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[翻訳:STEPN公式記事]全てのP2Eゲームは、"ポンジ"なのだろうか?

本記事は、STEPN運営チームにより執筆された以下の記事を、 STEPNプレイヤーの黒川( @kuro_at_web2 )が日本語訳した記事です。


※基本的には原文を忠実に訳すことを心がけていますが、日本人には分かりづらい内容や補足が説明な部分については訳文を加筆・修正しています。
※灰色のボックスで囲まれた部分は、黒川による訳注です。
※全ての訳文は、引用や転載自由とします。良い記事を広めたくてやってるので、広く読まれるならなんでもいいです。
※※なので、もし参考になったなら、いいねやRTなどしてもらえると嬉しみです。
※本記事は、個人による非公式の翻訳記事です。気になる誤訳などを見つけたら、黒川( @kuro_at_web2 )までどうぞ。


====↓ここからが本文です↓====


すべてのP2Eゲームは、ポンジなのだろうか?

1920年代初頭、チャールズ・ポンジは、詐欺的な投資スキームを実行し、約2000万ドル(現在の価値で約2億5800万ドル)を手に入れました。

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彼は、投資家に高い"運用益"を提供するという嘘をつきながら、実際は新規に入ってきた投資家からお金を取って、先に投資した投資家にそのまま渡していただけだったのです。
それが彼の発明した、新しい手口でした。

この事件以来、同様の手法は、一般に ポンジ・スキーム(Ponzis)と呼ばれるようになります。

日本では「ねずみ講」なども、(実際は少し違うのですが)ほぼ同様のニュアンスで使われている言葉です。
ねずみ講は、出資者によるピラミッド構造が特徴的ですが、ポンジは必ずしもピラミッド型の階層を必要としません。


一般に、ポンジ・スキームとは、「新規の投資家から集めた資金で、既存の投資家にそのまま報酬を支払う投資詐欺」と定義されています。

このスキームにおいて、投資家は、高いリターンを約束する管理者にまず原資を支払います。そして、その投資家に対して支払われるリターンは、後から来た投資家によって投げ入れられた原資の中から捻出されます。

すなわち、新規に参加した投資家が投入するお金を除けば、新しく発生する収益はありません


この投資モデルは、後から参入した投資家が投げ入れるお金だけに頼る、持続性の低いものです。
もしこのモデルの中に新しい投資家が入ってこなくなったら? 
…スキームは崩壊し、投資家は(特に比較的後の方でスキームに参入した投資家は)多くのものを失うでしょう。

そのため、ポンジは非倫理的であるとして広く非難され、SECのような監視機関によって非常に厳しく取り締まられています

SEC(Securities and Exchange Commission)とは、投資家保護と公正な市場整備のため、1934年に設立されたアメリカの市場監視機関です。
(つまり、ここで運営チームが遠回しに言いたいことは「本当にP2Eゲームが”ポンジスキーム”の要件に該当するのであれば、監視機関の規制を受けずにこうやって"野放し"にされているわけがないでしょう。少なくとも、一般的な認知や法律的な解釈では、P2Eゲームは"ポンジ・スキーム"ではありません。まず、そこは話の前提として知っておいてもらえると嬉しいな」ということかなと。)

日本においても、ポンジ・スキームは同様に取締りの対象です。


P2Eゲームとポンジスキームの「密」な関係

さて、21世紀にはPlay 2 Earn(以下、P2E)ゲームが登場しました。
Axie Infinityなどの急激な人気の上昇は、記憶に新しいところです。

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[参考] Axie Infinity 公式HP
https://axieinfinity.com/

2021年、Axie Infinityは取引量35億ドル、ネイティブトークンである$AXSの成長率は18,000%という驚異的な数字をたたき出しました。

このゲームはフィリピンのような国で特に人気があり、そうした国のプレイヤーは、現地の仕事の給料以上の収入を簡単に得ることができました。

[参考] NFTゲームが生活を支える──コロナで傷むフィリピン経済の背骨
https://www.coindeskjapan.com/77546/


多くのP2Eゲームは、参入の初期障壁が低いながらも、膨大な収入を得られる可能性があります。こうしたゲームは、たくさんの人に新しい稼ぎ方を提供している…といってもいいでしょう。

