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会食

「ご苦労だった。座りたまえ」

とある夕食の席、会員制のレストランで、
腹をでっぷりと肥やし、葉巻をくわえた老人が、部下に呼びかけた。
手元には、既に赤ワインが注がれたグラスを持っている。

「はい、お望みのままに」

手揉みをし、部下は着座した。

ワイングラスを揺らしながら、老人は問いかけた。
「して、『Yamaneko』はどうなった?」

部下は、なるべく平静を装って応えた。

「はい、きっちり始末しました」

老人は部下の声の震えから、嘘を見抜いた。

「その割には、『証拠』が上がって来ないようだが?」

部下はガチガチと歯を鳴らしながら、俯いた。

老人は、ゆらゆらとワイングラスを揺らした。

「まぁ、いい。『ネズミ取り』としては優秀だったかもしれないが、我々の『駒』になれる訳では無かった。指図もしないのに、勝手にチョロチョロ。...むしろ目の前から消えてくれて助かったぐらいだ」

老人は、ワイングラスを傾けた。
中身をすっかり飲み干してから、老人は無言でグラスを部下に向けた。

「注ぐのが当たり前だ」と言わんばかりに。

https://youtu.be/zSq80izsCZk

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