みずうみ
すぅーーっとカラダからチカラが抜ける。
わたしの中にあたたかいものが挿さり包まれたまま、どんどんチカラが抜けていく。
自分の体重を支えて地球の上に寝転がっていたのが、その瞬間から、だんだんと地球にカラダをあずけるようにチカラが抜けていく。
そうしてあらわれた、みずうみの水面に
今度はすぅーーーっと浮かんだ瞬間、
深く深く沈んでゆく。
水がカラダに纏わりついつく。
脚も背中もお腹も肩も胸も首も頭も顔も、
鼻の先までもに纏わりつく。
やがて呼吸が深くなり、魚のように水の中で深く深く呼吸をする。
なんて心地いい時間。
暑くて、冷たくて、不思議な感じ。
ここは深い深いみずうみの底。
真っ暗なそこは、とっても心地よくてあたたかい水が流れていた。
あたたかくて、気持ち良くて、初めて味わう心地よさに、身をあずけた。
ずーっと醒めなければいいな。
薄く目を開けると、あたたかい胸に包まれて、真っ直ぐな視線がわたしに入ってきた。
ずーっと醒めなければいいな。
わたしはきっと、醒めずにみずうみの底に沈んだままなのかも知れない。
沈んだまま、呼吸が浅くなってきて、溺れそうになっている。
苦しくて、あわてて酸素を探している。
焦って泳いじゃ、ダメだよ。
わたしは自分に言い聞かす。
みずうみの中を自由に泳げるように、わたしはわたしであり続ける。
素直な自分で、あり続ける。
みずうみの中で。
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