そして、それは特に低所得国のプレイヤーにとっては、人生を変えるようなチャンスを提供するものです。そうした側面から見るP2Eゲームは、現代における新しい「善」の形の一つであることは疑いようのない事実です。




……にもかかわらず、P2Eゲームを「これはポンジだ !」と非難する"批評家"たちが現れ続けています。一体なぜでしょうか?

まず、そうした主張のほとんどは、暗号とP2E領域に関しての知識不足から出てきているものです。わからないものは、怖いのです。

ですが、そうした知識不足による批判と同時に、極めて正当に感じられるような主張も存在します。
たとえば、「P2Eゲームは、いつ崩壊するかわからないトランプタワーのようなもので、もし崩壊したら数千人が経済的にダメージを受けることになる」…といったような主張です。

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そうした主張の正当性を考えるために、ここで一つの簡単なゲームを例にあげてみたいと思います。
そのゲームの名前は…「ABCゲーム」ということにしましょう。

=====ABCゲームのルール=====
①ABCゲームに参加するには、まずNFTを100ドルで購入する必要があります。

②NFT購入後、プレイヤーは1日100トークン(1トークンあたり0.01ドル相当)を獲得することができます。

③トークンは、アップグレードやレベルアップなど、ゲームのエコシステムに参加するために使用されます。

④プレイヤーは、トークンをゲームに再投資するか、キャッシュアウト(ゲーム外への出金)して利益を得ることができます。
=======================

一見すると、ABCゲームは全く無害なゲームにみえます。

しかし、④でキャッシュアウトしているユーザーは、どこからキャッシュアウトするための資金を調達しているのでしょうか?



ほとんどのゲームは、リリースと同時に流動性プールの運用を開始し、そのゲーム内トークンをUSDCのような安定したコイン(stable coin)に紐づけするのが一般的です。
プレイヤーはゲーム内トークンをUSDCに交換したり、逆にUSDCをゲーム・トークンに交換したりすることができます。これにより、プレイヤーがゲームを始めるための初期の流動性を確保することができます。

ゲームの進行にともなって、流動性プールは少しずつ成長して自立していきます。プレイヤーがゲーム内トークンを売買し、プールに追加していくことで成長するのです。


一般的なP2Eゲームでは、このモデルの収益性が持続するかは、常に新しいプレーヤーが参加するか否かにかかっています。
しかし、P2E市場の過度な飽和により、需要は減少していくかもしれません。その結果、流動性プールは拡大することなく、キャッシュアウトを求めるプレイヤーが増えることで、トークンは外部へ流出することになります。

これは通常ゼロサムゲームであり、先行者利益を得た投資家が多くを手に入れ、新規プレイヤーは投資に対する健全なリターンを得ることができないのです!


……ということはつまり、すべてのP2Eゲームはどうやっても非倫理的なもので、ポンジ・スキームであり続けるということなのでしょうか?

私たちの答えは、Noです。

STEPN運営チームは、「P2Eゲームが持続不可能な状態になってしまう要因」と、「それを乗り越えるための方法」を皆さんに提示できる……と強く信じています。

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「トークノミクス」が、ゲームの持続可能性に与える影響

ゲームの持続可能性について考える時に、一番大事な土台となるのは「需要と供給」というシンプルな概念です。

こうした考え方が、トークン経済学(token economicis)、 あるいは"トークノミクス(tokenomics)" と呼ばれるものの本質的な部分です。


トークノミクスとは、「暗号資産の動きを支配する、"数式"と"インセンティブ"の集合体」…とも言えるでしょう。
たとえば、「トークンがどんな時に使われるのか(トークンのユースケース)」や「トークン供給総量を減らすための仕組み(Burnメカニズム)」といった需要の原動力となるもの、さらには時間の経過とともに資産の価値に影響を与える心理的・行動的要因まで、デジタルアセットの世界における経済的効果を網羅的に説明できるものがトークノミクスなのです。

