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「競艇、平日の平場で薄氷を踏む人々」(黒猫的オッズ論)

なぜギャンブルをしますか?

賭けに勝って、お金を増やしたいから。

私たちはこの動機から逃げも隠れもできません。

胴元は、その不確実な結果を生むゲームをより魅力的でエキサイティングなものにしようとします。
公営競技は勿論、多くのギャンブルは、主催者の取り分(控除率、テラ銭)の比率が決まっており、売上が大きくなればなるほど、彼らの儲けは大きくなります。

そんな、スリルやロマンを着飾ったギャンブルの(オッズに纏わる)お話です。
日本の公営ギャンブルはパリミュチュエル方式で行われます。
大きな特徴の一つが、
「払戻オッズ」は、投票が全て締め切られ、票数が「確定」した時点で決まること。その為、購入時点で知ることができるオッズは少し遅れた途中経過に過ぎず、その投票が的中した際に、購入金額にどんな数字が乗されるのかは「分からない」のです。
それでも、「有馬記念」で、締切1分前オッズから確定にかけて何かのオッズが半額になったりしません。

それはなぜでしょうか。

売上の規模?

概ね合っていますが、精確ではありません。確定オッズを計算する為の確定売上に対して、締切1分前時点までの売上が十分な割合あるいは規模に上っているからです。

一度話を、ギャンブルの目的に戻します。
不確実性ゲームにおいてお金を増やすとはどういうことか。

それは、期待リターンが1(100%)を超えるように行動するということ。

期待リターンとは、「確率」×「リターン」の所謂、期待値。

公営競技については、サイコロやルーレットと違い、「確率」はゲームが始まる前であろうと終わった後であろうと知ることはできません。そのため、参加者は一生懸命予想して、この目はこのくらいの確率で来そうだ!と考えたり、過去の様々な要素を様々な手法(ピンキリですがAIと言いましょうか)で分析し、確率を予測したりして、「確率」を出します。

この「予想」に関しては、本稿では触れません。いずれかの方法で「ある確率」があるものだとしましょう。

そしてここからが本題で、「リターン(=確定オッズ)」のお話です。
読んでくださっているのは、「競艇」に興味をお持ちの皆様だと思いますので、「競艇」のオッズの話をしましょう。

有馬の投票終盤のオッズはグラつきませんが、競艇の平日の平場のオッズはグラつきます。主因は言わずもがな、「売上」です。
全券種計ですが、500億売る有馬に対して、競艇のそれは最も少ないときには500万。1000万、2000万なんてザラです。

そんな少ない売上なので、少しの投票がオッズを動かします。そして、ある程度の参加者はその特性を認識しています。

となると、次はこんな現象を生みます。

「1分でも締切近くで投票しよう。」

グラグラ動くオッズを見極めようということです。これ自体は行動として合理的で、健全です。締切に近ければ近いほど既投票票数は大きくなり、オッズに関する理論上の情報量は増えていることになっています。

さらにそれは次の現象を生みます。

”締切直前まで誰も投票しない。”

競輪のスタート牽制のように時間ばかりが過ぎ、投票は進まない。締切1分前、最終表示オッズが示されるもその売り上げたるや少なく、まるで参考にできない。そしてその「あやふやなオッズ」を手掛かりにのこり59秒で投票をするのです。

余談ですが、この時間的制約下の投票行為は、
確率とリターンイメージが数値化されていないという点において、
手動投票を行う多くの参加者には不利ですよね。

さて、そんなこんなですべての投票が締め切られます。

どうなったでしょうか。

例えば、確定売上が1000万円を切るレースを「売上の薄いレース」とするならば、それらの多くにおいて、最終表示オッズ時点でその半分を売り上げていません。200万から400万の売上に対して2倍、3倍の投票が入り、確定売上となります。

直前投票の思惑が様々であること、そもそも最終表示オッズに確定オッズの代表性が乏しいこと、額として売り上げが乏しいことから、確定オッズは変幻自在に化けます

実際の売上を見てみましょう。

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これは2022年1月6日〔津2R〕の売上推移(独自推計)です。
直前投票のボリュームの大きさを一目でお分かりいただけるでしょう。

そしてこのオッズブラインドな状況で投じられた直前投票を乗せて、オッズはこのように動きました。

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売上が小さいから沢山動く(ボラティリティが大きい)のではなく、「動きやすくなる」という表現が正確で、事実、同じ日でもう少しましな売り上げのレースの方が大きく変動していたりします。

さて、本稿はケーススタディと言うことで、このレースにおける貴方や私の影響力を具体的に考えてみましょう。俗にいう、「自重」ですね。

ここに出走表があります。

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「うーん、見!」。と言いたいところですが、どうしましょう。
イン信頼からこの面子なので6号艇信頼、4号艇は経験不足で切っちゃいましょう。1-6=235の6点。例えばですよ。この予想へのクレームはお控えください。

問題は次です。私はいくら賭けるのか。1万円?5万円?10万円?折角なのでそれぞれ計算してみましょう。

私が、公式の資金配分機能しか使えないごく一般的な参加者として、6点を最終表示オッズで配分します。

全ての時点の投票票数は推計し、持ち合わせているので、昨日の投票に私一人が追加されたオッズを作ります。掛け金は違えど、最終表示オッズで資金配分を行うので、配分率は同じでこの通り。

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そして、最終表示オッズから確定オッズは大きく投票が伸びてオッズが動いたんですよね、自重シュミレーションの前に、実際のオッズ変化を見てみましょう。

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この通りです。最終表示オッズ時点で5.27倍あった合成オッズは、4.77倍へと変化しました。期せずして、私のいい加減な6点は売れたということになります。

それではここから自重シュミレーション。先ず、1万円を持った私から。

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6点1万円でもちゃんと動きますね。小数点処理の闇に葬られません。合成オッズは4.74倍に。

次に5万円

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人気サイドの目でも0.5オッズを下げてしまいました。合成で4.55倍

次に10万円

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これは立派な大口ですね。
どこかの予想屋が同じ目を出していたなら、自分の影響だ!と誇ってしまいそうです。合成で4.34倍

これをなんと大変なことだ!ととらえるか、なーんだその程度かととらえるかは人それぞれだと思います。

ただ、間違いなく私は前者です。

収支をプラスにすることが至上命題である以上、上で示した通り、追うのは「期待値」。
もし、なにがしかの努力で、その期待値が200%や150%取れる競技なら、すでに世界中から投機マネーが押し寄せてます。
すなわち、競艇がもっとシビアなギャンブルであるということです。実際は、10●%の世界でしのぎを削ることができれば、現状のこのゲームにおいてトップランナーなのです。そもそも自然体で75%なのですから。

その数%を削りだすベッティングにおいて、自重でリターン側を数%下げるなんて自殺行為。薄氷にひびどころか、猪苗代湖を叩き割っています。

さあ、締めくくりましょう。
売上の薄いところは、売上が薄いことを前提に戦略を立てましょう。
自重もきついです。止めたっていいのです。
直前オッズまでオッズとにらめっこすることは、必ずしも確定オッズに近づいていないかもしれません。どうぞ、ご注意を。

最後です。「公営競技」で結果として負けるということは、
持っている「確率」が間違っているか、
「確定オッズの予測」が間違っているか、
その両方が間違っているか、
繰り返し試行によりプラス収束する前に資金ショートしたか

です。

どんなルールのゲームを、どこに優位性をもって戦うか。それが問題なのです。

ここまでのご拝読に、厚く御礼申し上げて。

黒猫合唱団事務局 拝

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