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博士(理学)は共通テストで満点を取れるのか?

 はじめまして。あるいはまたお会いできて嬉しいです。

 黒都茶々と申します。noteでは、博士課程の辛さや楽しさなどを恨みを込めつつ発信していますが、今日はちょっと違う話題を提供します。

 題して、「博士(理学)は共通テストで満点を取れるのか?」(※生物に限る)です。専攻が生物だったので、生物に限らせてください。文系科目はもちろんのこと、他の理系科目だって私には解けません。その程度の敗北宣言は痛くも痒くもありません。事実です。だって、わたしゆとり世代でございますしね。当時からセンター試験は苦手でございましたしね。

結果:満点、とれました。

 いきなり答えですが、はい、満点とれます。これは、新聞で試験を実際解いてみての結果です。ただし、時間を計るのを忘れていたのと、全部が自信満々の解答ではなかったということは付け加えておきたいところ。

 なーんにもプレッシャーなく、しかもお家で超リラックスしながら解いたわけなので、将来がかかっていて、他の試験もこなした後という劣悪な環境で解かないといけない受験生諸君とは天と地の差があります。

 楽ちんだったぜ、ということが言いたいわけではないです。

共通試験は考えさせる試験だ。(少なくとも生物は。)

 これまで、生物って結構暗記科目だったと思うんですよね。私は好きで楽しいと思っていたからすんごいマニアックなところまで覚えている気持ち悪い高校生でしたけど、そうでなくても記憶力がいい人なら解ける問題が結構多かったと思います。センター試験は。

 今年から始まった共通試験は、そんな先入観があった生物にも関わらず、かなり考えさせる問題がありました。これは他の科目でも指摘されていることですが。

 生物で言えば、単純な知識で埋められる穴埋め問題はほとんどなくなって、実験や観察の結果からどういう可能性があるのか、また、その次に行う実験の設計なんかについても問われていて、解いていた感想としては、かなり面白い試験になっていたと思います。

 正直、本当に想像以上に面白くてですね、こんな試験問題を解説する講義すればいいんだったら、塾の講師に転職しようかなと思って転職サイト調べちゃうくらいには楽しい試験だったと思います。

高校生には大変だったかもしれない。時間配分が。

 難易度について、各予備校がどう評価しているのか分かりませんが、少なくとも私のような、受験戦争を離脱して10年以上経過している(しかもゆとり)人間でも満点を取れたということは、「知識は必要ない」試験だったのではないかと思います。

 ただし、知識が必要ないからといって、難易度が低かったかといえばそうでもないかなと思います。なぜなら、上でも書いたように、読解力と理解力が求められる試験だったから。まず、大問ごとに仮想実験(あるいはレポートのようなもの)があるわけですが、この舞台設計を理解するのがちょっと大変。この図は何を表しているのか、表の数字はなんなのか、ということを頭に入れなくてはならないので、それに時間を取られます。(まあ、理解していなくても解答できなくはないのもあったけど。)

 で、最初の設定を理解した上で回答していくわけですが、小問を進むと別の発展的な観察をし始めたりするんですよね。登場人物が。で、またそれを理解して、考えるわけです。時間があれば、きっと、知識なんてなくても考えりゃ分かると思うんですけど、瞬時に「何の知識を試したいのかな」ということを想像しながら読まないといけないのは、時間的制約がある中ではかなり大変でしょうね。

 ま、私みたいなやつは、大学院5年間でそういう訓練をしてたみたいなところありますから、満点取れなくてどうする、という話ではあります。

第1問は遺伝子型と表現型の話

 正直、一番自信なかったのがこの第1問でした。問3の真核生物の遺伝子発現に関する正誤問題で、知識が曖昧になって「うーーーん?」となる。②の、「DNAポリメラーゼがプロモーターに結合することにより、転写が開始される」ってなにが適当じゃないのかな? 原核生物ってことか? もっといろんな因子が関わってるってことなのかな。うーん。

 あと、全体的に、「L有」「L無」という言葉が遺伝子型を示しているのか表現型を示しているのか、多型の塩基の違いが表現型とリンクしているとしていいのか混乱気味でした。でも、混乱したままでも解けます。

第2問は個人的に好きな舞台設定

 ブラウンのトカゲちゃんとグリーンのトカゲちゃんが競争(競合?)する話。グリーンの生息地に競合相手のブラウンが入ってきて、グリーンはより高い枝に上りやすいように進化するという話。舞台設定も面白い。そんなに難しくはなかったかな。面白い実験やってんじゃねぇか、と思った。

第3問は図の理解がちょっと大変。

 個人的には苦手というか、あまり好きではない問題。まず、グラフの見方でおえっとなり、次いで「なんかあんま面白い研究ではなさそうね」という気分がこみ上げてきます。数字を読ませる問題。計算自体は難易度高くはない。グラフを理解するのがちと大変。

第4問も良い問題。個人的には好きである。

 第4問は、学習ということもあり、個人的に好きなテーマ。問題の難易度としては易しかったのではないかな。実験も単純だったし、理解しやすい。似たような話は聞いたことあるだろうし。ラッキー問題だったと思う。

第5問は、唯一の植物。発生の問題。

 植物なんて学部3年までで教わって以来、ほぼほぼ触れてこなかった分野でしたが、特に難なく解けましたなぁ。ホルモンの名前が出てきたときに、「やっべ忘れたわ~」と思いましたが、脱暗記がここにも生きていたらしく、そういう問題はありませんでした。最後まで「クロロフィルってなんだったっけね」と思っていましたが、そういう人間でも本文読めば解ける問いでした。

第6問も発生の問題。ただし、動物。

 第6問も発生の問題。前半は用語の使い方などの知識問題少々、後半は、実験結果から考えさせる問題ですね。実験内容もそんなに複雑じゃないし、難易度はそれほど高くないと思います。

 胚の一部を取り除くとか、別のところに移植とか、好奇心だけで結構サイコパスっぽい実験やってたんですよね昔は。私はそういう時代も愛してますけど。電流流すとかも、もう、いじめですわよ。そういう実験も愛してますけど。学習の研究の定番ですが、報酬として食べ物が、罰として電流が与えられるのがセオリーです。

もう高校生には戻りたくない。

 しみじみ思うんですよね。高校生には戻れねぇなって。笑。

 私は大学入ってから、必修科目はいろいろあったものの、基本的に生物の話だけ勉強してきたので、それはそれは楽しかったのですよ。高校とか、生物に加えて、数学も、歴史も、化学も、国語もあったわけ。。。よくあんなに勉強できたわぁ。。。

 今回、共通テストが脱暗記になったわけなんですが、私は、「ゆとり教育と同じタイミングでやってくれたらよかったのに」と正直思いました。ま、あとの祭りですねぇ。

追記(2021年1月21日)

 新聞で共通テストの平均点が出ていましたが、生物は73.14点でした。物理が58.89点、化学が52.80点であったことを合わせて考えると、かなり点数高いですね。受験生にとっても、割と簡単な試験だったのかなと思います。

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