優れたトークノミクスは、プロジェクトの長期的な成功に不可欠です。
もし優れたトークノミクスが実現できなければ、ゲーム・トークンのインフレは加速度的に進行し、ゲーム内の経済は壊れてしまうことでしょう。


さて、ここから話をもう1段階先に進めるためには、まず「流動性プールとは何か」「なぜP2Eゲームに流動性プールが不可欠なのか」の2点を理解する必要があります。

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流動性プールとは、基本的に「スマートコントラクトにロックされた暗号通貨やトークンのプールで、アセット間の取引を促進するために使用されるもの」です。

Web3の用語に慣れていない方向けに、語弊を恐れずに上記の内容をかみくだいて説明すると……

・流動性プールとは、銀行の中に預け入れられているお金のようなもの。

・そのお金は、貸したい人⇔借りたい人、あるいは売りたい人⇔買いたい人の取引をスムーズにするために、一旦誰のものでもない状態でプールされている。(アセット間の取引を促進)

・そのプールに資産を入れたり、プールから取り出したりみたいなことをしようと思ったら、事前に決められて公開されているルールに従ってやらないといけない。誰も(運営者であっても!)、ルールを破って、そのプールのお金を勝手に取り出したりはできない。(スマートコントラクトへのロック

例を見てみましょう。

ある流動性プールに、10枚の"Token X"と10枚のUSDCが入っているとします。(この場合、1Token X = 1USDC と表すことができます。)

ユーザーがToken XをUSDCに交換すると、Token Xの価格は下がり、その逆も同様です。たとえば、あるユーザーが5枚のToken XをUSDCに交換した時、プール内のUSDCに対応するToken Xの価格は、一枚あたり0.80USDC に下がる…といったようにです。

上記の例の補足。
「ユーザーが5枚のToken XをUSDCに交換した時」に起こることは、(とても簡易的に表現すると)以下のようになります。

①プール内のToken Xが増える
②プール内のUSDCの数が減る
③プール内のTokenXの数が、USDCの数に比べて多くなる
④プール内では、USDCの方が、TokenXよりも希少価値が高くなる
⑤USDCの価格が上がり、TokenXを1枚買う時に必要なUSDCの数が1枚→0.8枚になる。

STEPNユーザーは、「Token X」を「GST」に読み替えると理解しやすいはずです。

流動性プールの急速な枯渇(中に預けられている資産が減ってしまうこと)を避け、ゲーム・トークンの価値を維持するためにすべきことは、
「①トークンをゲーム内で使う(Burnする)」「②保有する」のどちらかをプレイヤーがしたくなるようなインセンティブを用意することです。

トークンをゲーム内で使いたくなるような仕組みがあれば、トークンへの需要が強くなり、それによって全体のトークン量を減らすことができます。そうするとトークンの希少価値が上がるので、トークンをゲーム外へ出金してしまうユーザーは減り、流動性プールの枯渇を防ぐことができます。

流動性プールについて、より正確に知りたい方はこちら↓
[参考] DeFiにおける流動性プールとその仕組みとは?https://academy.binance.com/ja/articles/what-are-liquidity-pools-in-defi


このことを念頭において考えると、トークンの十分なユースケースとBurnしたくなる仕組みが整備されていることは、極めて重要であることがわかります。それが整ってさえいれば、トークンの供給は自動的に減り、トークンに対する需要が生まれ続けるのです。

こうした "支出メカニズム" がいつも正しく動いているかを管理できていないゲームでは、プレイヤーがトークンを保有したいと思う理由がなくなってしまいます。


P2Eゲームにおけるトークンのユースケースの例としては、アイテムのレベルアップ、コスチュームアイテムの購入、その他様々なものがあります。

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ゲームが持続不可能になり、ポンジ的になるのはこんな時

結局のところ、古いプレイヤーと新しいプレイヤーの収益のバランスを取ろうとせず、新しいプレイヤーからの収入だけに頼っているゲームは、構造的にポンジと似ていると言ってもいいでしょう。

