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研究室訪問の際に見るべきこと・聞くべきこと(とりあえず行ってみよ!)

 こんにちは、黒都茶々と申します。
 現在は定職(not研究職)についておりますが、かつて大学院の博士課程というものに在籍しておりました。
 これまでも博士課程の学生の生活などについて紹介してきましたが、今回は自分が学生だったときに知っていれば良かったな、ということについて書きたいと思います。

 博士を取ろうという人は研究室に所属して研究をするわけですが、この「研究室選び」というのは本当に大事です。ただ、「大事」と言われても、何を基準に選べばよいかわからないですよね。

 というわけで、もし、今私が研究室を一から選ぶのならば、という視点で、ラボ訪問のときに見るべきポイントを挙げておきます。(事前にラボ訪問しておくのは大前提です。絶対に、ラボに行ってみるべき。)

そもそもの前提(何を目指すのか)

ラボを訪問する前に考えておかないといけないのは、「自分は何をしたくて研究室に入るのか」ということです。

 私が研究室に入った理由は、「研究は自分に向いていると思った(手先が器用だったし、仮説を実験で証明するという手順も面白いと思った)し、博士というのは信頼性も高そうだし、学会や研究で海外に行ったりするのも楽しそうだから」というものでした。…あんまり立派ではありませんね。打算的というか、真面目に考えていないですけど、意外とこういう程度の動機の人も多いんじゃないかな。ま、博士課程に進学する理由は博士課程に在籍している人の数だけあると思います。

 思いつく他の理由としては、
・親が研究者で、自分も研究者になっておけばいいと思った
・研究対象が好きで仕方がない。これに関われる仕事なんて最高でしかない
・科学の発展に関わることで、後世の歴史に名を刻みたい
・一般企業でやっていける自信がないから、とりあえず研究室に籍を置きたい
 などなどがあります。まぁ、どれも間違っちゃいないのですが、立ち止まって考えてみて欲しいのは、「その目的は、博士課程に進学しなきゃ達成できないことなのか?」ということ。これは、ラボを選ぶときにでもですが、ラボを辞めたいなと思ったときに自分を助けてくれる指針になります。

 あと、「博士課程(ラボ)に何を求めるのか?」ということも明確にしておいた方がいいですよね。一緒に研究する仲間が欲しいのか、仙人のように研究に集中できる環境が欲しいのか、付きっ切りで指導してくれる先生にお世話になりたいのか、放置して見守ってくれる先生がいいのか。あと、学位を取るためにどこまでの犠牲を払えるか(金と時間)、というのも、宣言はしなくてもいいけど、頭の隅で考えておいた方がいいです。

ラボ訪問をする(先生と話をする)

目的を頭の中で再確認しつつ、いざラボに参ります。アポの取り方にルールがあるのか知らないけど、とりあえず先生にメールでも送っておけばいいと思います。(大学院生の人とお話したいと伝えておけば、先生がいい感じの院生さんのアポも取ってくれたりします。)

ラボを訪問するひとつめの目的は、当然ながら先生とお話をする、ということです。先生のやっている代表的な研究は、まぁHPや論文から大まかに知っておくとして、今進んでいるプロジェクトはどんなものがあるのか、ラボに入ったらどんなテーマで研究させてもらえるのか、あるいは、やりたいことがあるのなら、それをやらせてもらえそうか。

それから、研究の方針については、「個人戦」なのか「団体戦」なのかも聞いておいた方がいいと思います。私個人としては個人戦が好きですけど、団体戦の方が成果は大きいので、その辺は好みですよね。(私は他人に迷惑かけるのもかけられるのも嫌だったのでね。)

ま、とはいえですよ。私は先生とお話するのはそんなに重要だとは思ってないんですよね。話してる内容よりも先生の雰囲気を感じ取ること、あとは、自分は優秀な学生ですよ、というのを売り込むのが一番の目的かな。(当然、向こうもこっちを値踏みしている。話の通じなさそうなやつを自分のラボに積極的に入れたいと思う先生はいない。)

ラボ訪問をする(学生と話をする)

ラボ訪問の2つめの目的は、学生さんと話をすることです。先生とお話をした後に、絶対にそのラボの学生さんと話をしてください。こっちの方が大事だと思います、正直。(学生が一人もいないラボだと、どうしようもないけど。)

その学生さんの置かれている状況が、自分がこのラボに移動した場合に置かれる状況だと仮定して、いろいろなことを聞くべきです。

・テーマは持っているのか、どうやって決めたのか
・先生の指導スタイルはどんな感じか。結果を定期的に報告するのか、あるいは自分から話しかけにいくのか
・学振は取っているか、割合はどれくらいか
・オーバードクターはいるか、オーバーは何年くらいか
・学会発表は積極的にさせてもらえるのか

あとは、個人的なその学生さんの感想でもOKです。ラボの雰囲気なんかも聞いてみてもいいかも。いい判断材料になりますよ。

そういえば、とあるラボを訪問したときに、先生からは「チャレンジングで楽しい研究だよ」と言われていた研究テーマ、そのラボの学生さんに聞いたら「確かに達成すれば大きな成果だけど、博打みたいなもので確実性がないよ」と言われたことがあります。あと、結構きっぱりと「基本オーバードクターになるし、先生は学生の面倒見てくれないから、このラボには来ない方がいいよ」とも言われました。その学生さんの言葉がすべてではないですが、私の進路選択の一つの指針にはなりましたね。

ラボ訪問をする(環境を調査する)

これはちょっと番外編なんですけど、大学、あるいは研究所の所在地の雰囲気を確かめておくのも大事です。

すんごい田舎だったりすると、スーパー行くのも車ないと厳しかったり、研究が上手くいかないときに気晴らしする場所がなかったりして辛いからね。学食が充実しているかも大事だと思います。
まぁ、そこに進学するかどうかの決め手にはならないけど、心構えができますよね。

以上、研究室訪問をするときに情報収集するべきことについてお伝えしました。なんといっても先生との相性が最重要なんですけどね。
あ、若者にありがちな「この人たちは上手くいかなかったかもしれないけど、自分には上手くやれるはずだ」という幻想は捨て去ってくださいね、くれぐれも。そんな泥沼に足を踏み入れても幸せになれないよ。

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