自主制作で久々に自己ベ更新出来たので、思ってることをまとめておく

久々に、自主制作で自己ベスト更新が出来たと思っているので、次に向けて自己ベ更新の要因と、目標について走り書きしておこうと思う。
なお、ここで言う自己ベストは「自分の自主制作の代表作として最初に紹介するものとして、自分が納得している作品」というぐらいのニュアンス。

何が自己ベスト更新の要因だったのか考える

前回の完全な自主制作がいつだったかと考えると、20年の「まぼろし」だったなと。
(これを作るまでに、細かい自主制作や映像仕事はあったが、個人的にガチンコ全力投球というとこれだったなと)

20年~22年の間でいろんなことがあったが、大きな環境や制作スタイルでの変化を考えてみると、

  • 専門学校講師で平日・平常授業を担当するようになった(21年4月~)

    • 特に学生課題の講評を、授業時間内に約50人分その場で口頭で行うスタイルにして、言語化を意識的にするようにした

  • 映画を意識的に観る本数を増やして、その感想をツイッターで数ツイートにまとめるようにし始めた(19年末~)

  • Pinterestを本格的に制作時の資料集めに導入(20年4月~、上記の「まぼろし」制作から)

  • 引っ越して、部屋が広くなって、自己流のVコンテが作りやすい部屋になった(21年8月~)

  • インプットした作品に対して、できるだけ何がよく、何が気になったのかを言語化するようにした(20年ごろ~)

  • フリーランスへの転職?したのがきっかけで、金銭的に少し余裕が出たので、特にゲーム関連で積極的にインプットが増やせるようになった(20年初頭~)

概ね上記のあたりは、振り返ってみると関係がありそうな気がしている。
特に、「学生課題を初見時にリアルタイム言語化して講評する」というのは想像以上に脳みそのリソースをフル回転させて、自分の中の引き出しを全部使っていくので、自分自身の勉強にも繋がているように思える。
同じ授業で一緒に講師をしてくれている友人の言語化力が高いおかげで、こういったことの重要性に気がつけたのも本当にありがたい。

インプットも、偏りがちだったものが金銭的な余裕も出来たこともあり幅を広げれたことは大きい気がする。
昔からなるべく食わず嫌いはしないようにといろんなものに手を出しているつもりだったが、どうしても「無料」で楽しめる範囲が多かったため、お金が必要なものも接種しやすくなったのは本当に大きい。
特にゲームは、昨今のゲームエンジンの民主化も含めて、玉石混交感もありつつ、独自の表現スタイルにたどり着いているものが多く、そのルーツを探ったりすることで知見が一気に広がることも多くて、遊ぶ以外に美術的な価値も上がってきていると感じる。それでいて、元上司の言葉を借りるなら「映像の次に出てきた、現代で最も包括的な総合芸術」だと自分も思うので、映像に応用できる部分がめちゃくちゃ多く参考にさせてもらえるなと。
このあたりに気が付かせてくれた「ゲームさんぽ」は本当にありがたい企画だなと今でもしみじみ思う。

上記それぞれの流れが、Pinterestでの資料集めの際の具体化にもつながっていき、導入当初よりも「資料としての」ジャンル分けが的確にできるようになってきたのかなと思う。資料が的確に集められると、頭の中でふわっとしていた画に具体性がどんどん帯びてくるようになり、コンテの完成度向上につながるという流れになったのかなと思っている。

また、ずっと敬遠しがちだった3D作業、特にUnityに向き合えたのも今回は経験値としてかなり良かったなと。

自己ベストが更新は出来たが…

表向きに大きな声で言うことはないが、出来上がって丸1ヶ月以上経過して、手直ししたい箇所はかなり出てきている。
大きく分けてテック的な部分と、プリプロ的な部分。

テック面での更新を考える

テック面に関しては、具体的には、色とライティングに関する部分。
この部分は今回かなりUnityのレンダーパイプラインやシェーダーの表現に頼り切ってしまっている部分になっていて、ほぼ無調整。それでも同一シーンでもカットごとにライトの向きを変えたりして意図した表現になるように調整したりはしている。
それでも、満足仕切っている仕上がりではない。夜や嵐のシーンでは画面全体が暗すぎるが、これをグレーディングで無理やり整えようとするといらない部分も明るくなってしまう。日中シーンも影がこすぎたり、モブが暗すぎたりと色や照明に関することがかなり気になる。
直すためには3Dからの出力段階で意図したカラーで調整が効きやすいようにすべきだったなと。3D側でかなり色をコントロールできるようにするか、コンポ段階でいじれるように適切なマルチパスを出すか…