ここからは、どんなゲームはポンジ化しやすいか、あるいはゲームがそうならないための方法をいくつか紹介します。


A) お粗末な設計のトークンエコノミクス

ここまでに説明した通り、ゲーム開発者は、需要と供給のバランスがとれたトークノミクスを構築する必要があります。
持続不可能なゲームには、しばしば以下のような危険信号があります。

・トークンの用途が限定的である。

・プレイヤーにキャッシュアウトを促し、流動性プールを枯渇させてしまう

・Burnメカニズムを提供せず、単にトークンの供給量だけを減らそうとする

・実際にゲームで遊ぶユーザーよりも、投資だけを目的とする人を優遇するような、ひどい流通モデル。

・"投資家"がゲーム内トークンを使用することに興味がなく、売却する可能性が非常に高い状態(それはすなわち、流動性プールが彼らの行動に大きな影響を受けるということです!)

・個人投資家の権利確定期間が限られている、あるいは、無い。
↑これは、そのプロジェクトが、意図的にトークンの価格操作をして売り抜けるための準備をされていることを示す強いサインです。(Pump and dump スキーム)

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[参照]What is a Pump and Dump Scheme?
https://speedtrader.com/pump-and-dump-schemes/



B) "エンドゲーム"に到達するのが簡単すぎる

あまりに簡単にエンドゲームに到達してしまうと、プレイヤーは飽きてしまい、大きなキャッシュアウトをするようになっていきます。

「エンドゲーム」とは?
もうそのゲーム内で、チャレンジできる要素がなくなってしまったような状態です。
・やりこみ要素のないRPGで、ラスボスを倒してエンディングを見た状態
・ソーシャルゲームで、完全に自分のパーティーが完成してしまい、もう欲しいキャラもレベルを上げたいキャラもいないような状態
などは、多くの人にとって「エンドゲームに到達した」状態と言えるでしょう。

多くの人がゲームをする理由は、充実感を得るためです。
例えば、2億人以上のアカウントを持つMMORPG(多人数同時参加型オンライン・ロールプレイングゲーム)の最大手「Runescape」を例にあげて説明しましょう。

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[参照]Steam : Runescape
https://store.steampowered.com/app/1343400/RuneScape/?l=japanese&curator_clanid=30637343

Runescapeは、高額課金者から無課金ユーザーまで、あらゆるレベルのプレイヤーに対応していました。このゲームでエンドゲームに到達する、すなわち「完成したアカウント(maxed account)」を作るには、数ヶ月、数年単位でプレイしなければいけないほど、"奥が深い"ゲームです。

この「完成したアカウント」というマイルストーンに到達したプレイヤーはリリースから長い時間の経った今でも、ほんの一握り(2020年現在、9712人)です。
つまり、大多数のプレイヤーにとって、ゲーム内には常にやるべきことや、目指すべきゴールがあったのです。


もしP2Eゲームが、多くのプレイヤーに、この「完成したアカウント」へと簡単に到達させてしまったら?
そうしたプレイヤーは目指すべきゴールを失い、ゲームからキャッシュアウトすることになります。
このようなことが早い段階で起きると、ゲームが軌道に乗る前からゲーム経済が不安定になってしまいます。

STEPNでは、例えば以下のような要素を使って「完成したアカウント」までの長い長い道のりを作っています。

①靴の足数をできるだけ多くしたい
②もっとレアリティの高い靴を履きたい
③できるだけ良いパラメータの靴を作りたい
④良いパラメータを最大限に活かすため、良いジェムをつけたい
⑤Effi靴、luck靴、Com靴をそれぞれ用意したい
(⑥マラソンイベントで上位に入りたい)

これらを複雑に絡み合わせて、どんな量の資金を入れたプレイヤーにも、どれだけ長く遊んでいるプレイヤーにも、常に目指すべきゴールがあるように設計されている…と分析できます。



