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研究のステップと先生のサポート ~目指すもので先生の選び方を変えよう~

こんにちは、黒都茶々と申します。
現在は定職(not研究職)についておりますが、かつて大学院の博士課程というものに在籍しておりました。

今回は、研究室を選ぶときに知っていて良かったこと、知っておいたら良かったなと後から思ったことをお伝えしたいと思います。

①やりたいテーマが決まっている人は、最初のラボ配属の時に、そのテーマを扱っている研究室に行くこと

 もし、やりたい研究のテーマがすでに自分の中で決まっていて、そのテーマを扱っている研究室がごく一部で限られているという場合、ラボが所属大学になくても、その研究室を目指すべきだと思います。テーマではなく、そのラボに知り合いの人がいて、その人に師事したい、とかいう理由でも全然問題ないと思います。まずはそのラボに見学に行くなりなんなりして、あなたのラボに行きたいですという意思を示すこと。受け入れる側の先生も熱意を持った学生は歓迎するので(教え甲斐があるというのもあるし、労働力が増えるというのもある)、所属が別の大学だったりしてもなんとか手を尽くしてくれるでしょう。その辺はまぁ、先生に任せておけばいいのかなと思っています。
 研究者って、研究者同士のつながりが割と密なので、その行きたいラボの先生の知り合いで、自分の大学に所属している教員は誰かしらいると思います。直接の知り合いでなくても、共通の知人がいるとか、何かしらのつながりは大抵あると思うので、もし行きたいラボが別の大学だったとしても、共同研究を始めてもらったりして、実質その目的のラボで実験することは可能と思います。
 今の時代はどうだか知りませんが、私の同期は、別の大学のラボにドクターとして進学する予定なので、ということで、4年生のラボ配属のときから学外のラボに通っていました。その辺は意外と柔軟にできてましたね(後々問題になっていたような気もしないでもないけど…)。ま、やりたいテーマが決まっているのだったら、できるだけ早くそれが学べる環境に行くのがベストと私は思っています。

②ラボの雰囲気で選ぶのも大切

 ①で、やりたいテーマが決まっている場合を書きましたが、私はそういう生徒ではありませんでした。そういう人も多いんじゃないかなと思います。私の場合、もやっとぼやっと研究したい領域はありましたが、使いたい動物、学びたい実験手法などは特になかったので、自分の大学のラボから選ぶことになりました。(漠然と、修士からは他の大学に行きたいと思っていたので、当初は1年所属するだけの気分でした。他の大学に行きたかった理由は、自分の出身校がそんなに好きではなかったのと、地元を離れることで研究に集中せざるを得ない環境ができると思っていたからです。)
 ドクターには進むつもりだったので、自分が将来進みたい分野を扱っていて、教育熱心な感じの、ちょっと厳しめのラボにしました。ドクターに進んでいる先輩たちも多かったし、ラボの飲み会に参加させてもらった雰囲気も自分に合っているかなと思ったからです。この、ラボの雰囲気ってのはなかなかどうして軽んじてはいけないものだと思います。なんだかんだ言って、一日の大半を研究室で過ごすわけなので、先輩たちの仲が良さそう、とか、困ったときに相談に乗ってくれそうな人がいる、とか、自分がその中に身を置いて苦しくなさそうなところを選ぶのが良いと思います。
 まぁ当然、そのラボから出ている論文の数、先輩の学振採択率、オーバードクターしてる人の年数と人数くらいは頭に入れとく必要がありますけれど。コンスタントに論文を出しているラボなら大丈夫だと思います。やばいラボは、全然論文出てなくてオーバーしまくりの先輩がいたり、あるいはドクターがひとりもいないなんてこともあります(若いラボとかだとそれも普通だけど)。

③卒業のしやすさと求めるものから選ぶのも一案

 ①と②は博士まで進む人の話として書いてきましたが、修士まで、あるいは学部までの人たちであれば、そんなに深刻に考える必要はないのかなと思います。こういう人たちの第一目標は「卒業すること」なので、確実に卒業させてくれそうで、自分の利になりそうなラボを選んでください。
 なんにせよ、このときもラボに行ってみるのが大切だと思います。先生には、テーマは与えられるのか自分で見つけるのか、そのテーマは自分一人のものなのか、実験手法は確立されているのか、という研究に関する質問を、先輩の学生さんたちには、先生はどれくらいの頻度で実験成果の報告を求めるのか、実験がうまくいかなかったときにサポートはあるのか、ラボの雑用はどれくらいあるのか、などなど日々の生活と指導の様子を質問するといいのかなと思います。私は、実験で扱う動物や実験手法などよりも、先生の指導方針や人間的な相性の方が大事だと思いますよ。
 いろいろ情報をそろえたうえで、頑張りたいから自由度の高いラボを選ぶというのもいいし、言われたことだけやって気楽に卒業したいと思うのならサポート万全なところを選べばいいと思います。まぁ、修士なんて論文出すの必須でもないので、ほとんどの先生はよほどへましない限り卒業させてくれると思いますけどね。(過去数年の間に、留年したり退学したりで卒業できていない学生がいたら、その人の情報も可能な限り集めとくといいと思います。ラボに問題があったのか、最初からその学生に難ありだったのかは大きな違いですので。)

 以上、「研究のステップと先生のサポート ~目指すもので先生の選び方を変えよう~」をお届けしました。そのラボに行くにしても行かないにしても、ちょっとでも興味のあるラボはラボ訪問しておいて損はないと思います。そしてそのときは、先生だけではなく、いま所属してる学生さんとも話すべきです。

【以下は余談。】
 私は、とあるラボに訪問に行った際、そのラボの先輩学生から、「このラボは与えられるテーマが漠然としていて先生たちのサポートもないから、来るならオーバーする覚悟がいるよ。金銭的な援助もないからおすすめしないよ」とアドバイスをいただいたことがあります。その業界では有名な先生でしたし、新しい動物を使うパイオニアになれるなと思って当初私は乗り気だったのですが、その学生さんのコメントを頭に入れつつ改めて思い返してみると、プロジェクトの具体的なタイムスケジュールや見込みは特に明言されておらず、夢と希望だけを語られただけだった気がして、そのラボに進むのは辞めました。今思い返しても、もしあのラボに行っていたら潰れていた気がします。

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