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『ダウンレンジ』〜血しぶき、弾け飛ぶ脳みそは単なる調味料だ〜

タイトルにもある通り、グロテスクというものは手段であり目的ではないと私は思う。

この物語を端的に説明すると、6人の男女が一台の車に乗り山道を走っている途中、姿の見えない謎のスナイパーに襲撃されるという話だ。
この突拍子も無い設定に惹かれて観始めたのだが、一向に変化のない、ノッペリとした展開のままラストをむかえてしまった。
6人を狙うスナイパー、必死に車を盾に生き延びる男女達。話が進むにつれてどんどん死人が増えていく訳だが、基本的にこの構図が本作の終わりまでそのまま続いていく。
ここで私は、「この映画はグロテスクを目的にしてしまっている。」と感じた。本来グロテスクな描写は物語に少しばかりのスパイスと緩急をつける、調味料のようなものだと思っている。しかしこの映画は調味料を料理にかけるのではなく、調味料そのものを料理として扱ってしまっているのだ。私としては大きなお皿の上に少量の塩、コショウが乗っているようなものだ。グロテスクで残忍なシーンを描きたいが為に作られた作品のように感じる。
ここまで随分と酷評してしまったが、ラストシーンまで唯一生き残った女性が、狙撃手を捉えその犯人の持っていたライフルで殴っている途中に引き金を引いてしまい、自分を撃ってしまうという、全く救いの無い無慈悲な展開には少し驚かされた。
が、最後の最後に視聴者を裏切る展開を作ってやろうという製作者の意図が容易に想像できてしまい、少し萎えてしまった。

#ダウンレンジ

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