C) ゲームが面白くないのに、異常な高収益を宣伝している。

ゲームの本質は「遊ぶのが楽しい」ことです。

プレイヤーに楽しみを与える強力なゲーム基盤がなければ、人々がプレイする理由は、トークンを稼いでキャッシュアウトすることだけになってしまいます。繰り返しになりますが、多くのプレイヤーによるキャッシュアウトが横行することは、ゲーム内経済にとって不健全です。


"プレイするのが面白くないゲーム"は、ユーザーを引きつけるために収益面だけに依存する可能性が高いです。
そのようなゲームは、ゲームの持続可能性を犠牲にして、異常に高い収益性でユーザーに報いようとすることが多い、といえるでしょう。


P2Eゲームの現状は、かなり悲惨なものです。膨大な数のP2Eゲームが市場に出回っていますが、それらは"ゲーム"ではありません。数回クリックするだけで報酬が得られると約束されている、ただの"脆弱なサービス"です。

そうしたビジネスモデルは、P2Eの世界がごく初期の頃には成立しました。新しいユーザーは、何も知らずに"楽しむ"ことができたかもしれません。そこにはまだ、強力な競合もおらず、ゲームの収益性を声高に煽るような誇大広告もない世界だったからです。

しかし、現在、Web3の世界には、P2Eゲームが数多く存在します。そしてこれらのゲームの多くは、P2Eの流行りに便乗して、手っ取り早く儲けようとしています。

そうした状況下で今、プロジェクトが成功するためには、プレイヤーの継続的なプレイを促すような「遊んでいて楽しい」優れたゲームデザインが必要なのです。



D) 稼ぎやすさとポンジ性のバランス

では、P2Eゲームの特徴である「ポンジ性」を抑えつつ、「稼げる」ゲームは実現可能なのでしょうか?

もちろん可能です。

ですが、そのために正さなければいけない最大の"勘違い"を、実は多くのゲーム開発会社がいまだに抱えたままの状態です。

多くの開発会社は、従来のゲーム制作に慣れており、P2Eゲームも大差ないと考えています。しかし、これは大きな間違いです。

P2Eゲームの運営には、彼らが考えているよりもずっと多くの時間と労力をかけることが必要不可欠なのです。特に、ゲーム・トークンの流動性と持続性に関しては、多くの時間と労力を要します。

また、ゲーム内のいろいろなことが適切に進行しているように見える場合でも、チームは状況を積極的に監視し、必要に応じて介入する必要があります。

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P2Eゲームの持続可能性の追及

能動的なマネジメントによる、強力なトークノミクス

一般的にゲーム内トークンは変動が非常に激しいため、ゲームリリースの初期には特に、開発者はトークンの値動きを積極的にウォッチしなければいけません。

優れたトークノミクスの例としては、トークンを使い続ける必要があることを保証する十分なトークン「シンク」、トークン供給を制御する強力なバーンの仕組み、そしてトークンが発行される量の動的な管理などが挙げられます。

「シンク」とは?
日本語でピッタリくる単語はあまりないですが、キッチンにある「流し台」をイメージするとよさそうです。
"流動"する資産(水)を流しこんで捨てる場所なので、おそらくその比喩だと思います。

余剰のトークンを吸い込んでくれるこのシンクが狭かったり、詰まってしまったりして溢れてしまったら?
トークンは外に溢れ出してしまう(キャッシュアウトされてしまう)ことになります。

では、STEPNではどうでしょう?
スニーカーを使用した後の修理、レベルアップ、スニーカーのmintなど、トークン需要を維持するための複数の「シンク」が配置してあるのです。



ユーザーに、本当の価値を提供する

お金儲けという側面だけを重視したゲームでは、持続不可能であることは明らかです。なぜなら、そうしたゲームの価値は、稼ぎの可能性に直結しているからです。稼げなくなった瞬間に、そうしたゲームの価値は無くなってしまうでしょう。

