短歌のきろく
2017年5月から東京新聞・東京歌壇に投稿をはじめました。初めて東京歌壇に掲載された日の事をまだ覚えています。
短歌投稿はのんびりペースですが、短歌賞にも挑戦しました。2017年5月〜2018年12月までの掲載短歌や歌会詠草を書き残します。
【2018年掲載短歌】黒乃響子
■東京新聞 東直子 選〈2018/11/25掲載〉
枯れかけの花瓶にそそぐ水の音のしずかにぬるい食卓にいて
■現代歌人協会 第47回全国短歌大会
外塚喬 選 選者賞〈2018/10/27〉
かざらない言葉はいつもそばにいてブックカバーの海へと還る
■現代歌人協会 第47回全国短歌大会
坂井修一 選 佳作〈2018/10/27〉
透明なテーマソングをポケットに地下鉄の闇を潜りつづけて
■東京新聞 東直子 選〈2018/10/14掲載〉
モノクロの線香花火の瞬きのエンドロールがひびく夏の夜
■さわらび歌会題詠「一 」二席〈2018/9/26〉
秒針の一歩ずつあゆむ足音のひびく部屋から月をながめて
■月の下の歌会題詠「りんご」〈2018/9/14〉
ふるさとの9月の便りは琥珀色 アップルティーのただよう香り
■夏の夜の短歌会題詠「台所」五席〈2018/8/24〉
あいまいな記憶のなかで息をする溺れた魚の鱗を剥いで
■東京新聞 東直子 選〈2018/7/22掲載〉
夕焼けのろうそくのような煙突に灯されてゆく白い魂
■東京新聞 東直子 選〈2018/6/17掲載〉
蛇口からしたたる音がとまらない深夜に開ける滲んだ手紙
■おひさま歌会題詠「昆虫」〈2018/5/27〉
明けがたの雫をあつめる蜘蛛の巣の光のようにあきらめを抱く
■NHK短歌 東直子 選佳作「音楽」〈8月号掲載〉
曇天にかくれんぼする太陽のひかりのような歌声のキミ
■伊香保短歌大会 入選〈2018/6/13〉
いつの日かいつの日にかと願いつつ星なき夜空ひとり見上げる
■第3回 和歌の浦短歌賞 佳作
まっすぐに瞳をみつめ話すからしずかな嘘は海に沈んで
■花の下歌会 東直子 選〈2018/3/21〉
海底に沈んだままの空き瓶の手紙のようにそらを見あげる
■東京新聞 東直子 選〈2018/3/11掲載〉
印刷のことばが一つ欠けているチラシをくばるような毎日
■第9回 角川全国短歌大賞予選通過
欠けてゆく心の隙を埋めてゆくシロップみたいに月は甘くて
中学で初めて編んだマフラーを手入れをしつつ母が巻いてる
■東京新聞 東直子 選〈2018/2/12掲載〉
やんわりと否定されたとわかりつつヌメリ残さず食器をあらう
■東京新聞 佐佐木幸綱 選 特選二席〈2018/1/21掲載〉
早朝のどうぶつ園へつづく橋スキップの列がわたしをさそう
■第19回NHK全国短歌大会 近藤芳美賞 入選〈2018/1/20〉
『海のない街』
沖縄の海は二人を揺らしてるミントゼリーのような煌めき
真っ白なあたたかい風に導かれ眠るあなたの睫毛のカール
留守番の子供たちからメール無くそれぞれの旅をみんなが刻む
ジーンズの裾を捲って砂浜を素足で走るムービーを録る
美ら海のジンベイザメの大胆で優雅な舞に奪われる声
ガジュマルの根の張り方は何処までも絡まりあって深い愛しさ
永遠に一緒にいられないのかなポークおにぎりゆっくりと食む
この街の孤独の色も切り取って自然のままでシャッターを押す
喜びも寂しさも混ぜてカチャーシー踊る心をそっと重ねて
砂浜のあなたと一緒にタコライス食べ過ぎだよとまたタコライス
聴きなれぬ言葉の不思議を浴びている鍾乳洞は静かに育つ
カーナビに映らぬ橋を渡りゆく夫婦の未来は水に揺らめく
海のない街で育った私には深海魚たちは未知なる鼓動
結婚の約束の中を泳いでる私たちまだ手を離さずに
子を育て生きてくことの意味などの理由はいらぬ東京へ飛べ
■第19回NHK全国短歌大会 入選〈2018/1/20〉
陽だまりのランチの後のオフィスでは園児のように戦士が眠る
【2017年掲載短歌】
■東京新聞 東直子 選〈2017/12/17掲載〉
水滴が波紋を描く水たまりレインブーツのワルツで渡る
■早稲田 東直子 短歌講座提出〈2017/11/14〉
温かく甘い紅茶の水筒の香りを抱えホームに立つ朝
■夏の夜の短歌会 詠草〈2017/8/25〉
4Dの映画のイスは暴れだしゴジラの脚へ私を放る
■東京新聞 佐佐木幸綱 選〈2017/8/27掲載〉
赤色のプールバッグをぶらさげて麦わら帽子が駆けだす夏
■現代歌人協会 第46回全国短歌大会
藤島秀憲 選 佳作〈2017/10/28〉
「ただいま」と一人の部屋に帰るとき焼きたてパンが今日も優しい
■東京新聞 佐佐木幸綱 選〈2017/7/16掲載〉
青梅が並ぶ店先雨の午後自分のなかの青さをさがす
■東京新聞 東直子 選〈2017/6/25 掲載〉
つり革にカラダをあずけ初夏の朝野菜のように運ばれていく
黒乃響子
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