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博士課程に進んだ理由と、研究者にならなかった理由【後編】

こんにちは、黒都茶々と申します。
現在は定職(not研究職)についておりますが、かつて大学院の博士課程というものに在籍しておりました。

前回に引き続き、今回も私が博士課程に進学した理由と、その後研究職ではない職業を選んだ理由の続きです。

もやっと始めた就職活動

博士の2年くらいから、「こりゃいかんな、就活始めるか」と、もやっとぼんやりと就活を始めました。
といっても、周りの博士の友人は一般的な就活なんてしていないし、先輩たちも基本的にアカデミアに残る人たちです。
聞ける人がいません。
しかも、研究を進めないといけないので、修士や学部生みたいにリクルートスーツ着て堂々と就活なんてしてられません。

さらに、これは本当に困るんですが、博士課程は基本的に本当に「見込み」でしか就活できないんです。
学部、修士の場合は見込みといいつつよっぽどヘマしなけりゃ卒業できますが、博士はそれが確約されていないので、どんな立場で就活すればいいのか、企業側に何て説明すればいいのか全く分かりません。

困ったなぁ、とは思っていましたが、しかし、うちの大学には博士課程大学院生と企業のマッチングをしてくれたり、インターンを支援してくれたりする機関があったので、とりあえずそこへ相談。
特に行きたい業界ややりたい仕事はなかったけれど、まずは行く!ということで、なんの準備もせずに突撃。

結果的に、ここでインターンやエントリーシート添削などの通常のサービスを受けることはありませんでしたが、ここが主催していたセミナーで、元公務員の大先輩と知り合うことができて、理系でも公務員の枠があることを知る。
これがきっかけで私は今働けているので、間接的には運命を変えるものにはなりましたね。私、そもそも理系が普通の公務員になれるって知らなかったんです~。

この機関は、その他にも博士人材向けの企業説明会を開催したりしてくれて、ありがたかったです。
そのときは、博士を採用しますよ、と言ってくれている企業もまぁまぁありました。
ちょうど、国の方もポスドク問題をどうにかしようとちょっと思いだしたみたいで、「博士卒業して一般企業も行けるよ★」っていうキャンペーンを張ろうとしていたタイミングだったので、波に乗ったと言えば乗っていたのかな。。。

試しに受けた公務員試験に受かる

ぼやぼやっと就活を始めたのが博士2年の時でしたが、この時点ですでに、「私は博士3年では卒業できない(学位を取ることができない)」ということがほぼ確定していました。大体、最後の1年間で論文を書いたり投稿したりするものなので、2年の途中でそれほどデータが出ていなかった私は博士4年まで行くことを覚悟していました。

ということは、博士3年の後半から就活かな、と思いながら、ふと思い立って公務員試験を受けてみることにしました。
それが、博士3年の春のことです。
その時は、一般企業に行くよりは公務員になろうかな、と考えていて、どうせ博士4年の春に受けるなら博士3年のときにも練習がてら受ければいいかな、という軽い気持ちでした。本番の練習にもなると思いましたし。

で、博士3年の春に公務員試験を受けて、夏に内定まで貰ってしまいました。
(ちなみに、公務員試験に向けて、多少のお勉強はしていました。本屋で買った数的処理の本とか、過去問とか。)

内定をもらった時点で、
「4年まで進んだってもらえるかどうか分からない博士の学位と、確実に雇ってもらえる内定と、どっちを取るんだ!?」
と自問自答し、多少は迷ったものの確実な内定を取ることにしました。

いいのか悪いのか、私の就職先は理系枠でありながら完全なる行政職で、博士の学位を持っていようが退学だろうが給料も変わらなければ配属先も変わらないのです。

先生には申し訳ないことをしたと思っています。
多分、私がアカデミアに残ると思って指導をしてくれていたし、私もあたかもそれに応えるかのように表面上は真面目に研究を進めていたくせに、水面下で着々と(?)就活をしていたわけですから。

しかし、これは私の人生。先生に遠慮なんてしていてもなんのリターンもありませんので。

夏の時点で退学が決まった私、正直言うと「どうせ退学だから文句言われない程度に実験して適当に立ち去ってやろう」と思う部分もありました。

しかし、当時私の下で一緒に研究してくれていた後輩(修士2年)が、すごく頑張って実験してくれていて、「この子のためにも、修士論文でちゃんと実験結果発表できるようにしてあげたいな」と思ったんですよね。

そんな背景もあり、私はかなり真面目に実験しまくり、後輩とやっていたメインテーマは袋小路に迷い込んだものの(でも後輩はちゃんと発表してくれた。不完全ではあったけど、研究が日の目を見たというのが私は嬉しかった)、サブで一人でせっせとやっていた実験でいい感じのデータを得ることができました。

博士3年が終わる時点で、論文にできそうなデータが一通りそろったので(※本当に生のデータがそろっただけ。解析はまだ終わっていなかったし、論文を書き始めてもいなかった)、先生に手持ちのデータで働きながら博士論文を書いて学位を取ることを宣言し、協力をお願いして、退学。

その後、なーんとか論文を書いて、無事学位を取得したのでした。めでたしめでたし。

以上、「博士課程に進んだ理由と、研究者にならなかった理由【後編】」をお届けしました。長々と自分語りになってしまってお恥ずかしい。しかし、なんというか、私も相当行き当たりばったりで生きてきたので、今院生の方で悩んでますって人も、なんとかなりますよということが伝えたかったのです。

一言で言ってしまえば、「なんとなく楽しそうだから博士課程に進学」して、「内定取れちゃったから公務員やってる」てとこかな、私は。

次回は、「オーバードクターとは何か」をお届けします。別に悪いもんじゃないけど、よっぽどのことがなければオーバーするべきじゃないと私は思ってる。

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