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小説集

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2019年11月の記事一覧

掌握小説「樹」

「う、うう、うううう」 「どうしたの、蓮くん?」 赤いランドセルには不釣り合いなほど、身長がすらっと高い女の子が、切り株となった樹の下で泣いている少年に声をかけた。 「由紀ちゃん?」 女の子は、蓮より2つ上のお姉さんだった。この間の行事遠足で、面倒を見てくれたことを気に仲良くなったのだ。 「どうしたの?そんなところで泣いて」 「え、えっとね……僕を励ましてくれるお爺ちゃんと待ち合わせていた樹が切られてしまったの、止めたんだけどね」 泣きながら話を終えた蓮くんに寄り添うように、