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博士課程に進学して得たものと失ったもの

 こんにちは、黒都茶々と申します。
 現在は定職(not研究職)についておりますが、かつて大学院の博士課程というものに在籍しておりましたので、そのときの経験について細々と書き綴っています。

 今回は、ちょっとまとめ的なことですが、博士課程に進学して、私が得たもの・失ったものについて紹介したいと思います。多分、得たものも失ったものも人それぞれだと思います。いろんな博士課程経験者が、体験談を書いてくれるといいなぁと思います(すごく読みたい)。

得たもの① 学位

 当たり前といえば当たり前ですが、博士課程に進まないと手に入れることはできなかったものです。これは、「研究者として研究できます、その能力があります」という許可証みたいなもの。研究者になるのならば必須のものでありますが、逆に言うと、そうでなければ持っていたって特に役には立ちません。特に日本では。

 私の職場でも、特に重視されているわけではないので、実際持っていたからといって具体的に有利になるとか徳をすることはないのですが、私個人としては、よく頑張りましたね、の認定証みたいに思っている部分があるので、持っていてとても誇らしいです。やはりね、3年間費やしたので、その証があるというのは、嬉しいです。

得たもの② 友達

 もし修士までで卒業してたら、多分私はもっともっと友達少なかったと思います。私は基本的に、多くの他人と感情を共有することにそれほど喜びを見出せず、積極的に友人を増やしたいというマインドを持っていない人間なので、博士課程に進んでなかったら、今付き合いのある友人の半分くらいはいなかったかなと思います。

 そんな性質をもっている私が、友達でも作らねば乗り越えられなかったのが博士課程です。いいことなのか悪いことなのか、博士課程に入って、上手くいかないことがいろいろあり、相談したり愚痴を言ったりすることで友人が飛躍的に増えました(私の中では)。あと、単純に友人が増えただけではなく、友人がいるっていいことだなぁと思えるようになったのは私の中で大きな転換だったと思います。(それまでは、すごく気の合う友人が数人いれば、あとは全部有象無象、みたいな感じだったのが、そこそこ仲良くて時々話せて、全部の点で考えが一致していない人とでも繋がりを保てるようになりました。)

 対友人の考え方の転換が起こったことがまず、私のその後の人生にとってはプラスであったと思います。

失ったもの① 金

 まず、学費ですよね。国立大学だったので、私立に比べればかなりましでしたけど、定職についておらず、親も特別には支援しないよ、と言われた状況ではなかなか辛いものがありました。奨学金も何百万と借りていたので、通帳見て、頭の中でその金額マイナスして、うわぁぁぁ、と思うことを繰り返すこと数知れず。有益な投資と言えばそうですが。

 あと、考え方によっては、就職していたら稼げたであろう給料も。その期間、仕事していなかったんだから稼げなくて当然、という考え方もあるんでしょうけど、就職してたら、年間何百万も稼いでいたんだよなぁと思いを馳せることもままありました。

失ったもの② 時間

 時間、というか、若さ。新卒なのに27歳だからねぇ。大卒と比較したら5歳差。。。うわぁ、って感じ。まぁ、うわぁ、以外特にないですが。

 ちゃんと勉強して、研究して、まっとうに過ごしていれば別に失ったとは思わないのですが、先生仲違いをして論文が進まなくて1年過ぎてしまった、とかなると本当に浪費ですよね。先生はその辺、深刻に考えて欲しいなぁ...

失ったもの③ アカデミアに対する憧れ

 これは、実は一番失われてしまったものかもしれない。時間もお金も、対価として得たものがある気がしますが、この「アカデミアに対する憧れ」だけは、純粋に消え去ったものです。まぁ、どういう組織で、どういう流れで研究ってものが進むのか、中身をいろいろ見てきちゃったのでね。教授たちがどんな人かもわかったしね。

 博士課程に進学するまでは、研究ってキラキラしていて崇高で高度なことが行われているんだろうと思っていたけれど、そうでもないんだなということがわかった。先生たちも、研究のプロで、人格も素晴らしい人だと思っていたのが、ただのガキみたいなおじいちゃんいっぱいいたし。

 いくら肩書が教授でも、中身はくだらない人間もいっぱいいるってわかったという意味では、得たものと言うこともできるのだろうか? そうね、肩書にだまされない能力を手に入れましたわよ。しょうもない人間でも、うっかり素晴らしい肩書を貰ってしまうこともあるんだよね。

 以上、「博士課程に進学して得たものと失ったもの」をお届けしました。本当に、これは人それぞれです。

 周りの人たちを見ると、健康や自分に対する自信を失った人たちも、結構多かったかなと思います。(幸いなことに、私は健康的に過ごすことができました。)

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