つまり、ゲームが持続可能であるためには、単にお金を稼ぐこと以外の価値を提供することが本当に大事なのです。


もう一つ上のレイヤーの話をするならば、NFTのような暗号資産の無形価値も重要です。無形価値とは、そのNFTを持っていることで、文化的・審美的・社会的な効用をどれだけ保有者にもたらすかを指しています。

つまり、「稼げる」以外の価値をNFTにつけることが大事…という意味です。

文化的・審美的・社会的な効用の例としては、たとえば以下のようなものが挙げられるでしょう。
・著名な美術品を所蔵することで、美術館としての格式が向上する
・お気に入りのスニーカーを履くと、テンションが上がる
・Bored Ape Yacht ClubのNFTを所有しているインフルエンサーは、コミュニティからの承認を得られやすい


ゲーム内アイテムの価値は、そうした形の無い価値をたくさん積み重ねることで高めていくことが可能です。

形のない価値をNFTに積み重ねていくことは、流動性プールを枯渇させることには全くつながりません。むしろ、流動性プールに価値を追加していく行為だといえるでしょう。

逆に、もしNFTに無形の価値が全くないゲームであれば、これらの暗号資産の全体的な価値は時間経過とともに減少し、最後にはゲーム内経済の崩壊を招きます。


したがって、開発者はゲーム自体が楽しいだけでなく、金銭的な報酬とは別の価値をユーザーに提供する必要があります。例えば、認知能力の向上や、メンタルヘルスを改善させること、さらにはゲームコミュニティ内でのネットワーク形成、などが挙げられます。

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(中略)
(日本人には馴染みのない事例を使って、上記の"無形価値"を説明している箇所のため)
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中略した箇所の代わりに、訳者が補足します。

無形価値を発生させているゲームの具体例として、日本人に馴染み深いものを挙げると

・認知能力の向上
主に「脳トレ」系のゲームや、アクションゲームなど

・メンタルヘルスの改善
主に「どうぶつの森」や「nintendogs」などのゲームや、その他あなたが好きでたまらないいくつかのゲーム

・ゲームコミュニティでのネットワーク形成
主にMMOゲーム全般やソーシャルゲームなど、そしてSTEPNも。
このnoteも、きっとあなたがSTEPNコミュニティのネットワーク内にいるから、あなたの目に触れたのだと思います。


それぞれのプレイヤーに、一緒にプレイする友人や、"オンラインホーム"と呼べるような強力なコミュニティを作ることで、彼らはプレイを継続してくれるようになり、結果としてゲームの寿命が延びることになります。


では、ここでまたSTEPNの話に戻りましょう。

STEPNは、ユーザーに無形と有形の両方の価値をもたらすことにフォーカスしながら、ユーザーがすでに行っているであろうコアな活動(=歩くこと)を報酬と紐づけるようなアプリであろうとしています。

毎日歩く習慣ができることで、ユーザーは活動的な日々を送ることができ、それに伴う健康上のメリットを享受することができるのです。


さらに、もうしばらくすると、STEPNの収益からはカーボンオフセットが購入されることになっていきます。そしてその購入量は、STEPNユーザーによる投票によって決定されます。

これにより、ユーザーは歩くことで個人の収入を得るだけでなく、地球温暖化対策も同時に行える……という、ゲーム体験が実現されようとしています。


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カーボン・オフセットを購入する、とは、非常にざっくりまとめると「あなた自身が二酸化炭素を減らす代わりに、二酸化炭素の削減に貢献した人たちに報酬を贈る」ことであり、この仕組みに参加する人やお金の量が増えるほどに、地球温暖化対策は進む…と言い換えてもよさそうです。
私達が地球温暖化に対して直接なにかできることをしようと思ったら、息をできるだけ長く止めるよりも、カーボンオフセットを購入した方が有効そうです。

