もあらわす。
「ころころ」なんかもそう。

ころっ、ころん、ころり、ころりん、ころころ、ころんころん
コロッ、コロン、コロリ、コロリン、コロコロ、コロンコロン

ひらがなかカタカナか、字面だけでも、音だけでも、
転げているもの、転げ方が、ぜんぶちがっておもしろい。


迷走中みそひとメモ

たくさん、迷いました。「擬態語」と「擬音語」の両方入れるか、「型破り」にするか、「型にはまらず」にするか、「言葉のプロ」にするか「コピーライター」にするか、いろいろ。

じつは、わたしのつくるコピー短歌には半角アキが入っている。
助詞を省いたときに、そっと入れるのだ。
次の文字は「は」などの場合、助詞なのか単語の最初の文字なのか、
それでなんとなく、まちがえずに読んでいただけれたらと思っている。

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