いずれにしても、「デザイナー1名」でやるにはUnityというツールとの相性が悪いなと感じている。
Unity大きなの利点は多くのアセットが販売されているストアの存在と、最終出力結果をリアルタイムで確認ができ、高速で書き出しができる点だ。通常のプリレンダー系DCCツールではこうはいかない。
ただ、意図したシェーディング感を実現するにあたって、Unityでは自力で開発する力がかなり試されてしまうため、C#やシェーディング関連の言語で最終的に記述する必要があるなと感じていて、デバッグも含めるとエンジニアさんとタッグでやっていくか、デザイナとエンジニアを二人で兼任しながらプロジェクトへの理解を深めていく必要があるなと思う。

色々調べてみて、やっぱりという感じだが、このUnityの利点・欠点をどちらもいい具合にしてくれているのが、Blenderなのかなということになる。

プリプロ面での更新を考える

今作のプリプロは合計で7ヶ月かかっている。
内訳はメイキング記事に載っているとおりだが、あまりにも長い。
もちろんじっくり考える時間は大事で、今回はそのために資料も豊富に集めれた。
途中忙しかったとは言え、仕事や息抜きの片手間に、短く見積もっても4ヶ月というのは流石にかかりすぎている。
ここのイテレーションを上げていかないと昨今の消費が加速している時代では遅すぎるというのが自分なりに思っていること。
スキルアップのためにも、個数作ったほうがいいのは自明。

どうして時間がかかるのかを分析すると、自分が納得行くまで頭の中の映像を固める作業に時間がかかりすぎている。
プロットが5割できたなら、そこから更に脳内映像を5割分固めて、更にそこからVコンを5割ぐらいまですすめるという形にすべきなのに、9割ぐらいまで固めてから次に進んでるから遅い。

これに関しては癖をつけていくしかないので、物によって変わるとは思うが一本1ヶ月ぐらいでプリプロが終われるといいなと。

これらを踏まえて、次の制作に向けて考えていること

CG部分をBlenderベースに切り替えていく

DCCとゲームエンジンのいいところ取りをしているツールで、独自の癖は間違いなくあるが、次はBlenderベースで作ってみるべきだよなと感じている。
Unityで最大の苦戦ポイントが、マルチパスが書き出せないことだった。特にリライティングや貼り込み作業で使えるnormalやカメラスペースUVなどがあると微調整をコンポ段階で行えるので、嫌な影を消したりもできる。
また、アニメーションの焼き込みで物理の嫌な挙動を回避したりもできるかもしれない。

それ以上に魅力を感じているのは、ノードベースマテリアルを利用したシェーディングの調整が可能な点で、ちゃんと使えたらかなり理想形に近い描画ができそうだなとは思っている。

現状わかっている欠点としては、各種便利ツールが有志開発ということもあり、いつサポートが切れてもおかしくないということ。ただこれはほかツールも似たような現象がいくらでもあるので、欠点らしい欠点でもないなと。
また、描画関連の最適化が他DCCにくらべてイマイチなため、大規模なシーンで描画が重くなったり、キーフレームの数が多いと重たいという現象も聞いてはいるが、自主制作でどこまでそのレベルに近づくのかわからないので、これは今後感じたらその時というぐらい。

通常はeeveeレンダーで処理しつつ、クォリティを上げたいアップカットや反射・透過系の正確な計算にCyclesを採用するという手法が、マテリアルの共通化がされている点でもありがたいので挑戦していいかもしれない。
このあたりはArnoldレンダラーでも似たようなことができるが、Blenderには非対応なのと、有償なので導入が難しいなと。

テック面まとめ
Blnederで、eeveeベースの制作に切り替えながら、クォリティの必要な箇所でピンポイントでCyclesを採用する

プリプロのイテレーション加速手法

プロット部分を、5割の段階で次ステップ(音楽作った方など、作品に関係のある人に見せる。または、資料集めをする)に移っていくような癖をつける。
次工程を進めることで、前工程でふわっとしていたことが固まったりして進行がしやすくなることが多い。プリプロで悩むなら一歩先へという癖をつけて悩む時間を減らしてイテレーションを上げてみる。
プロットの思考方法は、ポンポさん流の「テーマを決めたら、それに合うシチュエーションと感情を決める」「それに沿うような形で、納得行くようなゴールに向かえるように、スタートから何度もやり直す」が一番自分に向いているように思えたので、今後も続けていきながらスピードを上げる方法を模索する。
イテレーションを上げた上で、手前のステップで躓くなら、一旦その状態で次ステップへ進んで観ることをVコンぐらいまではやってみていいなと思う。

プリプロ面まとめ
今のやり方のイテレーションを上げていく。前のステップで躓くぐらいなら、一か八か次ステップへ歩みを進めてみて、それで見えてくるものがあるかもしれない。

最後に

これだけ書いたので、次の自主制作にさっさと手を付けなきゃと言いながら、すでにプリプロで一週間ほど食いつぶしてるので、頑張って加速します……
とは言え、ゲームしたいんじゃ...…
テイワットが…砂漠が俺を待っている...…

あと、テイルズオブアライズのセール始まったので、積みゲーとして買います、はい。
来月はソニックもポケモンも...…時間がないですね!!!!