[参照]カーボン・オフセット / カーボン・ニュートラルとは?
http://offset.env.go.jp/about_cof_cn.html


”ボンディングカーブ”を利用したゲーム経済

これからのゲーム開発者は、ゲーム内のアイテムの供給量を管理するために"ボンディングカーブ"というアイデアを利用することができるかもしれません。
まだP2Eゲームという市場自体が初期段階であるため、ボンディングカーブの実現性は実証されていませんが、これは実行可能なソリューションになる可能性があります。


簡単に言うと、ボンディングカーブとは、トークンの供給量を直線的に上昇する価格に固定するものです。供給が多ければ多いほど、価格は高くなります。この概念は、トークンだけでなく、ゲーム内の他のアイテムにも活用することができます。

例えば、入手困難なレアアイテムにボンディングカーブを設定することができます。特定のベンチマークに達するとボンディングカーブが発動し、それ以降にmintされるアイテムの価格は供給量の増加とともに上昇します。

STEPNでは、上記のような仕組みを、もっとライトな形で、プロジェクトの成長とともに徐々に実装していくことを目指しています。

ボンディングカーブ(Bonding Curve)は、かなり難解な概念です。そして、この先進的なWeb3の世界の中でも、まだ実用化段階に至ったプロダクトがほとんどないほどに先進的なアイデアです。

通常、なにかの供給量が増えると、その価格は下がっていきます。
(たとえば、りんごが豊作だった年は、りんごの価格は下がります。)

ですが、ボンディングカーブのアイデアを用いることで、逆の減少を起こすことができる(かもしれない)のです。

訳者自身もまだ理解しきれていませんが、基本的には「あるトークンがX枚発行されている場合の価格は、Y円になる…という処理をスマートコントラクトに予め仕込んでおくことで、どんな流通量になっても急激な値崩れや高騰が理論上起きえない」という仕組みかなと。

これに似た仕組みが、エピック靴やレジェンダリ靴では実装されるのかもしれませんね。

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明るい未来を、サステイナブルな未来を見据えて

ここまでの話をまとめていきましょう。

P2Eゲームは、うまく設計されたトークノミクスと価値創造(有形・無形の価値を生み出すこと)によって、持続可能であると同時に倫理的であることが可能になるかもしれないのです。その健全性の状態は、市場の力とユーザーの感情的な側面によって左右されます。

P2Eゲームが"ポンジ"のイメージを払拭するには時間がかかるでしょう。
しかし、ゲーム開発者が精力的に市場を観察し続け、問題にスピーディーに対処しつづければ、P2Eゲームは長く生き残り続けることができ、そして何よりすべてのプレイヤーにとって公平であり続けることができます。


STEPN運営チームは、このアプリが長く愛され、遊ばれ続けるものになることを非常に重要視しています。そのために、ゲーム内のユーティリティトークンであるGSTとガバナンストークンであるGMTのちょうどよいバランスを維持するために、積極的に動き続けていきます。

最近、私たちはコミュニティAMAでGMTの獲得メカニズムを発表し、ホワイトペーパーでも発表しました。(詳しくはこちらをご覧ください。)


STEPNのユーザー拡大ペースも、今は全く問題ない状態です。
「リアルな世界でSTEPNがたくさんの方法で活用されること」、そして「コミュニティが健全に成長すること」に焦点を当てることで、STEPNは様々な人に使われるようになりはじめています。

しかし、私たちにとって最も重要なのは、この成長が持続可能なものであることです。そのためならば、私達は運営チーム自身にとっても非常に厳しく、難しい決断をすることをためらいません。アクティベーションコードの再導入も、"本物の持続可能な成長"を確保するために行った、そうした決断の一つです。



私たちは、これからもGSTとGMTのバランスが常に健全に保たれ、エコシステムに付加価値を与え続けることができるように最善の努力を尽くし続けます。

今この文章を読んでいるあなたと私たちの足で。
STEPNが、コミュニティに最高の体験を与えるような、これまでにないフィットネスアプリとなる道を歩めますように!


元記事:Are all P2E games a ponzi? (CoinMarketCap)
翻訳文責:黒川(kuro) @kuro_at_web2

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